http://www.asyura2.com/22/senkyo285/msg/769.html
Tweet |
※2022年3月11日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年3月11日 日刊ゲンダイ2面
【究極の選択になす術なし】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) March 11, 2022
ウクライナ玉砕か 世界大戦か
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/4RcUnWdEtB
※文字起こし
罪なき犠牲者が増え続けるウクライナをいかに支援していくのか。世界戦争に突入しかねない恐怖を前に、国際社会が揺れている。
ポーランドが保有する旧ソ連開発のミグ29戦闘機(ウクライナ空軍使用と同型)を、米国を通じてウクライナに提供する案について、米国防総省は9日、「支持しない」と明確に拒否した。提供すればロシア側が猛反発し、NATO(北大西洋条約機構)との軍事緊張が高まるおそれがあるからだ。
米政府内では、ポーランドがウクライナに戦闘機を提供し、代わりに米保有のF16戦闘機をポーランドへ提供する案が浮上していたが、これにはポーランドが拒否。米もポーランドも、ロシアと戦う当事者になるのを避けたい思いは同じであり、トランプのババを押し付け合っている状態なのだ。
欧米はウクライナ上空に「飛行禁止区域(ノー・フライ・ゾーン)」を設けることにも消極的。「飛行禁止」という言葉の響きとは違って、意味するところは、NATO軍によるロシア軍機の撃墜だ。ロシア対NATOの直接戦争になりかねない。
結局、ロシア産の原油や天然ガスの全面輸入禁止など、ロシアを軍事的に刺激しない経済制裁にとどめざるを得ないのだ。米下院は9日、ウクライナ支援関連で合計136億ドル(約1兆6000億円)の予算案を可決、上院に送付した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は9日も「我々は戦時下にある。飛行機を送って欲しい」と悲痛な訴えだった。ゼレンスキー与党からNATO加盟を当面棚上げする案が浮上したのも、ウクライナ側が「我々を見殺しにするのか」と苛立っているからだろう。
米世論は軍事介入への支持急増
プーチン大統領のロシアによる一方的なウクライナ侵攻は国際法違反であり、絶対に許されない行為だが、つくづく悔やまれるのは、米国は先人の教えになぜもっと耳を傾けなかったのか、ということである。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏も本紙コラム(10日発売)で指摘していた。米国の外交官で政治学者だったジョージ・ケナンやキッシンジャー元米国務長官ら大御所は「NATO拡大は戦争に至る」と警告してきた。キッシンジャーは「ウクライナはNATOに加盟すべきではない」「ウクライナを東西対立の一部として扱うことは、ロシアと欧州を協力的な国際システムに引き込むための見通しを何十年も頓挫させるだろう」と主張していたのである。<ロシアは危険な国であるからこそ、協力する枠組みをつくったのであり、その枠組みを外せば今のような事態になることも予想されていた>と孫崎氏は書いている。
国家エゴイズムが招く第3次世界大戦 |
ロシアは暴発し、戦争が始まってしまった。9日はウクライナ南東部マリウポリの産科小児科病院が空爆され、子どもを含む死者が出ている。瓦礫となった建物から血を流しながら逃げる妊婦や子どもの映像には、怒りとともにやりきれない思いが込み上げる。国際社会が協力してウクライナ国民を助けるべきだ、との世論がさらに高まっていくのは間違いない。
それはウクライナ支援の軍事介入に当初は圧倒的に否定的だった米国世論も同様だ。2月24日の侵攻以降、米世論が大きく変化してきていると、上智大教授の前嶋和弘氏(現代米国政治)がこう話す。
「軍事介入への支持は侵攻前は10%台でしたが、侵攻後のCNN調査では、『米はロシア軍をもっとしっかり止めるべき』が62%、『経済制裁がうまくいかなければ軍事介入もあり得る』が42%でした。子どもたちが逃げ惑う惨劇を続けさせてはいけない、という世論の高まりは、バイデン大統領を難しい立場にしています。外交問題でウクライナに焦点を当てた一般教書演説後、バイデン大統領の支持率がアップしました。ロシアにもっと強く出たい一方で、第3次世界大戦に突入してしまう恐れもある。現状、その板挟みです」
欧米諸国の本音は戦争はウクライナに任せ、ゲリラ戦を側面支援することで済ませたいのだろう。だが「ストップ・ロシア」「ウクライナを救え」の国際世論のうねりを前に、ウクライナ玉砕か、それとも世界大戦か、という究極の選択を迫られ、なす術なし、が実情だ。
軍事介入には踏み込めないNATOの弱みは、当然、プーチンに付け入る隙を与えることになる。
侵攻から2週間経っても首都・キエフを陥落できていないことなどから、「プーチンは誤算」「いずれ失脚」という楽観論も散見するが、むしろ、だからこそなりふり構わず何でもやるとみるべきだ。
ロシア軍は病院や住宅地でも構わず空爆し、無差別攻撃を強めている。占拠したチェルノブイリとザポロジエの2つの原発施設から、IAEAへのデータ送信が停止していることも恐ろしい。チェルノブイリでは電力喪失が起きた。隣国ベラルーシからの供給で電力が復旧したとはいえ、プーチンは欧州に核汚染が広がってもお構いなしにまで狂ってしまっているのか。
ここへきてロシアは、米国がウクライナで生物・化学兵器を開発中だと宣伝し始めた。侵攻を正当化するための口実づくりと受け止められているが、「米国に攻撃された」として生物・科学兵器を使う“偽旗作戦”への警戒感も広がり、まさに何でもありになりつつある。
ロシア軍に3方向から囲まれているキエフへの攻撃は「24〜96時間以内」と米戦争研究所が8日の報告書で予測した。おそらく、ここ2、3日で現実となる悲劇は歴史の転換点となるだろう。
無自覚に危険領域に踏み込む岸田内閣
先の太平洋戦争中に従軍記者として取材し、終戦の日に新聞人としての戦争責任を取る形で辞表を出した反骨のジャーナリスト・むのたけじさん(享年101)が、亡くなる1年前(2015年)に日刊ゲンダイのインタビューで、第3次世界大戦の可能性に言及していたことを思い出す。
<世界は第1次、第2次の大戦を経験し、その流れが解決できないまま続いています。要するに国家エゴイズムだな。だから国際連合にしてみても、なかなか機能を果たせていない><超大国が米ロ中の3カ国になってしまったから、これが2対1になれば戦争が始まる危険性がある。だから、独や英や日本などが、この3カ国を2対1にしないように努力しなければいけないわけだ>
誰もが起こりえないと思っていた「第3次世界大戦」が現実に目の前に迫っている。100歳の従軍記者には未来が見えていたのだろうか。
ロシアはすでに日本に「非友好国」のレッテルを貼った。今後、NATO対ロシアの戦争となり、それが長期化したら、日ロ関係も緊迫しかねない。ロシアが在日米軍基地をターゲットにしないとも限らない。2015年の安保法制で、解釈改憲によって集団的自衛権の行使を可能にした日本も、参戦を余儀なくされるだろう。
政治評論家の森田実氏が言う。
「安倍元首相に引きずられるように、岸田内閣は無自覚のうちに危険な領域に踏み込んできている。防弾チョッキをウクライナに送るなんて、軍事国家のやることです。憲法で戦争をしないと明確にしている国のすることではありません。ウクライナ対ロシアの戦いになっていますが、実態はバイデン対プーチンの戦争。岸田内閣は、日本国民の生命と安全を守ることを第一に考えれば、全方位に目を光らせながら、平和に生きる道を探るべきなのです」
原油価格が乱高下し、小麦など商品価格も暴騰。すでに経済恐慌の兆候が現れている。軍事的にも経済的にも世界は分断され、未曽有の混乱が加速する。
10日にトルコが仲介したロシアとウクライナの外相会談は、停戦をめぐり進展はなかった。4度目の協議も成果なし。ウクライナを救えるのか。世界大戦は避けられるのか。外交努力に光が差し込むことを祈るばかりだ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK285掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK285掲示板 次へ 前へ
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/
since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。