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副反応疑い死亡例は9月4日時点で1854件…その99%以上が「評価不能」判定の不可解 コロナワクチン接種後死亡を追う
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/313601
2022/10/29 日刊ゲンダイ
副反応疑いの死亡例1854件だが…(9月4日時点)/(C)日刊ゲンダイ
国が医薬品の安全性、有効性を判断するうえで厚生労働省所管のPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が重要な役割を担う。この医薬安全性の審判役=PMDAには医療機関から新型コロナワクチン接種後の「副反応疑い報告」が続々と寄せられている。
9月4日時点で、副反応疑い死亡例は1854件。PMDAは、それぞれ接種と死亡の因果関係について「否定できない(認める)=α」「認められない=β」「(情報不足等により)評価できない=γ」の評価を下しているが、α判定は一例もない。因果関係を否定したβ判定が11件で、残りの1843件(全体の99%以上)が評価不能のγ判定なのだ。
なぜ、これほど評価不能ばかりなのか。ワクチン政策に深く携わってきた厚労省幹部はこう語る。
「死亡報告の大半は新型コロナワクチンのせいではなく、偶然何かを発症したケースや、基礎疾患の悪化・再発の可能性が高いと考えられます。だから多くの情報が必要なのですが、なかなか得られず、γが増える。他方、集積した類似事例を解析し、通常よりも接種後にその疾患の発生率が上昇していれば、結果として因果関係が疑われます。現時点では両者に有意な差はなく、接種の利益がリスクを上回り、重大な懸念は認められません」
具体的に言えば、接種後の心筋炎の発生率と、通常の心筋炎の発生率を比べて差が出れば因果関係を認めざるを得ないというわけだ。しかし、死亡例で「有意な差」が出た段階では手遅れになる。個別の症例の判定を「情報不足」に逃げず、精緻にできないのか。PMDAの誰が症例の判定を下しているのか。PMDAの業務にかかわる厚労技官は次のように述べた。
「評価に当たる専門家は、呼吸器、循環器、神経、皮膚などの幅広い臨床経験または、副作用もしくは副反応症例の因果関係評価で相応の経験を有する方々です。そのなかから2名の専門家に個々の事例評価をお願いし、一致すれば、それが評価結果。不一致なら、もう1名の専門家に評価を頼み、2名の評価が一致したものを評価結果とします」
PMDAは薬系技官の牙城
γ判定のなかには、現場で患者を診た主治医が因果関係に「関連あり」としたものを覆した例が数多い。死亡例の評価はどのようにしているのか。
「死亡例でもとくに評価の仕方が変わるものではありません。情報が不足しているか、情報があっても他の要因と区別できないようなら、γ判定となる。個々に判断をしての結果です」
じつは、PMDAは厚労省でも医系ではなく、薬系の技官の牙城である。そこにワクチン政策では「受け身」の組織風土が見てとれる。次回は、この巨大な独立行政法人の組織にメスを入れよう。 (つづく)
山岡淳一郎 ノンフィクション作家
1959年、愛媛県生まれ。「人と時代」「公と私」を共通テーマに政治・経済、医療など分野を超えて執筆。著書は「ゴッドドクター 徳田虎雄」「原発と権力」「後藤新平 日本の羅針盤となった男」ほか多数。「ルポ副反応疑い死」近刊予定。デモクラシータイムス同人。
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