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※サンデー毎日、文字起こし
「野党連携」まだ間に合う! 見えてきた決戦の構図
夏の参院選へ向け、なかなか足並みがそろわない印象だった野党。だが、大型連休を挟んで、ようやく動き始めた。6月22日公示、7月10日投開票の見通しで、選挙戦まで1カ月半を切ったが、野党連携は間に合うのか。そして、合従連衡による決戦の構図は……。
まず、れいわ新選組の山本太郎代表が4月15日、衆院議員を辞職し、夏の参院選に出馬すると表明した。
「参院選が終われば、岸田(文雄)政権や自民党にとっては『黄金の3年間』とも言われ、国政選挙が行われない空白期間になる可能性がある。その間に政治は暴走する。今の(ウクライナの)状況が続けば好戦的な外交により、戦争当事国になることもあるかもしれない。野党が数を一つでも増やし、野党間で危機を共有し、声を大きくして政府や与党に対抗できるようにしなければならない」
こう述べた山本氏だが、与党やメディアは「身勝手」と論評した。選挙の度に転身しているからだ。2013年参院選に初当選。野党の一員として小沢一郎氏らと活動を共にしていたが、19年春にれいわ新選組を独自に結党した。同年夏の参院選に比例代表で出馬し、全候補者で最多の99万票余りを獲得し、名簿上位の2人を当選させた。昨秋の衆院選は比例代表東京ブロックから出馬して当選。山本氏が辞職しても比例で繰り上がり、れいわは衆院の議席数をキープする。今夏は参院選へ移り、議席をさらに増やす狙いだ。
「総選挙から任期が1年にも満たないのに参院へ出るのは東京の有権者をバカにしている」(自民党幹部)
批判は一理ある。だが、山本氏が行動する裏側には信念があるという。山本氏をよく知る民間ブレーンは次のように語る。
「元々、山本氏は野党が一つになるべきという考え。進まないのでれいわを作り、ある程度の数を持って発言力と存在感を持ち、その上で野党各党に対等な形で結集を働きかける戦術に変えたのです。目指すは野党結集。その証拠に今回は1人区に候補を出さず、選挙協力しています。今回の出馬を立憲民主党幹部は『覚悟を歓迎すべき』として、立憲内は国民民主党や日本維新の会の動きに振り回されず、したたかに戦う姿勢に変わってきた。きっかけを作れたのではないか」
立憲と国民民主の不協和音に対し、地方議員や地方組織も困惑してきた。
国民民主は今年度予算案に賛成し、政策別に自公と協議するなど与党寄りの姿勢を見せた。参院選も共産党などとの統一候補に反発し、独自に維新やファーストの会と協力するなど兄弟政党≠ニ言われてきた立憲に一線を画してきた。
立憲は連休前から戦術を切り替えている。「『振り回されるな』という意思統一が、地方組織も含め党内にようやくできてきた」と話すのは立憲幹部の一人だ。さらに続ける。
「元々確執はあるが、今回は地域事情にすぎない。それを与党や一部マスコミが殊更、対立構図に仕立てて両者の分断を図っている」
「大人の戦術」に動き始めた立憲
たとえば、京都で国民民主と維新が協力し、立憲現職の福山哲郎前幹事長に対抗馬を立てようとする動きだ。ここは国民民主の前原誠司選対委員長と福山氏の折り合いが悪く、「真相はずっと続いてきた『前原vs.福山』の構図であり、政党同士の次元の話ではない」(立憲ベテラン)。
事態は二転三転。内情が前原氏の個人の力学≠セったことや、玉木雄一郎代表とのすり合わせがなかったなど党ガバナンスの欠陥もあり、維新と党同士の調整で混乱が続く。
立憲は水面下で「大人の選挙戦術」(前出の立憲幹部)も取り始めた。
「たとえば岐阜。隣の愛知が国民民主の牙城でもあり、国民民主が候補を出すなら『立憲は引こう』と気遣い、愛知の国民民主幹部とは理解し合えている。参院選が終わり、もし国民民主内に与党との距離などで路線対立が生まれれば、出てくる人には『我々が受け入れますよ』という下地にもつながる」(同)
連休前後、地方取材に居合わせた泉健太代表へ選挙戦術を聞くと、こう答えた。
「国民民主がどうであろうが、まず立憲は立憲だけのことを考えてやる。1人区も立憲がまず旗を掲げ、一緒にやれるなら共産党だって一緒にやりましょうと」
――水面下では国民民主と話もしているようだが?
泉氏「岐阜だけじゃない。岡山、滋賀……」
――要は「戻ってくるなら場所は空けておきます。多少のペナルティーもあるかもしれませんが……」ということなのか?
泉氏「そうです」
今、全国の地方組織を取材すると、立憲と国民民主の双方の支持労組幹部や支援者の中には、方向性が見えなかった立憲の選挙戦術や、玉木執行部への不安を口にする人が多い。それは来年の統一地方選に向け、「『国民民主が与党に近づいている』などと言われ、来年我々はどの看板で戦うのか。できれば参院選は野党という旗をはっきり掲げてほしい」(九州の産別労組幹部)というものだ。立憲に起きた変化は、そんな声に応えるためでもあった。
立憲は大型連休を機に独自の世論調査を実施した。決して楽観できる状態ではないが、巷間(こうかん)メディアなどで予測されている自民党圧勝でもないという。
「1人区は地域ごとに共産も含めた統一候補が進んでいる。複数区は二つが大混戦だが、場合によっては直前に力業で候補者調整を一気にやり、確実に議席を取る英断をすることもあり得る」(前出の立憲幹部)
自民党有利の見方を同党選対ベテランは警戒する。
「1人区は東北、北信越、九州の合わせて11が危ない。複数区でも前回2議席を取った所は安泰ではない。最終的な勝敗を決めるのは比例だろう。2位を立憲が取るか維新が伸ばすか」
冒頭の山本氏の指摘は的を射ている。今回の参院選は向こう3年の経済、安全保障など、極めて重要政策を決定づける事実上の政権選択選挙なのだ。与党と対峙(たいじ)する野党には覚悟やしたたか戦略は絶対条件だ。
ジャーナリスト 鈴木哲夫
すずき・てつお
1958年生まれ。ジャーナリスト。テレビ西日本、フジテレビ政治部、日本BS放送報道局長などを経てフリー。豊富な政治家人脈で永田町の舞台裏を描く。テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活躍。近著『戦争を知っている最後の政治家 中曽根康弘の言葉』『石破茂の「頭の中」』
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