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「マスク新指針」でコロナ感染は防げるのか? 3月半ばから個人判断 新型コロナを終わらせろ
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/278752
2023年02月21日 日刊ゲンダイ
マスク着用が緩和されるが…(C)日刊ゲンダイ
政府は新型コロナ対策としてのマスクの着用について、新たな方針を発表した。3月13日から屋内・屋外を問わず、個人の判断に委ねるという。ただし、医療機関を受診する際、重症化リスクの高い人が多い医療機関や高齢者施設などを訪れる際、通勤ラッシュ時といった混雑した電車やバスに乗る際には、マスク着用を推奨する。
重症化リスクの高い人が流行期に混雑した場所に行ったり、症状がある人や感染者本人、同居する家族に感染者がいる人は外出を控え、外出するときはマスクを着用するよう周知するという。
なお、全員の着席が可能な新幹線や飛行機、船、タクシー、高速バスなどではマスクを外してもよいとした。
しかし、これで本当に大丈夫なのか? 公衆衛生に詳しい岩室紳也医師が言う。
「国の新型コロナ対策を主導する立場の医師が、新たな方針を示した際に『換気が不十分なところではマスクが必要』とコメントしたのが気になります。エアロゾル対策の意味でしょうが、言葉足らずであり、一般の人が誤解する可能性があります。大事なことは空気の流れを強制的につくることへの意識づけです」
そもそも換気とは「室内の汚れた空気を室外の新鮮な空気に入れ替えること」を意味し、「室内の汚れた空気」とは、二酸化炭素、一酸化炭素、ハウスダスト、細菌、ウイルスなどを指す。多くの人は換気というと換気扇を回す、窓などを開けて、自然と空気が入れ替わることをイメージしがちだ。
「忘れてならないのはエアロゾルは、ウイルスを含んだ水分だから重いということです。二酸化炭素などは窓を開けるだけでも室内から追い出せるかもしれません。しかし、重いエアロゾルそれだけでは動かない可能性がある。ですからサーキュレーターなどを使って強制的に空気の流れをつくって拡散し濃度を薄めつつ追い出してやらないといけません。そのことを医療関係者ですら認識していないことが問題なのです」
屋外バーベキューで集団感染が発生した例も忘れずに
マスク着用の場面についても問題があるという。
「タクシー内ではマスクを外していい、という言い方ではダメだと思います。新型コロナ対策は感染経路が似ている結核対策と同じで、基本は風上に立つ人が安全です。ですから、運転手さんの足元から車の後部に向かって送風するようにして空気の流れをつくり、後部座席の窓を少しだけ開けておくことが大切だと思います」
学校の体育館での卒業式については持ち運びのできるジェット式の暖房器具があればそれをフル稼働しつつ、体育館の上の窓を開けることがいい、という。
「エアロゾルはマスクをしていてもマスクと顔の隙間から排出も吸い込みもするのでマスク以外のエアロゾル対策を考えるべきです。暖かい空気は上に行くのでエアロゾルを拡散しつつ、体育館から追い出すことが可能になります。単に扉や窓を開けるのではなく、強制的に空気の流れをつくり排気することが大切です。卒業式などでは同じ方向を向いて黙っているのですからそもそも飛沫(ひまつ)を出さないので、飛沫で感染する可能性がなくマスクはしなくてもいいと思います。合唱のときはマスクしなさい、と政府は言っていますが、歌っている人は同じ方向を向いていて、他の人の飛沫を直接目や口や鼻に浴びることは基本的にないですし、前で聞いている人との間隔が2メートルあればマスクは不要です」
また、以前屋外バーベキューで集団感染が出た例もあった。食事に飛沫がかかり、それで感染する可能性を考えれば料理をする人はマスクを着用したい。
エビデンスのない新型コロナ対策で日常生活を縛ることは終わらせるべきだが、科学的根拠のある対策は生活習慣として取り込まなければならない。マスク着用の緩和は感染対策を自分自身で考える一里塚なのである。
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