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※紙面抜粋
※2022年4月15日 日刊ゲンダイ2面
【庶民の我慢は限界だ】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) April 15, 2022
1ドル130円ならば政権交代が必要
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/7VJOzPKpr3
※文字起こし
円の下落が止まらない。抵抗ラインとみられていた1ドル=125円をあっさり突破し、とうとう13日、126円31銭まで売り込まれてしまった。126円台に突入するのは、約20年ぶりのことだ。ただでさえ物価の高騰がつづいているのに、このまま円安が進んだら、輸入品が高くなり、さらにインフレが加速するのは間違いない。
日本円はこの1カ月で11円も下落している。急落している要因は、日米の金利差だ。金利の引き上げに動くアメリカに対して、日本は低金利政策をつづけているため、金利の高いドルを買って円を売る動きが強まっている。さらに、日銀の黒田総裁が13日午後、「金融緩和を粘り強くつづける」と式典で挨拶したため、一気に円が売られてしまった。
はたして、円はどこまで下落するのか。止める手段はあるのか。
「これまで1ドル=125円が円安の壁だとみられていました。いわゆる黒田シーリングです。でも、126円台に突入し、黒田シーリングが突破されたことで、マーケットは次の節目を130円と認識しはじめています。ミスター円と称された榊原英資・元財務官も、130円程度まで円安が進むと予想しています。130円を突破すると、次の節目は135円になる。問題は、円安を止める手段が見当たらないことです。日銀が利上げに動けば円安はストップするでしょう。でも、黒田日銀は、景気が落ち込むことを恐れて絶対に利上げしようとしない。もう一つ、為替介入という手段もありますが、こちらも難しいと思う。効果的な介入にはアメリカの協力が不可欠ですが、アメリカが自国のインフレにつながる“円高・ドル安”を容認するとは考えづらいからです」(経済評論家・斎藤満氏)
どこまで円が売られるのか、まったく見えない状況だ。
早くも始まった値上げラッシュ
この先、円安が1ドル=130円、135円、140円と進んだら、インフレも凄まじい勢いで進行するはずだ。日本は、エネルギーも食料も原材料も輸入に頼っているだけに、円安が進むと、あらゆるモノが値上がりしてしまう。
すでに足元では、この4月から食料品の値上げラッシュが始まっている。日清オイリオグループやJ-オイルミルズはサラダ油などを1キログラム当たり40円上げた。雪印メグミルクや森永乳業、明治もスライスチーズなどを数%値上げ。過去42年間、値上げしなかった人気駄菓子のうまい棒も、とうとう10円から12円への値上げを余儀なくされている。
庶民にとってインパクトが大きいのが電気料金の上昇だ。例えば東京電力だと、使用量が平均的な家庭の4月分の電気料金は、1年前から1813円もアップ、8359円になった。大手電力10社のうち7社が4月分の電気料金を上げ、5月分は全10社が値上げに踏み切る予定だ。過去5年間で最も高い水準になる。
物価上昇によって、庶民生活はどんどん苦しくなっている。内閣府の試算によると、エネルギー価格の上昇で、家計負担は年間2万円以上も増えるという。食料品についても、年間5396〜9492円の負担増になるそうだ。
経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「日本の景気は長期低迷し、過去20年にわたって労働者の賃金は上がりませんでした。それでも、なんとか多くの国民が生活できていたのは、モノの値段が安かったからです。ある意味、デフレに救われていた。それだけに、物価高騰の影響は深刻です。所得に占める税金や社会保障などの負担割合が、21年度は過去最大の48%になりました。手元に残る資金は減っている。そのうえ物価高です。はたして庶民の生活が成り立つのかどうか。しかも、物価高騰はまだつづくとみられますから、今後、困窮する人が増えてくる恐れがあります」
庶民の我慢はもう限界だ。
最初から庶民は眼中になし
庶民を苦しめるインフレに歯止めをかけるためには、まず円安をなんとかするしかない。円安進行がストップすれば、物価の上昇にもブレーキがかかるはずだ。
なのに、黒田総裁は「円安は全体として我が国の経済にはプラス」と国会で答弁しているのだから信じられない。国民の多くが物価高騰に苦しんでいるのに、どうして“全体としてプラス”などと言えるのか。そもそも“全体”とは誰のことなのか。
つい最近まで、円安は“企業にはプラス”“個人にはマイナス”とされてきた。しかし、いまや企業も円安の弊害を訴えている状況だ。原材料の仕入れ価格が上昇し、収益を悪化させているからだ。ロイター通信の調査によると、1ドル=120円超の円安水準について、48%が「減益要因」と答え、「増益要因」と回答したのは半分以下の23%だった。
ファミレス大手のサイゼリヤの社長は「円安はすべての輸入品にきいてくる。最悪の一つだ」と決算会見で語り、牛丼チェーン吉野家の社長も「円安の影響は小さくない」と会見で吐露している。
円安によって仕入れコストがアップしても、多くの中小企業は価格転嫁が難しく、ほとんど利益を出せなくなっている。
黒田総裁が口にした“全体”とは、円安で潤う、一部の輸出大企業のことなのではないか。
アベノミクスが実施されたこの9年間、異次元緩和と官製相場によって、大企業と富裕層だけが儲かり、庶民は切り捨てられてきた。要するに黒田日銀は、最初から庶民は相手にしていない、ということなのではないか。“全体”の中に庶民は入っていないということだ。
これが参院選の最大の焦点だ
こうなったら、国民が思い知らせるしかないのではないか。黒田日銀もヒドすぎるが、岸田政権もあまりに無策だ。
これだけ庶民が物価高に苦しんでいるのに、岸田首相からはインフレ退治への本気度がまったく見えてこない。物価高対策を巡って、野党が補正予算の編成を求めても、動こうともしない。理由は“選挙対策”だ。
「補正予算案を審議する場合、6月に衆参予算委員会を開催することになります。岸田自民は、夏の参院選前に野党に追及の機会を与えたくないわけです」(永田町関係者)
そもそも、岸田政権に経済対策があるのかどうか。「新しい資本主義」を一枚看板に掲げているが、いったいどんな中身なのか、昨年10月に首相に就任してから6カ月たっても、いまだに“正体不明”である。
結局、国民の生活など本気で考えていないのではないか。
野口悠紀雄・一橋大名誉教授が14日の日経新聞で、円安阻止の必要性を訴えた上で、〈これは参院選の大きな争点にもなるだろう〉と語っていた。まさにその通りだろう。物価高が最大の争点になれば、参院選で岸田自民は「ノー」を突き付けられる可能性がある。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「富裕層を潤わせ、中間層以下を困窮させたアベノミクスを継続しているのだから、岸田政権で庶民の生活が良くなることはないでしょう。もし、インフレを退治したいなら、消費税減税をやるべきです。物価急騰が参院選の争点になれば、怒った国民は投票所に足を運ぶと思う。参院選は政権選択選挙ではありませんが、過去、時の政権を崩壊させています。07年参院選で負けた安倍首相は2カ月後に退陣し、1998年参院選では自民大敗の責任を取り、橋本龍太郎首相が辞任しています。結果によっては、政権交代につながる可能性もあるでしょう」
もし自民を大勝させれば、岸田政権は3年間、国政選挙がない「黄金の3年間」に突入し、庶民にとっては「地獄の3年間」となる可能性が高い。国民はよーく考えた方がいい。
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- 岸田政権「口先介入」不発で円安20年ぶりの126円台…「為替介入」には米インフレの壁あり(日刊ゲンダイ) :経済板リンク 赤かぶ 2022/4/16 00:01:05
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