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麻生副総裁「岸田、やらせてみたらそこそこ」放言に戸惑いの声
https://friday.kodansha.co.jp/article/239894
2022年04月21日 FRIDAYデジタル
岸田首相を「支える」麻生太郎、安倍晋三、菅義偉。三者三様の「存在感」を演出する 写真:ロイター/アフロ
「大丈夫かな、頼りない顔だなと思っていたが、やらせてみたらそこそこやるじゃねーか。安倍や麻生のように売られたケンカは買うという顔より、控えめで優しく柔和でほわっとしたヤツの方が、今みたいな時はきちっとやる」
麻生太郎副総裁は、こう言い放った。福岡で行われた参院選準備のパーティ席上だ。自民党総裁である岸田文雄首相を、誰よりも軽んじていた「副総裁」は、岸田首相をこう「賞賛」した。あからさまな上から目線である。政権の命運を左右する選挙を目前に控えたこの時期、政権批判はできない。参院選に勝って権力を維持しなければならない。
俺が政権を支えている
「麻生派は、岸田政権のど真ん中でしっかり政権を支えていく」
先に行われた派閥のパーティでは、こうも言い放った。「俺が、政権を、支えている」というわけだ。麻生派周辺の幹部代議士が語る。
「岸田政権発足直後の昨年10月総選挙で麻生氏は『岸田首相は一皮むけた』と褒めていました。岸田自民党は安定多数を保ち、野党を押し切った。そしてこの夏の参院選挙を乗り切れば岸田の『黄金の3年間』が約束される。このころから、仲良しだった安倍晋三と麻生の間に、すきま風が吹くようになったのです」
「臨機応変」「機を見るに敏」は、政治家の必須条件。政権の支持率が安定して高水準なら、岸田だろうが、河野太郎だろうが、自民党が政権を握っている限り「誰だっていい」のだ。まして自らは、安倍政権の副総理、岸田政権の副総裁と権力中枢に居続けている。この心地よいポジションを、わざわざ壊す必要はない。
党内「重鎮」たちが一斉にそっぽを向いた
そうなると、隅に置かれた安倍元首相、菅義偉前首相、二階俊明元幹事長は面白くない。岸田首相に対して、影に日向に、トゲのある言動が目立ってきた。
「安倍さんは安全保障一本槍のタカ派路線で岸田首相の外交政策に注文をつけている。菅さんは、参院選後の政局を見据え、多数派工作に余念がない。今冬には、円安の進行で物価はびっくりするほど高騰しているだろう。国民生活は、どんな苦難に陥るか…何が起きるかわからない」(閣僚経験者)
たしかに、経済政策の失敗に加えコロナ禍と欧州の戦争で、日本の経済にはまったく明るい未来がみえない。経済アナリストがいう。
「コロナ規制解除で4〜6月は個人消費が多少上向きますが、10〜12月には再び電力節約を呼びかけるほどのエネルギー危機がくるでしょう。小麦や木材など輸入品の価格は高騰。ロシア危機がもたらす経済危機は一段と深刻になります」
発足から7ヶ月を経た岸田政権はしかし、まだこれといった仕事をしていない。ゆえに「失策がないから支持率が下がらない」(官邸スタッフ)という状況だ。
「キャラ変」した首相に周囲は…
だが、つい最近、元政治部長たちと旧交を温めた岸田首相は、これまでとは様変わりしていたという。
「野党の追及をかわす国会答弁のように、意味内容の薄い応答をするキャラだった岸田さんが、最近、踏み込んだ発言もするようになりました。自信が出てきたのかも。地位が人を作るとはまさにこういうことかと。
ですが今、岸田首相の心配は『参院選までにコロナ感染者を抑えたい。どうすれば、若い人たちがワクチンを打ってくれるだろうか』ということだけ。ウクライナ問題や急激な物価高よりコロナ感染が気がかりなんです。ちょっと驚きでしたね」(大手メディア幹部)
「そこそこ政権運営できる」なら、この国民生活を圧迫する物価の高騰をどうするのか。国内外の問題を「無難にこなしている」程度では困る。とはいえ、一国のリーダーを「やらせてみたらそこそこできるヤツ」と評する「副総裁」の発言にも疑問しかない。「やらせた」のは、副総裁ではなく、国民だ。
選挙を通じ、間接的に国民から政権を任された以上、与党は「一体となって」国政運営に取り組むべきだろう。今夏の参院選は、国民の側から意思表示ができる貴重な機会だ。
取材・文:岩城周太郎
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