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プーチンに21億円も上納。安倍晋三氏の「負の遺産」がウクライナ国民を殺す
https://www.mag2.com/p/news/532286
2022.03.17 『きっこのメルマガ』 まぐまぐニュース
決して許されないプーチン大統領の蛮行に国際社会が厳しい制裁を以って臨んでいる中、日本政府は理解不能な暴挙に出ようとしているようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、安倍政権時代に締結された「日露経済協力8項目のプラン」を白紙に戻すことなく、来年度予算計上されている21億円についても見直すつもりはないとした岸田首相を厳しく批判。さらにこの経済協力プランがこれまでどのように運営されてきたかを紹介した上で、安倍氏の負の遺産を引き継ぎ、ロシアに「上納金」を支払い続ける愚行を強く非難しています。
岸田文雄の二枚舌外交
「3月14日はホワイトデー」だと言う人も「3月14日は円周率の日」だと言う人も、自民党政権のダブルスタンダードぶり…と言うか、岸田文雄の二枚舌ぶりが完全に露呈した3月14日(月)の参議院予算委員会、立憲民主党の福山哲郎議員と森ゆうこ議員の質疑を、ぜひ国会中継のアーカイブで見てほしいと思います。しかし、そんな時間はないという忙しい人のために、痒いところに猫の手が届く『きっこのメルマガ』が、ポイントとなる部分だけを書き起こしました。どうぞ、お楽しみください。
福山哲郎 「総理、2014年のクリミア併合の時、米欧が制裁を強め、ロシアへの警戒感を強めていた時、当時の安倍政権は、お付き合い程度のゆるやかな制裁で(国際社会の)批判を浴びました。そして、その(経済制裁の)さなかの2016年、(日本は)経済協力に加え、北方領土について(四島返還から)二島返還へ舵を切り、シンゾー、ウラジーミルと呼び合い、ロシアと蜜月の関係であることを国民に示されました。ところが、残念ながら領土返還交渉は進まず、外交青書からは『北方領土は日本固有の領土でロシアの不法占拠が続いている』という文言が消えました。挙句には領土活用しないというロシア憲法の改正までやられました」
…というわけで、まずは福山議員の重要な指摘を大前提として書き起こしました。そして、この後のやり取りを見ると、プーチンの言いなりだった安倍政権の「負の遺産」が、現在の岸田政権にも引き継がれていることが分かるのです。
福山哲郎 「時間がなくなって来たので矢継ぎ早に質問します。安倍政権時代にやった日露の8項目の協力プラン、来年度の予算案に入っている金額の総額を言ってください」
鈴木俊一財務相 「令和4年度予算案における8項目の協力プランにかかる予算規模、これは各省にまたがっておりますが、合計しますと、約40、いや、約21億円と承知しております」
福山哲郎 「これに対しては、協力、やめられるんですよね?」
萩生田光一経産相 「繰り返し答弁しておりますけど、その事業、今は協力体制で前へ進めるという状態じゃありませんので、いっさい(ロシアからの)交渉には応じません」
福山哲郎 「これ予算書に入ってますが、この予算、どうするんですか?」
萩生田光一 「他方、すでにロシアに進出している(日本)企業の皆さんもいらっしゃいます。撤退も考えなきゃならない事態もあるかもしれません。そういう意味では、この予算はですね、計上させていただいて、そういった対応に使わせていただく予定でございます」
福山哲郎 「それは目的外使用だと思いますよ。それは問題だと思いますよ。(後略)」
…というわけで、続きましては、同じく立憲民主党の森ゆうこ議員の質疑です。
森ゆうこ 「まずもって、ロシアによるウクライナへの戦争、本当に許し難い。戦っている方たちだけでなく、無辜(むこ)の市民、子どもたち…。国連人口基金によると、これから3カ月の間に赤ちゃんを出産予定の妊婦さんが8万人もウクライナにいらっしゃる。そのうち1万人ぐらいの方は帝王切開など医療行為が必要なのではないか、支援が必要との話があります。本当に許せない。どんな理由があろうとも、今、プーチン大統領がやっていることは、絶対に許してはならないと思います」
森ゆうこ 「とにかく日本ができること、支援を進めていただきたいと思いますけれど、第2次安倍政権以来、これまでの政権のロシア対策やロシア政策、間違っていたのではないでしょうか?2014年のクリミア侵攻以来、国際社会は(ロシアへの)経済制裁を続けて来たのに、日本だけは、もちろん北方領土の問題はありますが、経済協力をして来たわけですよね?そういう中で(ロシアは)戦費を得て、北方四島に新たなミサイルを配備しました。北方四島の戦略拠点化については、立憲民主党からたびたび質問主意書などで問題提起して来ました」
森ゆうこ 「本来であれば国際社会と一致して制裁強化すべきところを(安倍政権は)お金を提供して来た。間違った政策だったと思います。先ほどの(福山議員の)質疑で、8項目の対ロシア協力、21億円ということですが、私はこの(ロシアへの協力金という)お金を含んだ来年度予算には賛成できません。減額修正すべきと思いませんか?」
萩生田光一 「さっき福山先生帰られちゃったんだけど、質問時間がなくなって来た中で、的確にということだったんでその数字申し上げたんですけど、決してこれ協力を推進するお金じゃなくて、中小企業のコンサルタント事業など、経産省だけじゃなくて、農林水産省、厚労省、それぞれ足したのが21億円でありまして、これはあの、事業を前向きに進めるわけではないとしても、やっぱりこの、進出してる企業の皆さんに寄り添っていくために必要なお金でございますので、ご理解いただきたいと思います」
森ゆうこ 「日露経済協力プランの中の予算ですよ?この予算は削除すべきだと思います。先ほどのご説明だと、目的外使用に当たりませんか?総理!」
岸田文雄 「委員ご指摘の21億円の予算ですが、昨年末、予算編成をした、その後、今回のような大変非難されるべき大変な事態が生じた、事態が変化したわけでありますが、今後この事態がどう変化するのか、これは予断を持って申し上げることはできません。よって今の状況で予算の修正ということは考えていないということであります。そして、先ほど経産大臣の方からも中身について答弁がありましたが、この21億円の中には、8項目にわたりまして、様々な政策が用意されております。その中には、日本企業に対する情報提供など様々な支援、これも21億円の中に入っているわけです。こうした状況の変化の中で日本企業をどう支えていくのか。さらには我が国のエネルギー安全保障に関わる、こうした予算もあります。また人道的な支援、こうしたものもこの中に加わっています。こうした内容を考えましても、今後の状況の変化によって、この予算をどう取り扱うのか、これは今の段階で予断を持って申し上げる、さらには修正する、こうしたことは難しいと考えております」
「明快!」(自民党議員席から)
森ゆうこ 「いやいや、何が明快なんですか?ぜんぜん明快じゃないですよ!今の絶対許しちゃいけないプーチン大統領の行動に対して『NOだ!』と、国際社会が一致団結して『NOだ!』と言っている時に、何が『日露経済協力8項目のプラン』なんですか?やめるべきですよ!この予算!そう思いませんか!」
岸田文雄 「今回のロシアの暴挙には、我が国は強く非難し、国際社会と共に、様々な厳しい措置を講じています。そして、我が国の措置は、国際社会からも高く評価されているわけであります。そして、今、議論になってるのは、この21億円の議論、この予算の取り扱いについては、状況が不透明であるということ、また、我が国のエネルギー安全保障、あるいは人道的な支援、そして、日本企業に対する情報提供を始めとする支援、こうしたものが入っているわけですから、たちまちこれを修正するということはできない、ということを申し上げているのでございます」
森ゆうこ 「まあ、ようするに言い訳ですよね。その厳しい状況、制裁は返り血もあるんですよ!」
「いい加減にしろ!」(自民党・小鑓(こやり)隆史のヤジ)
森ゆうこ 「小鑓さん、何が『いい加減にしろ』なんですか?こっちが『いい加減にしろ』と言いたいですよ!真剣に、この戦争を止めるために制裁をやるんでしょ?(それなのに)われわれはまったく逆の予算で(ロシアを)支援させられてるんですよ!おかしいじゃないですか!国際社会から疑いの目で見られる。クリミア侵攻以降、そうなんですよ。軍事費をロシアに提供して来たのは日本じゃないか。そういう批判もあるんですよ。(この方針は)大転換をすべきだと思います」
…そんなわけで、この「日露の8項目の経済協力プラン」というのは、2016年5月、安倍晋三がプーチンのご機嫌を取るために提案したもので、予算の大半はロシアのために使われて来ました。たとえば、ロシアの医療水準を引き上げるために医療センターを開設したり、ロシアの生活環境を引き上げるためにインフラ整備をしたり、空港や港湾を整備をしたりと、多くの予算をつぎ込んでいるのに、得をするのはロシアばかり。
あたしが一番呆れたのは、新型コロナの検査キット不足で日本中が困っていた時に、当時の安倍政権はこの予算でロシアへ検査キットを融通していたという事実です。日本側でメリットがあるのは、関連事業に参画した安倍晋三のお友だち企業、自民党のスポンサー企業だけで、これは体(てい)の良いロシアへの上納金です。
何故なら、医療センター、インフラ整備、空港や港湾の整備など、本来はロシア政府が自国の予算でやるべき事業を「経済協力」の名のもとに、日本政府が日本の予算でやってやるのですから、その分、ロシアの予算は浮き、プーチンはその予算を軍備増強など好きなことに使えるからです。
このような予算ですから、萩生田光一が言うような「ロシアに進出している日本企業に寄り添うため」に使われることは一切ありません。また、萩生田光一は「ロシアに進出している(日本)企業」が「撤退も考えなきゃならない事態」になった場合の「対応に使わせていただく予定」と述べましたが、仮に日本政府がそんなことに使ったら、それこそ福山議員の指摘の通り「目的外使用」になってしまいます。
つーか、日本が欧米の経済制裁に同調した報復として、プーチンはロシアが実効支配する北方領土に免税特区を創設するための法案に署名・発効させたというのに、どうして日本は安倍晋三の「負の遺産」を上納し続けなきゃならないのでしょうか?もはや「弱腰外交」を通り越して「言いなり外交」です。
今回、岸田文雄は、強い言葉でプーチンを批判し、米国主導のロシアへの経済制裁に歩調を合わせると発表しました。しかし、テーブルの下では、21億円もの上納金をプーチンに渡そうとしているのです。これほどの二枚舌があるでしょうか?これでは強い言葉でのプーチン批判も、夏の参院選に向けた国内アピールにしか見えません。国際社会が1つになってプーチンの暴挙を止めようとしている時に、こんな人物が日本のリーダーだなんて、あたしは日本人の1人として、本当に恥ずかしいです。
(『きっこのメルマガ』2022年3月16日号より一部抜粋・文中敬称略)
image by: 首相官邸
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