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お粗末すぎる物価対策…日米金利差拡大、米バブル崩壊になす術なし 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/305285
2022/05/18 日刊ゲンダイ
愚策ばかりでお粗末極まりない(右から、岸田首相、日銀の黒田総裁)/(C)共同通信社
FRB(米連邦準備制度理事会)は今月上旬のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.5%の利上げと量的緩和の縮小を決めた。物価上昇を抑えるには5%まで引き上げる必要があるとの議論も出てきた。ウクライナ戦争が長引けば、40年前のオイルショック後に起きたスタグフレーション(不況下の物価上昇)が再来する可能性が高い。住宅ローンを含めた米国の消費者の負債は16兆ドルに膨らんでいるので、バブル崩壊を招き、世界経済は厳しい状況に追い込まれるだろう。
ところが、9年間に及ぶアベノミクスのツケがたまった日本では、岸田政権も黒田日銀も無策。英国、豪州、韓国など世界中の中央銀行がFRBに歩調を合わせて政策金利を引き上げているのに、日本はゼロ金利を維持。円安は止まらない。米国でバブルがはじければ日本投げ売りは一服するだろうが、かわって恐ろしい不況がやって来る。完全に打つ手なしとなるだろう。
岸田政権は国費6.2兆円を投じる物価対策をまとめたが、お粗末極まりない。国会のチェックなしで使える新型コロナ対策の予備費1.5兆円を流用。しかも、中身は愚策だらけ。ガソリン価格抑制と称した補助金支給を35円に拡大したが、地方の店頭価格はさして下がっていない。片や補助金が直接入る石油元売り大手はボロ儲けしている。消費者の負担軽減を図るならトリガー条項の発動が最も有効だ。「新しい資本主義」の目玉である賃上げ税制も全く空っぽ。賃上げを実施した企業はごく少数で、優遇税制は絵に描いた餅。実質無利子・無担保融資の期限を9月末まで延長したのも、問題の先送り。参院選に勝てば、後は野となれ山となれだ。
憲法改正をめぐり、岸田首相は緊急事態条項の新設に踏み込んだが、そんなことを許せば無責任体制が正当化され、世の中はさらに悪くなる。バブル崩壊後の金融危機で公的資金48兆円が投じられたが、誰ひとり責任を取らなかった。3.11の原発事故でも東京電力は責任逃れ。コロナ死が全国断トツの大阪府では首長が大きな顔をし続けている。失策を重ねる首相が緊急事態条項を発動すれば批判は封じられ、状況はより悪化する。だまされてはいけない。自公政権や日本維新の会などに政治を委ねたら、この国はもうもたない。正常性バイアスから目を覚まさないといけない。
金子勝 立教大学大学院特任教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。
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