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※2022年1月26日 朝日新聞1面トップ 紙面クリック拡大
※2022年1月26日 朝日新聞28面
アベノミクスの“成果”はすべて虚構! 国交省不正統計13〜19年度も巨額カサ上げの衝撃
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/300461
2022/01/26 日刊ゲンダイ
兆単位のカサ上げ、恐ろしいのは安倍元首相政権時代はもっと巨額(C)日刊ゲンダイ
パンドラの箱が開いたのか。国交省の不正統計問題で2020年度の統計が約4兆円過大になっていた疑い──。朝日新聞が25日、報じた試算内容は衝撃だ。不正のあった「建設工事受注動態統計」はGDP算出の材料でもある基幹統計。そのデータが改ざんにより兆単位でカサ上げされたとすれば、これまでのGDPの数値はおろか、この国の信頼が大きく揺らぎかねない。
恐ろしいのが、13〜19年度のカサ上げはもっと巨額になるのが確実なことだ。国交省は00年の同統計の導入当初から改ざんを始めていた。建設業者が受注実績の提出期限に間に合わず、数カ月分をまとめて提出した場合、都道府県にそのデータを消しゴムで消すよう指示。数カ月分全てを最新1カ月だけで受注したように合算していた。
13年4月からは未提出の業者分の受注実績に関し、提出した業者の平均を推計値として上乗せするルールを導入。従前の合算も継続したため、二重計上が生じてカサ上げはさらに膨張した。
国交省は会計検査院に問題を指摘された直後の20年1月、都道府県に中止を指示した。ところが、担当課長は統計数値の急な変動を恐れ、合算する量を「数カ月分全て」から「2カ月分」に減らす折衷案を採用。場所を本省に移して組織ぐるみで改ざんを隠蔽し、昨年3月まで続けた。
朝日の試算は本省での改ざん分のみ。それだけで20年度は実績全体約80兆円の5%に相当する。合算量を減らす前の各年度の二重計上によるカサ上げ額は、桁が1つ違ってもおかしくない。
「由々しき国家の大罪」 |
「問題を矮小化し、早期幕引きを狙う岸田政権は『GDPにおける影響は軽微』とゴマカしていますが、残っている統計の元データは19年4月分以降のみ。あとは消され、影響を検証する余地すらない。統計は連続性がいったん狂うと、二度と使えません。過去の受注実績と比較できなければ、現在の建設業の実態は掴めず、有効な政策も打てなくなる。当然それで救われない企業も出てきます。インチキ国家は海外の信用を失ってマーケットも傷つけます。由々しき国家の犯罪です」(経済評論家・斎藤満氏)
13〜19年に政権を担ったのは安倍元首相だ。何かにつけ「名目GDPが安倍政権になってから500兆円を超えるようになった」と得意げに語り、「600兆円達成」目標をブチ上げたものの、単に統計をイジっただけではないのか。自慢の“成果”は全て虚構だったのに、いまだ「経済を成長させるためにはアベノミクスしかない」と言い切る安倍元首相は、もはや“憑き物落とし”が必要なレベルだ。
※朝日新聞、紙面一部文字起こし
20年度統計 4兆円過大か |
13〜19年度 さらに巨額 本社試算
国の基幹統計「建設工事受注動態統計」の不正をめぐり、国土交通省の本省職員が受注実績を無断で書き換えて二重計上していたことで、2020年度の統計が約4兆円過大になっていた疑いがあることがわかった。実績全体の5%に相当し、巨額の訂正が必要になる。13〜19年度は二重計上したデータの量がより多く、さらに大幅に過大だったことになる。▼28面=「正確と言えず」答弁
公表データを基に、朝日新聞が複数の専門家の助言を受けて試算した。この統計の開始当時に標本の抽出方法の設計に携わった横浜市立大の土屋隆裕教授(統計調査)は、この試算について「誤差は生じるだろうが、考え方は妥当」と評価。総務省統計委員会委員長で統計数理研究所長の椿広計氏は「試算の仮定は合理的で、概数は把握できよう」とした。
政策立案の前提であり、国内総生産(GDP)計算の材料でもある基幹統計が、データ改ざんによって兆単位で過大になっていた疑いが出てきたことは、開会中の通常国会で議論になるのは必至だ。統計法は、真実に反する基幹統計を故意に作成することを禁じており、罰則もある。
同省は20年度の統計を二つ公表しており、朝日新聞はこれらを用いて試算した。二つの統計は、データ書き換えで二重計上が生じた「書き換え後統計」(〈1〉)、書き換え前のデータで集計した「書き換え前統計」(〈2〉)。〈2〉には21年度から新たに導入された集計手法(新集計)がさかのぼって使われている。新集計では、旧集計に新たに、未回答の部分を埋めて補正するための係数をかけるが、この係数は公表されておらず、〈1〉と〈2〉は単純には比較できない。そこで、この係数を公表データを用いて大まかに割り出し、それを使って〈1〉と〈2〉を同じ条件にして比較したところ、1年間で約4兆円過大になっていた。検証委員会による14日公表の報告書に記載された、国交省が過去に行った検証の内容も参考にした。
今回の問題では、遅くとも00年4月から都道府県に指示して書き換えを開始。業者が受注実績の提出期限に間に合わず、数カ月分をまとめて提出した場合、この数カ月分全てを最新1カ月の受注実績のように合算していた。13年4月からは、未提出月には提出した業者の平均を推計値として計上するルールを導入したため、二重計上が生じ統計が過大になっていた。
会計検査院が問題を指摘し、国交省は20年1月、都道府県に書き換えをやめさせる一方、本省は書き換えて合算する量を「全月分」から「2カ月分」に減らしながら不正を続けていた。今回試算できたのは、本省での書き換えによる過大分のみで、20年度はそれだけで総額79兆5988億円のうち4兆円に上ることになる。
24日の衆院予算委員会では山際大志郎経済再生相が「GDPにおける影響は軽微と判断している」と答弁したが、統計がどれだけ過大だったか、その影響自体は国交省が検証中で結果はまだ出ていない。(伊藤嘉孝、柴田秀並、岡戸佑樹)
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