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米国の軍事戦略に組み込まれ、露国や中国と対決する道を進む日本
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2022.04.25 櫻井ジャーナル
岸田文雄政権はウクライナ向けの物資を自衛隊機で輸送する計画を立て、インドに着陸許可を求めたが、拒否されたと伝えられている。4月後半から6月末にかけて10回、アメリカのウクライナに対する軍事作戦に協力してきたポーランドやルーマニアへ輸送する予定だったのだが、インドは軍用機の着陸を認めなかった。民間機の使用を求めたようだ。軍用機を使う段階で軍事作戦であり、アメリカのロシア非難に同調しないインドをそうした日本の作戦に巻き込みたかったのかもしれない。
アメリカは2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ作り替え、日本を太平洋側の拠点、インドをインド洋側の拠点、そしてインドネシアを両海域をつなぐ場所だとされた。このうちインドネシアはロシアへ接近、インドもアメリカと一線を画している。
インドと同じようにロシアとの関係を重視していたパキスタンでは4月10日、内閣不信任決議案が可決されてイムラン・カーン政権は倒された。カーンによると、アメリカのドナルド・ルー国務次官補はパキスタンのアサド・マジード公使に対し、カーン政権が継続されたなら、アメリカとの関係に影響が出ると脅したという。
次の首相、シェバズ・シャリフは軍との関係が強く、アメリカとの軍事同盟強化を主張していた。アメリカ政府はパキスタンを押さえたと考えたかもしれないが、シャリフは首相に就任した後、イランとの関係強化を打ち出している。カーンが首相の座から引きずり下ろされた後、大規模な抗議活動があったが、これもシャリフ政権に影響しているのかもしれない。
岸田首相は3月19日から20日にかけてインドを公式訪問、その際、ナレンドラ・モディ首相に対し、ウクライナを支持するよう圧力をかけたが成果が出なかったという。ジョー・バイデン政権のメッセンジャーを務めたということだろう。日本とインドはアメリカやオーストラリアと「クワド」を構成している。
この集まりは2008年に消滅したが、2017年に復活した。アメリカは2021年9月にオーストラリアやイギリスとAUKUSなる新たな軍事同盟を創設したと発表している。AUKUSはアングロ・サクソン系の国で構成されているわけで、アヘン戦争を連想させる。
アヘン戦争があった19世紀にイギリスの支配層はユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げるという長期戦略を立てた。この計画を20世紀初頭にまとめた人物がハルフォード・マッキンダー。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」はマッキンダーの理論に基づいている。
この戦略はスエズ運河をイギリス系の会社が所有するようになってから可能になったと言えるだろう。1882年にイギリスは運河地帯を占領している。
マッキンダーはユーラシア大陸の周辺部を三日月になぞらえているが、その西端がイギリスであり、東端が日本だ。その途中にあるインドは東インド会社時代からイギリスの植民地。そこから東へ侵略して行くのだが、中東は穴が空いていた。その穴を埋めるためにサウジアラビアとイスラエルを作り上げている。明治維新も同じ文脈の中にある。
AUKUSに加盟しているアメリカとオーストラリアは別のアングロ・サクソン国のニュージーランドとANZUSを組織している。1951年9月8日に日本はサンフランシスコのオペラハウスで「対日平和条約」に調印しているが、同じ日の午後、プレシディオで「安保条約」に調印。その1週間前、同じプレシディオでアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国はANZUS条約を結んだ。
そのニュージーランドで首相を務めているジャシンダ・アーダーンは4月21日に東京で会談、政治、治安、軍事での協力関係を強めることで合意したという。その矛先はロシアと中国に向けられている。日本はアメリカの手先としての役割を果たしていると言えるだろう。
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