悲鳴を上げて逃げた望月衣塑子記者 「取材続けて」と手を差し伸べる赤木雅子さんの声は届くか2022/05/04(水) 19:53:29.95ID:CAP_USER 黄色い服の小柄な女性が歩道の向こうから歩いてくる。その姿を見た瞬間、赤木雅子さんは私に小声で告げた。 「あっ、あの人、望月さんですよ!」 東京新聞の望月衣塑子記者。1年8か月ぶりの偶然のめぐり逢いが生んだ出来事をご紹介する。 記者会見の最後に、雅子さんが「一言だけいいですか」 4月11日。財務省の公文書改ざん事件で近畿財務局の職員だった夫の赤木俊夫さんを亡くした雅子さんは、日本記者クラブで記者会見をした。夫の死を招いた真実を知りたいと国などを相手に提訴したが、国は“認諾”という異例の手続きを突然持ち出し、裁判を無理やり終わらせてしまった。国会でも問題になったこのいきさつについて、雅子さんと代理人の生越照幸弁護士に会見の要請が届いたのだ。 日本記者クラブといえば全国の主だった新聞・放送・通信各社が加盟し、「日本マスコミ界の総本山のような存在」とも呼ばれる。役所などにある通常の記者クラブとは成り立ちがまったく異なり、会見に参加するのは報道界のベテランが多い。 この日も改ざん事件や裁判、認諾などについて質問が相次いだ。1時間半に及んだ会見を司会者が締めくくろうとした時、雅子さんが「一言だけいいですか」と語り始めた。それが望月記者の件だった。内容を産経新聞がウェブ版で記事にしている。 〈雅子さんによると、望月氏とは改竄問題の取材を通じて知り合ったが、「今は一切、連絡しても電話も取ってくれない」と明らかにした。その上で、「もう取材しないなら、私が渡した素材は消してほしい。それを伝えたい」と訴えた〉 〈雅子さんは同日の記者会見に出席した記者団に対し、「ぜひ、望月さんにお会いする機会がありましたら、『赤木がぜひ直接、お話ししたい』ということを伝えていただければなと思っています」と語り、“音信不通”となってしまった望月氏と再び連絡が付くよう協力を呼び掛けた〉 この記事は、Twitterでその日のトレンドニュースにランクインした。話題のドラマをめぐり、著名な望月記者が取材先に一方的に連絡を断ち切ったという内容が反響を呼んだのだろう。 「きゃあっ」と声を上げて社内へ駆け込んで 会見に先立って雅子さんは、日本記者クラブが入る東京・内幸町の日本プレスセンタービルの前で、TBS『報道特集』の金平茂紀キャスターの取材を受けた。インタビューの後、会見まで時間があり、雅子さんが「少し散歩でもします」と言うので、私は近くにある財務省まで歩くことを提案した。 歩道を歩き始めると、2つ先の建物が東京新聞の社屋だ(正確には中日新聞東京本社)。その前を通りかかった時、図ったようなタイミングで向かいから望月記者が歩いてきた。その姿に気づいた雅子さんはすーっと近づいていった。私はそばにいない方がいいだろうと考えて離れていた。玄関前の階段で雅子さんは「望月さん」と声をかけた。すると望月記者はさっとあたりを見回し「きゃあっ」と声を上げて、社内へ駆け込んでいった。 2022/05/04(水) 19:53:54.40ID:CAP_USER 表のガラス窓には、デジタルサイネージというディスプレイでドラマ「新聞記者」の広告が流れていた。「撮影協力:東京新聞」「(ドラマの舞台の)東都新聞のロケ地は東京新聞」という文字が映し出される。そのドラマの話を持ち掛けた望月記者は、雅子さんに声をかけられただけで走り去った。雅子さんは呆然とした顔つきでつぶやいた。 「私、悲鳴を上げて逃げられました……」 「取材をしないのなら渡した大量のデータを消してほしい」 それまで雅子さんは、会見で望月記者のことに触れないつもりだった。そう聞いていたから望月さんの話を始めたのは意外だったが、直前の一件で考えを変えたのだと後で聞いた。だが、会見での語り口調は穏やかだった。 まず東京新聞について、裁判の現場から遠い東京で記事を書いてくれるので「とても感謝しています」と謝意を述べた(この日の会見も、望月記者以外の内容を紙面で記事にしている)。その上で提訴の直後、望月記者がドラマ「新聞記者」の河村光庸プロデューサーの手紙を東京新聞の封筒に同封して届けてきたことを明かした。ドラマの撮影や芸能人に会えるという話を持ちかけられ、「そこにのこのこ出かけて、望月さんに取材してもらうことになったのは私も悪かったのかもしれないですけど」と振り返った。 今は電話もとってくれず、連絡用アプリのアカウントも削除されて、一切連絡が取れなくなっている。これはおととし9月、ドラマの制作をめぐり望月記者や河村プロデューサーが雅子さんと意見の隔たりがあるのに構わず制作を推し進めていることを、週刊文春が記事にしたのがきっかけだ。雅子さんは、取材をしないのなら望月記者に渡した大量のデータを消してほしい、そのことを伝えたいだけなんですと訴えた。 ドラマ「新聞記者」に遺書や家族写真に基づくと思われる描写が 望月記者は今年1月、ドラマをめぐるトラブルが再び週刊文春で記事になり、俊夫さんの遺書などを返していないと指摘された。これに対しツイッターで「遺書は元々お借りしていません」と書いている。 だが事実上の遺書にあたる「手記」を含む多くの文書のデータと、家族のプライベートな写真を含む大量の画像データを、雅子さんから受け取っている。それは記事の参考にするためだが、望月記者はそのデータを雅子さんに無断で報道と無関係の第三者に渡したことを、後に雅子さんに明かしている。これは「報道目的で借りた資料の無断流用」にあたるだろう。 そしてドラマ「新聞記者」にも、遺書や家族写真などを見たと思われる描写が出てくる。雅子さんがドラマ側に資料を渡していないのに、誰かが流用した疑いが出てくる。だから雅子さんは、取材をしないのならデータをすべて削除してほしいと求めているのだ。それでも最後まで望月記者を責めることはなかった。 「ただ会って、誤解を解いて、取材を続けてほしいって伝えたい。ただそれだけです」 この言葉を受けて司会者が、「この会場にも東京新聞の方がいますので、伝わると思います」と引き取った。実際、複数の関係者が来ていて東京新聞の上層部に伝わったそうだ。だが会社からも望月記者からも雅子さんに連絡はない。社のある幹部は「内容証明付きの文書でも来ない限り対応するつもりはない」と語ったという。望月記者のトラブルを“なかったこと”にしたいのだろう。 2022/05/04(水) 19:54:00.34ID:CAP_USER 最新作ドラマ「新聞記者」にだけ触れない望月記者 実は望月記者も、自分が深く関わったドラマ「新聞記者」を“なかったこと”にしている。 今年2月、大阪市内の2か所で相次いで講演を行った際、望月記者は自著「新聞記者」を原作とした映画「新聞記者」と自身が出演した森達也監督のドキュメンタリー「i―新聞記者―」、それに菅前首相を描いた「パンケーキを毒見する」と、いずれも河村プロデューサーが手がけた3つの作品を、映像も一部交えて解説した。ところが同じ河村氏の制作で映画の続編と位置付けられるネットフリックスのドラマ「新聞記者」だけは、最新作なのに一言も触れなかった。 しかも、どちらも予定時間を大幅に超えて講演を行い、会場の質問を受け付けなかった。これに違和感を抱いた参加者もいたようで、SNSにこのような書き込みがあった。 〈Netflixの「新聞記者」も流して例の件について釈明があるかと期待したが最後まで言及なし。質問しようと思ったが講演時間超過で質問時間カットされ残念。モヤモヤ感が拭えない〉 ここで「例の件」とあるのは、週刊文春が1月に報じた記事のことだ。記事では、フィクションとはいえ現実に起きた事件を描きながら、当事者である赤木雅子さんの意向を無視して制作されたことを伝え、そこに介在した東京新聞の望月記者にも責任があると指摘している。 この記事を補足する形で、私は日刊SPA!に「ドラマ『新聞記者』で『東京新聞』望月記者を“舞い上がらせた”私たちの責任」という記事を出した。 こういう指摘に望月記者がどのように釈明、あるいは反論するのだろうという講演の参加者の期待は肩透かしに終わった。まるでドラマなど“なかった”かのように。 事実より「政権に不利になるかどうか」が判断基準に… 今回の騒動で以下のような2つのご意見が寄せられている。 (1)望月記者は政権を追及してきた人だから、こんな争いは政権側を喜ばせるだけなのでやめるべきだ=「敵を利する」論 確かに安倍政権を支持していた人々を喜ばせるかもしれない。だが「こんな話は安倍氏らを利するからやめるべきだ」というのは、「こんな文書は野党を利するから改ざんすべきだ」と考えた財務省と同じではないか。問題は指摘された事実が「敵を利するかどうか」ではなく「事実かどうか」であり、今回の場合は事実だ。 (2)ドラマ自体は内容がいいから評価していいではないか=反フェアトレード論 ドラマ「新聞記者」の作品としての評価は様々だが、仮に内容が素晴らしいならば制作過程に問題があってもいいのだろうか? フェアトレードという考え方がある。どんなにいい商品であっても、それが発展途上国で地元の人々を搾取し踏みつけにして作られたものならば、それはフェア(公正)なトレード(取引)ではないから買わないという考え方だ。制作過程はともかく内容はいいのだからとドラマを支持するのは、途上国の人々を踏みつけにした商品だと知りながら「これ、いいじゃない」と言って買うようなものだ。 「敵を利する論」も「反フェアトレード論」も共通する根っこがある。政権を批判したいあまり、事実かどうかより政権に不利になるかどうかで考えている。そして、そういうものは実は政権にとって大して怖くはない。だって、事実じゃないのだから。権力が恐れるのは事実、「権力にとって不都合な事実」を恐れる。それを調べ報じるのが真の記者だと、私は考える。 “なかったこと”にしようとする安倍政権を厳しく追及したのに 東京新聞も望月衣塑子記者も、森友事件で国有地の不当値引きや公文書の改ざんを“なかったこと”にしようとする安倍政権を厳しく追及した。ところが今や自らが不都合な事実を“なかったこと”にしようとしている。新聞社、新聞記者としてのありようが問われる。 赤木雅子さんの会見最後の言葉をもう一度振り返ってほしい。 「ただ会って、誤解を解いて、取材を続けてほしいって伝えたい。ただそれだけです」 これは、手を差し伸べているのだろう。ラストチャンスではないか? 東京新聞と望月記者は、雅子さんが差し伸べた手を握り返すだろうか? それとも、振りほどくのだろうか? (相澤 冬樹) h ttps://bunshun.jp/articles/-/54020 h ttps://pug.5ch.net/test/read.cgi/liveplus/1651661609/
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