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2023年5月18日 20時17分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/250811?rct=world
【北京=石井宏樹】中国が中央アジア5カ国の首脳を招いた会議が18日、陝西省西安で始まった。対面での首脳会議は初めてで、19日に共同文書に署名する見通しだ。巨大経済圏構想「一帯一路」の提唱から10年になるのを機に「ロシアの裏庭」といわれる中央アジアへの影響力を一層拡大させる思惑がある。先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を前に、対中抑止を強める日米欧に対抗する狙いもありそうだ。
習近平しゅうきんぺい国家主席は18日、キルギスのジャパロフ大統領、トルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領らと相次いで会談。17日にカザフスタンのトカエフ大統領と会談した習氏は「今回の会議は大きな節目になる。協力関係を新たな段階に進めたい」と語った。全体会合では「一帯一路」の具体的な事業内容やイスラム過激派への対応についても議論を交わす。
インド太平洋地域で米国による対中包囲網が強まる中、中国にとって中央アジアの重要性は高まっている。中央アジアは石油・天然ガスの供給元で、ガスパイプラインで中国とつながる。ウランや金、レアアース(希土類)などの資源も豊富で、エネルギー安全保障の側面からも安定的な関係構築が欠かせない。
「一帯一路」構想は習氏が2013年9月、カザフで初めて提唱。この10年で中国と欧州を中央アジア経由で結ぶ国際貨物列車の運行は急増。新路線の建設やカスピ海を通る海上輸送路の共同開発も進めている。
中央アジアにとっても貿易相手国としての中国の存在感は高まる一方だ。22年の貿易総額は700億ドル(約9兆6000億円)を突破して過去最高を記録。カザフは中国と査証(ビザ)なしの渡航実施で合意する見通しで、経済交流の活発化に期待を寄せている。
旧ソ連圏の中央アジアもウクライナ侵攻を受けてロシアとの距離感は広がる。カザフはロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東部の承認を拒否した。
一方、米国のブリンケン国務長官は今年2月、中央アジアを訪問して5カ国の外相と会談。ロシアの影響力が低下する中、経済協力や領土保全への支援を約束するなど取り込みに躍起で、中国と激しい綱引きを繰り広げている。
米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は「ロシアは中国のやり方を喜んでいない」との見方を伝えた。ロシア紙イズベスチヤは「ロシアと中国は(中央アジアで)補完し合っている」との専門家の分析を報じた。
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