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No. 1611 誰もがBRICS急行に乗りたがっている
投稿日時: 2022年11月8日
Everybody wants to hop on the BRICS Express
中国とロシアが主導するBRICSとSCOに参加しようと国々が列をなし、ユーラシア大陸は一段と大きくなり、西側諸国にとってはマイナスとなる。
by Pepe Escobar
まずは、上海協力機構(SCO)の2つの加盟国の間の「グローバルサウス貿易」の話から始めよう。その中心は、すでに悪名高いシャヘッド136ドローン、ロシア名はゼラニウム2、つまりポストモダン空戦のAK-47である。
米国はまたしてもトレードマークの皮肉なヒステリーを起こし、テヘランがロシア軍に兵器を提供していると非難した。テヘランとモスクワにとって、ウクライナの戦場に放たれた優れたコストパフォーマンスのよい、そして素晴らしく効率の良いドローンは国家機密であり、その配備をめぐっては双方とも一斉に否定した。それがイラン製{1}のドローンであろうと、設計を買ってロシアで製造したもの(現実的な選択肢)であろうと、取るに足らないことである。
米国が、ロシアと戦うためにウクライナに武器供与していることは実績が示している。帝国(米国)は「コンサルタント」、アドバイザー、トレーナー、傭兵、重火器、軍需品、衛星情報、電子戦の数々を通じて、事実上の戦争戦闘員である。それでも帝国の役人は、自分たちは戦争に加担していないと断言する。彼らは、またしても嘘をついている。
これが「ルールに基づく国際秩序」のもう一つの生々しい実例だ。どのルールをいつ適用するかは常に覇権国が決める。それに反対する者は、「自由」や「民主主義」、あるいはその時々の決まり文句の敵であり、恣意的な制裁によって罰せられるべきなのだ。
イランの場合、もう何十年も制裁を受けており、その結果予想通りまた制裁が繰り返されることになった。それはここではどうでもいい。重要なのはイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)によれば、22カ国以上がイランのドローン、シャヘッド136を求める列に加わっており、その数はさらに増えているということである{2}。
イスラム革命の指導者ハメネイ師も「シャヘッド136はフォトショップで加工したものではない」とコメントして、嬉々としてこの騒動に加わっている。
BRICS+に向けた競争
イランに対する新たな制裁措置が本当に「達成」したのは、ウィーンで復活した問題の核合意の調印にさらなる打撃を与えることである。より多くのイラン産原油が市場に出回れば、OPEC+が最近勇敢にも拒否した後だけにワシントンの苦境を実際緩和することになるのだ。
しかし絶対的な命題は残っている。ロシア恐怖症と同じく、イラン恐怖症が、米国の外交政策とヨーロッパの属国を担当するシュトラウス派/ネオコン戦争擁護派にはいつも優勢なのである。
したがってここでも、イランと米国、そしてイランとEUの関係において新たな敵対的なエスカレーションが起こり、ブリュッセルの、選挙で選ばれたわけでもない政権が、製造元であるShahed Aviation Industriesと3人のイラン人将兵にも制裁を加えたのである。
「空の花」(ロシアのゼラニウム)とは異なり、戦場では惨憺たる結果に終わったトルコのドローン、バイラクターTB2の運命と比較してみよう。
キエフはトルコに対し、ウクライナにあるモーターシッヒの兵器工場を使うか、トランスカルパチア/リヴィウに新会社を立ち上げ、バイラクターを製造するように説得しようとした。モーターシッヒのオリガルヒの社長ヴャチェスラフ・ボグスレーエフ(84歳)は、ロシアとのつながりから反逆罪に問われており、ウクライナの捕虜と交換される可能性がある。
結局、この取引は、トルコに新たなガスハブを設置しようとするアンカラの並外れた熱意(ロシアのプーチン大統領がトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領に個人的に提案したもの)により、頓挫した。
そして、BRICSと9カ国からなるSCOの相互関係が進展しており、このロシアとイランの軍事貿易の事例が密接に関連していることがわかる。
中国とロシアが主導するSCOは、汎ユーラシア的な組織で当初はテロ対策に重点を置いていたが、現在は地経済的、地政学的な協力にますます重点を置いている。ロシア、インド、中国の3カ国が主導するBRICSは、地政学的、経済的にSCOと重なりアフリカ、ラテンアメリカ、そしてそれ以外の地域にまでその輪を広げている。これがBRICS+のコンセプトであり、最近のバルダイクラブの報告書{4}で詳細に分析され、ロシアと中国の戦略的パートナーシップに全面的に含まれている。
このレポートでは、今後起こりうる、BRICS+の候補国に関わる3つのシナリオの是非を検討している。
まず、2017年のBRICSサミットに北京から招待された国(エジプト、ケニア、メキシコ、タイ、タジキスタン)。
次に、今年5月のBRICS外相会合に参加した国(アルゼンチン、エジプト、インドネシア、カザフスタン、ナイジェリア、UAE、サウジアラビア、セネガル、タイ)。
3番目はG20の主要経済国(アルゼンチン、インドネシア、メキシコ、サウジアラビア、トルキエ)。
そして、すでにBRICSへの参加に関心を示している{5}イランである。
南アフリカのシリル・ラマフォサ大統領は最近、「数か国」がBRICSへの加盟を強く望んでいることを確認した。その中の一つが西アジアで重要なプレーヤー、サウジアラビアである{6}。
さらに驚くべきことは、わずか3年前、ドナルド・トランプ前米大統領の政権下で、王国の事実上の支配者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)は特権的な帝国同盟としてある種のアラブのNATO{7}に加わろうとしていたことだ。
外交筋は、米国がアフガニスタンから撤退した翌日、MBSの特使がモスクワと北京の両方と真剣に交渉し始めたことを確認している。
2023年にBRICSがリヤドの立候補を必要なコンセンサスで承認すると仮定すれば、その結果オイルダラーに衝撃が走ることは想像に難くない。それと同時に米国の外交政策担当者が持つ大混乱を引き起こす能力を過小評価しないことが重要である。
米国がリヤド政権を容認している唯一の理由は、オイルダラーである。サウジアラビアが独立し、真に主権的な外交を行うことは許されない。そうなれば、地政学的な再編はサウジアラビアだけでなく、ペルシャ湾全体に関わることになる。
しかし、OPEC+が事実上、ロシア・中国を中心とするBRICS/SCOの道を選んだことで、その可能性が高まっている。これはオイルダラーの終焉に向けた「ソフト」な前文とも解釈できる。
リヤド・テヘラン・アンカラの三本柱
イランは、サウジアラビアよりも早くBRICSへの参加に関心を示していた。ペルシャ湾の外交筋によれば、イランはすでにイラク経由でやや秘密めいたチャンネルで行動を起こそうとしているという。トルコもすぐに追随するだろう。BRICSはもちろん、SCOについても、現在アンカラは極めて高い関心を持つオブザーバーの地位にある。
このリヤド、テヘラン、アンカラという三国が、ロシア、インド、中国(BRICSの実質的中核国)、そして最終的にはイランが西アジアで唯一正会員に加わっているSCOと密接に連携していくことを想像してみてほしい。
帝国への戦略的打撃は、桁外れに大きいだろう。BRICS+に向けた議論の焦点は、ドル本位制を脱却し、商品本位制の世界通貨を目指すという挑戦的な道筋にある。
BRICS+とSCOの間には、相互に関連するいくつかのステップがあり、共生の度合いを高めている。SCOの加盟国はすでに相互決済における自国通貨建て取引を徐々に拡大するためのロードマップに合意している。
インド最大の金融機関であるステイトバンク・オブ・インドは、ロシア関連の貿易のために特別なルピー口座を開設している。
トルコへのロシアの天然ガスは、ルーブルとトルコリラで25%支払われ、エルドアン大統領がプーチン大統領に自ら求めた25%の割引も適用される。
ロシアの銀行VTBはSWIFTを介さずに人民元で中国への送金を開始し、スベルバンクは人民元での貸し出しを開始した。ロシアの巨大エネルギー企業ガスプロムは、ガス供給の支払いをルーブルと人民元に均等に移行することで中国と合意した。
イランとロシアはルーブル/リアル建て貿易のために銀行システムを統一している。
エジプトの中央銀行は、自国通貨を米ドルから切り離すために、通貨グループと金を通じてポンドの指標を確立しようと動いている{8}。
そして、トルコストリームの話もある。
そのガスハブの贈り物
アンカラは長年にわたり自らを東西の特権的なガスハブとして位置づけようとしてきた。ノルド・ストリームが破壊された後{9}、プーチンは、このようなハブを通じてEUへのロシアのガス供給を増やす可能性をトルコに提示したのだ。トルコのエネルギー省は、アンカラとモスクワはすでに基本的な合意に達していると述べている。
これにより、トルコは、ロシアだけでなくアゼルバイジャン、西アジアの多くの地域、おそらくイラン、アフリカ北東部のリビアからのヨーロッパへのガスフローを実際にコントロールすることになるだろう。エジプト、ギリシャ、そしてトルコのLNGターミナルがこのネットワークを完成させるかもしれない。
ロシアのガスは、トルコストリームとブルーストリームというパイプラインを経由して運ばれる。ロシアのパイプラインの総容量は、年間390億立方メートルである。
トルコ経由のロシアガス・ルート Photo Credit: The Cradle
トルコストリームは当初、4本のパイプラインで年間6300万立方メートルの公称容量で計画されていた。現在、2本(総容量315億立方メートル)だけ建設されている。
だから延長は理論的には十分可能であり、機材はすべてロシア製だ。問題はやはりパイプの敷設である。必要な船舶はスイスのオールシーズ・グループのもので、スイスは制裁ブームに乗っかっている。バルト海では、ノルド・ストリーム2の建設を終えるためにロシアの船舶が使われた。しかしトルコストリームの延長には、もっと深い海域で操業する必要がある。
トルコストリームはノルド・ストリームに完全に取って代わることはできないだろうし、輸送量もずっと少ない。ロシアにとってプラスになるのは、EU市場から締め出されることがないことだ。明らかに、ガスプロムは、その安全性について鉄壁の保証がある場合にのみ、延長のための多額の投資に取り組むだろう。また、延長によってロシアの競争相手からのガスも運ばれることになるという欠点もある。
何が起ころうとも米英コンビがトルコに大きな影響力を及ぼしていることに変わりはない。例えば、BP、エクソンモービル、シェルは、西アジアにおけるほぼすべての石油採掘プロジェクトに関与している。そのため、トルコのガスハブの機能やガス価格の決定に干渉することは間違いないだろう。モスクワは、このようなプロジェクトにコミットする前に、これらすべての変数を考慮しなければならない。
もちろんNATOは憤慨するだろう。しかし両賭けの専門家であるスルタン・エルドアン(トルコ大統領)を過小評価してはいけない。エルドリアンとBRICSとSCOの両方のラブストーリーは始まったばかりだ。
Links:
{1} https://thecradle.co/Article/News/15599
{2} https://thecradle.co/Article/News/17039
{3} https://thecradle.co/Article/Analysis/17322
{4} https://valdaiclub.com/files/38432/
{5} https://www.reuters.com/world/middle-east/iran-applies-join-brics-group-emerging-countries-2022-06-27/
{6} https://thecradle.co/Article/news/17160
{7} https://thecradle.co/Article/Columns/8583
{8} https://thecradle.co/Article/news/17291
{9} https://thecradle.co/Article/Columns/16307
https://thecradle.co/Article/Columns/17447
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