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※2022年1月26日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年1月26日 日刊ゲンダイ2面
【みんなが勝手に自宅療養】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) January 26, 2022
やがて誰も検査を受けなくなるだろう
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/5FkcpBZHQX
※文字起こし
新型コロナウイルスの第6波はどこまで高まるのか。25日の全国の新規感染者数は6万2613人。5万人超えからわずか3日で6万人の大台を突破し、過去最多となった。東京都1万2813人、大阪府8612人、愛知県4120人など各地で過去最多を更新。岸田政権はまん延防止等重点措置を18道府県に追加適用を決定した。期間は27日から2月20日までとし、対象地域は34都道府県に拡大する。9日から先行適用されている沖縄、広島、山口3県についても、今月31日までの期限を2月20日まで延長。それほど、医療提供体制の逼迫はどこでも深刻度を増しているということだ。
病床使用率は広島、山口など5県で40%を超え、緊急事態宣言発令の目安となる50%に迫っている。在日米軍がまき散らしたオミクロン株が急拡大し、全国最悪の感染状況が続く沖縄は64.7%(25日現在)に達した。1週間の新規陽性者数が過去最多となった18日から減少傾向に入ったことから、玉城デニー知事は「感染のピークは越えた。まん延防止等重点措置の一定効果が得られた」とする一方、重症化リスクの高い高齢者に感染が広がって入院調整が難しくなっているため警戒を緩めていない。
第6波のピークが見えない中、岸田政権は外来診療逼迫時の対応方法を変更。「受診に一定の時間がかかる場合」は「40歳未満で基礎疾患がなく、ワクチン2回接種済み」などの重症化リスクの低い人は、症状があっても抗原定性検査キットなどで自主検査した上での受診を呼びかけ。感染者の同居家族などの濃厚接触者が発熱した場合などは、医師の判断で検査せずに感染を診断できるようになった。「外来の逼迫が想定される場合」は重症化リスクが低くて軽症であれば受診せず、自主検査の結果を医師が配置されている自治体の「健康フォローアップセンター」に連絡。自宅療養で健康観察を受けることになる。
若者は犠牲、統計はメチャクチャ |
コロナ対策を助言する専門家有志がまとめた「若年層で重症化リスクの低い人は必ずしも医療機関を受診せず、自宅療養を可能とする」との提言を踏まえたものとしているが、つまるところ若者の切り捨て。病院に行かせないようにして「野放し」の先に解決策はあるのか。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「明らかに若者に犠牲を強いている。大学教員の立場からしても憤りを覚えます。感染が急拡大する中、若者を診察すれば感染者数の増加につながる。失策を覆い隠すために、医療機関から遠ざけようとしているとしか思えません。冬が近づけば第6波が立ち上がる可能性を多くの専門家が指摘していた。にもかかわらず、岸田首相は政権発足から100日間のハネムーン期間を無為に過ごし、オミクロン株の猛威にさらされた欧米から何の教訓も得ずにノーガードで突っ込んだ。無策にもほどがある。濃厚接触者の待機期間をなし崩しで緩和したのもそうですが、感染状況レベルに応じた対処方針をしっかりと固めておけば、後手後手対応は避けられたはずです。国民の健康と命を守るという政府の責任を次々に放棄する一方、このままでは国内の感染状況を正確に把握できなくなる。統計は政策立案の礎で、近代国家の運営は統計から始まる。データなくして適切な判断はできません。日本経済をズタズタにしたアベノミクスの演出に加担した厚労省や国交省の統計不正と根っこは同じです」
安倍・菅政権から「強面」を引いただけで、岸田政権もデタラメの焼き直し。どこが「メリハリの利いた対応」なのか。コロナ対応も弥縫策の連発だ。そもそも検査キットの不足もまた深刻で、一般向けの無料PCR検査場は数日先まで予約がビッチリなのはザラ。どこもかしこも長蛇の列で、「検査難民」が続出している。それでも生真面目に検査して陽性が判明すれば、どうしたって濃厚接触者を発生させてしまう。周囲に迷惑をかけまいと、みんなが勝手に自宅療養をはじめ、やがて誰も検査を受けなくなるだろう。重症者以外は面倒を見ない「非常事態」にあって、「先手先手で経済を止めない」などと言い続ける空虚といったらない。
専門家は第6波に潜む変異型デルタ株に警鐘 |
東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授がアドバイザーを務める「新型コロナウィルス抗体測定協議会」のリポート(23日付)によると、昨年12月中旬から東京を中心にデルタ株の変異型が発見されているという。オミクロン株は鼻やのどなどの上気道で増殖しやすいため重症化する割合が低いとされているが、デルタ株は上気道を通過して肺で増えるため肺炎が起きやすい。米国では感染力の強い変異型デルタ株が蔓延した昨夏、65歳以上の100人に1人が死亡した。協議会は全国8団体のデータを分析しており、PCR検査で判明している感染者数の4倍を推定。全国の新規感染者数は25万人超の計算になる。ここにデルタ株の変異型が一定程度潜んでいれば、結果は火を見るより明らかだ。協議会は〈高齢者及び基礎疾患を持つ方は、外出を抑え、やむを得ず外出するときには感染予防の対応を強化して、換気が十分でなく多数の人が集まる場所を避けるなど、感染危険を減らす対応が必須〉と警鐘を鳴らしている。
足元では内閣支持率は落ちていないが、株価も下落し、この先にあるのは不安ばかり。朝日新聞の世論調査(22、23日実施)によれば支持率は49%で、前回12月調査から横ばい。ただ、岸田政権の新型コロナ対応を「評価する」は6ポイント減の45%に下落し、「評価しない」は2ポイント増の38%に上昇。国民の不安心理を反映している。
ウクライナ危機で迫る大不況 |
株式市場も混迷の様相だ。岸田は自民党総裁選でブチ上げた金融所得課税の強化を慌てて引っ込めるほどマーケットの動きにビクビクしているが、無策首相を尻目に25日の日経平均株価は大幅に反落。一時、2万7000円を割り込み、前日比457円03銭安の2万7131円34銭で引けた。2021年8月20日以来、約5カ月ぶりの安値となり、調整局面入り。「新しい資本主義」を掲げながらアベノミクスを踏襲する岸田の二枚舌で、日銀が金融緩和を維持していることから日米の金利差が広がる警戒感、そしてウクライナ情勢の緊迫が引き金となった。
バイデン米政権はロシアによるウクライナ侵攻の脅威が続いているとして、在キエフ米大使館職員の家族に国外退避を命令。米軍約8500人の派兵準備に入った。ウクライナに近い東欧の同盟国に派遣し、NATO(北大西洋条約機構)が出動を決めれば即応部隊に加わるという。
「米ゴールドマン・サックス・グループはウクライナ情勢の悪化により、ロシアとドイツを結ぶ海底パイプライン『ノルドストリーム2』が制裁対象となれば、ロシア産ガスの欧州向け供給は無制限で減少する恐れがあると指摘している。現実になれば、エネルギー需給はさらに逼迫し、原油価格は暴騰。石油ショックが再来するでしょう。アベノミクスの弊害による円安と原油高騰などによる物価高が庶民の懐を直撃し、スタグフレーション(不況下の物価上昇)が懸念されていますが、ウクライナ危機が再来すれば、バブルが崩壊して世界的な大不況に突入しかねません」(立教大大学院特任教授の金子勝氏=財政学)
岸田は「常に最悪の事態を想定した危機管理」を決まり文句にしているが、先見性はおろか学習能力も欠如している。安倍・菅政権がコロナ失策で倒れた歴史から何も学んじゃいない。加速する棄民政策。いよいよ自分の命は自分で守るしかなくなってきた。
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