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※紙面抜粋
※2022年5月31日 日刊ゲンダイ2面
【何もしない首相が「我が世の春」】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) May 31, 2022
岸田首相には「黄金の3年間」 庶民には「悪夢の3年間」
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/S5PmsvUUnq
※文字起こし
「規模が小さくて遅すぎます! 私たちは21兆円の補正予算案を提示しています。既存の予算案を見直し、早々に組み替えをしていただきたい」
2022年度補正予算案をめぐり、30日の参院予算委員会で立憲民主党の蓮舫議員がシャウトしたのも無理はない。天井知らずの物価高騰に庶民や中小企業があえぐ中、予備費の埋め戻しを主目的とした異例の補正予算が31日成立。一般会計の歳出総額は2兆7009億円で、財源はすべて赤字国債の発行による借金だ。そのうち1兆5200億円は「燃料油価格激変緩和補助金」と称し、4月末以降のガソリン補助金に流用した予備費の埋め戻しにあて、1兆1739億円は6〜9月分の延長経費に回る。要するにスッカスカ。物価対策がちゃんちゃらオカシイ代物なのだ。何事もうわべだけの岸田首相の本質がヒシヒシと感じられるのである。
円安物価高の要因となっている金融緩和の見直しもヤル気なし。デフレ脱却を掲げて2%の物価上昇目標を明示し、アベノミクスを後押しした政府と日銀による2013年の共同声明について、立憲民主の小西洋之議員から「日米の金利差をどんどん広げている」「異次元の物価高騰から国民の生活を守るために共同声明を変える意思はあるのか」と迫られても、岸田はのれんに腕押し。「共同声明を変えることは考えていない。何よりも足元の物価高騰に対して、政府として具体的に対応していかなければならない。物価高騰抑制の結果を出すべく努力をしていかなければならない」と立派な答弁をしていたが、現実は乖離している。
ただでさえ資源高で潤う石油元売りにガソリン補助金を支給し続けるメチャクチャのほかはチマチマしたものばかりなのに、「さまざまな物価抑制策は結果を出している。不測の事態にも補正予算でしっかりと備えていきたい」と胸を張っていた。
30時間ほどで審議終了
4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.1%上昇。架空の家賃である「持家の帰属家賃」を除いた総合インフレ率は3%も上昇している。輸入物価指数はケタ違いの44.6%増だったから、コスト増に耐えかねた企業による価格転嫁は拡大し、物価はこの先もグングン上がっていく。
帝国データバンクの調査によると、1月から5月までに4770品目が値上げし、6月以降も3615品目が値上げ予定。岸田は一体どんなデータを見ているのか。まさかとは思いたいが、改ざんされた数字をながめているのか。
来日したバイデン米大統領に勝手に口約束した防衛予算倍増をめぐり、野党から増額規模や財源を問われても、岸田は相変わらずのらりくらり。自民党は「5年以内にGDP比2%以上」を主張し、現状の倍額の11兆〜12兆円規模を目指している。財源は償還財源を明示して発行する「つなぎ国債」から調達し、増税で賄う案が有力視されているが、岸田は「国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか議論したうえで、併せて財源についても議論する」とごまかした。
補正予算をめぐる国会審議は、一事が万事こんな調子。審議時間は衆参両院を合わせて5日間、30時間ほど。野党が多少ほえたところで、来たる参院選に向けたアピール感が拭えず、補正予算はあっさり成立。ついにマトモな野党がほぼ皆無となった国会の惨状が浮き彫りである。
米国株好調でもFRBの含み損3300億ドル
そうした中、岸田が9カ月も前の自民党総裁選でブチ上げた看板政策「新しい資本主義」の実行計画案の全容がようやく伝わってきた。iDeCo(イデコ)の加入対象年齢を65歳以上に引き上げ▽少額投資非課税制度(NISA)の改革なども加えた「資産所得倍増プラン」として来夏までに策定▽スタートアップ(新興企業)を支援する施策をまとめた「5カ年計画」を年末までに策定▽人への投資、新興企業支援、科学技術への投資、脱炭素化やデジタル化の加速を4本柱に投資を重点化──。分配ベースだった「令和版所得倍増」を、投資による「資産所得倍増」へとハッキリすり替えた。デタラメ財政規律で、青天井の防衛費、挙げ句は株価の買い支えに国民の虎の子という「投資キャンペーン」で日銀の尻拭いまでさせられるのか。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「新型コロナウイルス対策で大規模緩和に転じたFRB(米連邦準備制度理事会)の総資産は8兆5000億ドルに膨らみ、株式市場が好況の3月末時点ですら3300億ドルの含み損を抱えています。資産売却はいずれ実施しなければならず、相当な損失を出すことになる。日銀も同様で、売却損は財政負担となり、税金で補填することになります。国債やETFの買い入れなどで過去最高の736兆円超の資産を保有する日銀の損失は国民の損失なのです。金融緩和を縮小する出口戦略に向かえば、債券価格は下がり、ETFや株価下落に波及する。岸田政権は一貫性がないとはいえ、バブル崩壊で資産半減を経験したこの国で虎の子を鉄火場に誘導し、『資産所得倍増』は聞いて呆れます。資源の乏しい日本の喫緊の課題は経済的自立です。遊休農地などの活用で37%の食料自給率(カロリーベース)を7割程度に高め、再生可能エネルギーへのシフトを急ぎ、半導体などの戦略物資の生産体制を整える。岸田政権は戦略的視点に欠け、危機のニッポンに対する処方箋を持ち合わせていない」
政権発足後最高の支持率連発
にもかかわらず、内閣支持率は高止まり。
日経新聞の世論調査(27〜29日実施)によると、支持率は政権発足後最高の66%。マスコミ各社の調査でもおおむね同じ傾向だ。日経調査では参院選投票先は自民党が50%で断トツ。後を追う日本維新の会8%、立憲民主7%を大きく引き離した。
岸田は残り2週間あまりの国会を乗り切り、選挙まで口先だけで突っ走り、勝ちを手にする算段だろう。そうなれば、大規模な国政選挙のない「黄金の3年間」が手に入り、長期政権が視野に入る。何もしない首相が「我が世の春」。岸田の「黄金の3年間」は、庶民にとって「悪夢の3年間」となることは間違いない。安倍元首相の常套句「悪夢のような民主党政権」の比にならないだろう。
政治評論家の本澤二郎氏はこう言った。
「安倍元首相は形容しがたいひどさで、菅前首相にいたってはマトモにしゃべれない。その2人に比べれば、ソフトな印象の岸田首相はよくやっているように見えるのでしょうが、その実態は安倍元首相よりも恐ろしい。『敵基地攻撃能力』を『反撃能力』と言い換え、憲法違反の軍事力保有に突き進んでいます。攻撃対象には相手国のミサイル基地だけでなく、司令部などの指揮統制機能なども含み、国是である『専守防衛』に反することを推し進めようとしている。戦後最大の危機の間隙を縫い、緊急事態条項を創設する憲法改悪を堂々とやってしまいかねない。参院選候補者の一本化もままならない野党はいまだに目を覚まさず、翼賛体制に甘んじている。心ある有権者は死に票と分かりながら1票を投じることになる。あるいは投票所へ足を運ばなくなるでしょう。そうなれば自民の思うツボ。地獄へ真っ逆さまの3年間となりますよ」
待ち受けるのは、「戦争国家」だけではない悪夢の数々である。
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