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習近平氏がゼレンスキー氏の「招待」に応じる可能性は限りなくゼロに近い。理解のカギは「新冷戦」/BUSINESS INSIDER JAPAN
岡田充 によるストーリー • 昨日 7:10
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E7%BF%92%E8%BF%91%E5%B9%B3%E6%B0%8F%E3%81%8C%E3%82%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E6%B0%8F%E3%81%AE-%E6%8B%9B%E5%BE%85-%E3%81%AB%E5%BF%9C%E3%81%98%E3%82%8B%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%E3%81%AF%E9%99%90%E3%82%8A%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%82%BC%E3%83%AD%E3%81%AB%E8%BF%91%E3%81%84-%E7%90%86%E8%A7%A3%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%82%AE%E3%81%AF-%E6%96%B0%E5%86%B7%E6%88%A6/ar-AA19qJ6B?ocid=hpmsn&pc=EUPP_LCTE&cvid=538d4133b5594d449d81c257bf30ca5a&ei=15
「新冷戦」は、米中対立とロシア・ウクライナ戦争を貫く国際政治のキーワードだ。
中国の習近平国家主席(右)をウクライナに招待した、同国のウォロデミル・ゼレンスキー大統領(左)。
中国の習近平国家主席(右)をウクライナに招待した、同国のウォロデミル・ゼレンスキー大統領(左)。
© BUSINESS INSIDER JAPAN 提供
地球を二分したアメリカと旧ソ連の「東西冷戦」になぞらえ、アメリカ、ヨーロッパ、日本など民主主義国家群を「西側」、中国、ロシア、北朝鮮などの権威主義国家を「東側」と、二分する構造を指す。
ただ、中国が新冷戦に反対する一方で、ロシアは積極的に受けて立つスタンスを示しており、各国の対応は三者三様だ。
新冷戦の構造が今後実際に形成されていくかどうかは、ロシア・ウクライナ戦争の処理が「リトマス試験紙」になるかもしれない。
習近平氏のキーウ訪問、実現性はゼロに近い
ウクライナ問題をめぐる直近の情勢を振り返ると、三者三様ぶりがよく分かる。
まず、中国の習近平国家主席は3期目入りを果たした直後の外遊先として、3月20〜22日にロシアを訪問。プーチン大統領と首脳会談し、ウクライナ問題で対話と和平の仲裁役を担う立場を鮮明にした。
中国はロシア訪問に先立ち、ウクライナ侵攻から1年の2月24日、「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題した和平案を発表している。
この案は、(1)主権、独立、領土保全の尊重(2)冷戦思考の放棄(3)当事者による直接対話を通じて全面的停戦を実現(4)人道危機の回避(5)原発攻撃の停止(6)核兵器の不使用(7)制裁停止、など12項目からなる。
この和平案に対してバイデン政権は同日、「ロシア以外の誰も利することはない」と批判したが、ウクライナのゼレンスキー大統領は「中国が関与する用意を示す重要な合図」と評価。同時に「全ウクライナ領からのロシア軍撤退を含まない和平案は受け入れない」とも述べ、クギを刺した。
ゼレンスキー大統領の発言のポイントは、中国の仲裁を拒否していないことだ。
習氏のロシア訪問に先立ち、中国の秦剛外相は3月16日にウクライナのクレバ外相と電話会談し、和平交渉の再開を呼びかけた。まさにその直後、ゼレンスキー大統領が習氏と電話会談する用意があると欧米メディアが報じたため、中国による仲裁が現実味を帯びてきた。
だがその後、中国・ウクライナ首脳会談は行われていない。
ゼレンスキー大統領は「業を煮やした」のか、3月28日にAP通信のインタビューに応じ、「戦争開始以来(中国側と)接触はなく、(習氏と)ここで話したい」と述べ、習氏をウクライナに招待した。
この招待に対し、中国側の反応は「提供できる情報はない」と実にそっけない(3月29日、中国外交部の定例記者会見)。
中国が招待に応じる可能性は今のところゼロに近い。中国が2月に発表した和平案は、主権と領土の保全や国連憲章の尊重をうたってウクライナ側に沿う主張をする一方、新冷戦と対ロ制裁に反対するなど「中立」に近い姿勢だ。
ウクライナ民族主義をあおりながら欧米の最新鋭兵器を導入し、徹底抗戦を主張するゼレンスキー氏と会っても、対立だけが際立つことになる。
中国側はゼレンスキー大統領からの招待を「中ロ離間を狙う曲球(くせだま)」と受け止めているのではないか。
バイデン大統領の「新冷戦」論
ここで「新冷戦」に対する米中ロの基本姿勢を押さえておきたい。
まず、バイデン米政権は中国を「唯一の競争相手」とみなし、台湾有事を念頭に日本など同盟国やパートナーに大規模な軍拡を求め、「核の傘」に代表される従来の拡大抑止と組み合わせた「統合抑止戦略」を打ち出した。
さらに、半導体を中心に中国を西側のサプライチェーン(供給網)から締め出し、中国を西側中心の世界秩序から排除しようとする「新冷戦」政策を展開してきた。
ロシアのウクライナ侵攻後、バイデン政権はロシアと北朝鮮も「専制主義国家」に含め、イデオロギー対立をあおってきた。
一方でバイデン氏は習氏との対話・協議を通じて、新冷戦を求めないことや、中国の体制変更を求めないことなどを約束したとされる。中国側はその内容を「四不一無意(4つのノー、1つの意図せず)」として発表し、アメリカを「言行不一致」と批判し続けている。
では、中国側の外交スタンスはどうか。
習氏は2022年4月、米中対立が激化する情勢下の新外交指針を発表。
(1)各国の主権と領土保全を尊重し、内政干渉せず各国の国民が選択する社会制度を尊重する(2)冷戦思考を放棄して一国主義に反対し、集団的政治と陣営を組んでの対決はしない(3)他国の犠牲を強いて自国の安全保障を構築することに反対(4)国家間の見解の不一致と紛争を対話と協議を通じた平和的方式で解決する、など6項目から成る「グローバル安全保障イニシアチブ」を提唱した。
「民主か専制か」といったアメリカのゼロサム的冷戦思考と敵対的な同盟関係に反対し、内政不干渉に基づく多国間主義とグローバル秩序の多極化を強調しているのが特徴だ。
中国とロシアの「国際秩序観」の違い
ロシアも新外交指針を出した。プーチン大統領は3月31日に「外交政策概念」を発表(前回は2016年)。
ウクライナ侵攻を「アメリカと同盟国によるハイブリッド戦争(軍事力と非軍事力の組み合わせ)」と位置づけ、「ロシアの文明的役割などを損ない、あらゆる方法でロシアを弱体化させることを目的としている」と批判し、アメリカが仕掛ける新冷戦に対し、受けて立つ姿勢を明確にした。
この外交政策概念について、米シンクタンクの戦争研究所は「ロシアによる反欧米ブロックの形成強化が目的」と分析している。
また、プーチン大統領のブレーンを務めたロシアの国際政治学者ドミトリー・トレーニン氏は、中ロそれぞれの新外交指針から両国の国際秩序観の違いを明快に読み解く。
共同通信のインタビューで同氏は、ロシアのウクライナ侵攻を次のように位置付け、同国の「冷戦復活宣言」とみなす。
「欧米的な政治・経済・文化システムへの統合を目指したソ連崩壊後のロシアの30年は終了した」
「(17世紀のロシア皇帝)ピョートル大帝が始めた300年以上の『欧州への窓を開く』事業は終わった。(戦争終了後も)ロシアと欧州の断絶は残り、プーチンがかつて主張した『ロシアの欧州への選択』回帰はない」
その一方、トレーニン氏は「中国指導部は、欧米がロシアを締め出そうとしている米国中心の経済システムの中で、さらに高い地位を占めようとしている」と分析、中国が現在の世界秩序の中で発展を目指しているとみる。
戦争継続か停戦交渉かの「岐路」
ウクライナ侵攻から1年以上が過ぎ、ロシアは東部4州を併合したものの、一進一退の戦況が続く。ゼレンスキー大統領は3月末、激戦が続く東部ドネツク州の要衝バフムトの死守を訴えた。当面、米欧の兵器供与の下で戦争を継続する以外の選択肢はないように見える。
しかし、膠着(こうちゃく)状態が長期化すればするほど、「支援疲れ」から欧米諸国で停戦と和平交渉を求める声が高まるだろう。
そうなると、ロシア軍の即時全面撤退を求め戦争を継続するか、人道主義に基づき停戦交渉に応じるか、ウクライナは大きな岐路に立たされることになる。
ウクライナ民族主義をあおり続けるゼレンスキー氏も、中国の仲裁は拒否できない。
なぜなら、中国はインドやトルコなど開発途上の「グローバルサウス」諸国に軸足を置き、かつてアメリカが勢力圏とした地域で外交攻勢に出ており、もはや中国抜きの和平案は成立しないことを熟知しているからだ。
停戦交渉はいつどのような形式と枠組みをもって始まるのか。それは、ポスト・ウクライナ戦争の世界秩序に影響を及ぼす「リトマス試験紙」になるだろう。
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