http://www.asyura2.com/22/senkyo285/msg/133.html
Tweet |
36年ベルリン五輪でナチスが増長 自由と民主主義を守るためなら外交的ボイコットも必要だ 三枝成彰の中高年革命
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/299663
2022/01/08 日刊ゲンダイ
1936年のベルリン五輪で世界中がNOを突き付けボイコットしていたら…(C)DPA/共同通信イメージズ
2月に行われる北京冬季オリンピックにアメリカが「外交的ボイコット」を表明した。日本政府も12月に「政府関係者を派遣しない」と発表した。
アメリカは中国の新疆ウイグル自治区での大量虐殺や人権侵害をボイコットの理由に挙げている。中国は真っ向から否定しているが、「国家安全法」により香港の自治を妨害しているのは事実だし、新疆ウイグル自治区での蛮行を疑う声は絶えない。すべての人に自由を保障する民主主義を守るためであれば、スポーツの場においても、選手と関係者の派遣を拒否するなど、NOを表明することは必要である。
民主主義を標榜している国は世界の半分以下だし、差別や迫害も、世界中に現実に存在する。アメリカにも問題がないわけではない。人種差別は依然としてある。学生時代、ノーマン・メイラーの小説「裸者と死者」を読み、そこに描かれたユダヤ人問題に衝撃を受けた。世界の正義を代表するかのように振る舞っていたアメリカも、一皮むけばさまざまな問題を抱えた人間の集まりに過ぎないことがわかったからだ。
白人警官による黒人男性の殺害事件が国を揺るがすデモに発展したのも記憶に新しい。その他にも貧富の差など多くの問題を抱えるが、さまざまな努力の積み重ねで少しずつ改善してきているのも確かだ。今回のボイコットも、自国で多くの問題を抱えながらもなお、自由と民主主義を守るために立ち上がる姿勢を表したものとして評価できる。
戦前にも似たようなことがあった。1936年、ヒトラー政権下のナチス・ドイツが開催したベルリンオリンピックだ。当時の国際社会はナチスのユダヤ人迫害を知りながら見て見ぬふりをし、なし崩し的にオリンピックに参加することで、それを容認してしまった。国力を世界に見せつけて自信をもったナチスは増長し、さらなる迫害や他国の侵略に突き進んだ。もし世界中がナチスにNOを突き付け、オリンピック参加をボイコットしていたら、ホロコーストもなかったのではないか?
ベルリンで金メダル4個を獲得したアフリカ系アメリカ人の男子陸上選手ジェシー・オーエンスは、目覚ましい活躍にもかかわらず敬意をもって扱われなかった。黒人差別のためである。
また、女性の映画監督の草分けレニ・リーフェンシュタールは早くからナチスに共鳴し、この大会の記録映画「オリンピア」(「民族の祭典」と「美の祭典」の2部作)を撮り、映像作家としての才能を発揮した。「民族の祭典」は名作として知られているが、戦後はナチスに協力した責任を問われて米軍や仏軍に逮捕された。不遇な晩年を送り、「私のどこに罪がある?」と最後まで主張を続けた。
いずれも差別や独裁国家への協力が人生を狂わせた苦い先例である。差別がなくならなければオーエンスのように報われないアスリートも出てくるし、リーフェンシュタールのような才人でも、人権侵害や思想統制を容認する国に同調すれば、彼らの暴力に加担した者として追及されるのだ。
世界がこのまま見て見ぬふりをし続ければ、中国はさらに増長するだろう。そして、かつてのナチスと同じ道を歩み出さないとも限らない。日本も、はっきりと意思表明をすべき時が来ている。中国に対してNOと言いたいなら、堂々とボイコットすればいいのだ。
三枝成彰 作曲家
1942年、兵庫県生まれ。東京芸大大学院修了。代表作にオペラ「忠臣蔵」「狂おしき真夏の一日」、NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」「優駿ORACIÓN」など。2020年、文化功労者顕彰を受ける。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK285掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK285掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。