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福島第一原発の事故発生から13年 処理水と燃料デブリ取りだしの課題を解説します/水野倫之・nhk
2024年03月06日 (水)
水野 倫之 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/492294.html
福島第一原発の事故の発生からまもなく13年。現場では先週、処理水の4回目の海洋放出が始まった。放出自体はほぼ計画通りだが、その処理過程ではトラブルが相次ぎ、地元福島では東京電力への不信が高まっている。
また廃炉の本丸・燃料デブリの取り出しも3回目の延期が決まり、廃炉は未だ入り口段階。
処理水関連と燃料デブリ取り出しの2点から廃炉の課題を水野倫之解説委員が解説。
先月、福島第一原発を取材。
水素爆発を起こした1号機屋上にはいまだ汚染されたがれきが残っているため、100m離れても放射線量は1時間に80μSvと一般人の年間限度に12時間あまりで達する強さで、長くはとどまれない。
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事故では1号機から3号機がメルトダウン、格納容器内に燃料デブリとなって残された。極めて強い放射線が出ていて人が近づけず、政府と東電は最長40年ですべて遠隔で取り出すことを廃炉の最大の目標に掲げる。
その取り出しの準備として、政府と東電が去年8月に踏み切ったのが、汚染水の浄化後に残る処理水の海洋放出。130万t以上が1000基のタンクにたまり、取り出したデブリの保管場所確保のためにもタンクの撤去が必要と説明、先週から4回目の放出が始まった。
今年度中にタンク30基分が放出されるが、元となる汚染水も発生し続けていて、実際に減るのは10基分にとどまることから、いかに汚染水そのものの発生を減らすかが処理水対策のカギ。
ではどんな対策が行われているのか。
これまで東電は建屋周りの土壌を凍らせるなど大規模な対策で1日100tまで減らしてきたが、最近は大きな成果は上がっておらず、細かい対策が中心。
今回取材中に巨大な構造物の輸送に出くわした。1号機にかけるカバーの土台の一部。
1号機は天井が吹き飛んだままで、雨水が入り放題で汚染水に。東電は雨の浸入やダストの飛散防止のため来年までにカバーで覆う計画で、現場では土台の設置工事が行われていた。
また敷地をセメントなどで覆って雨水が地下水となって建屋に入り汚染水とならないための対策も続けられ、今回、残る道路の際を覆う工事が行われていた。
東電は当面こうした細かい対策により、4年後に1日50tまで減らすと。
ただ続く放出による影響は深刻。
中国による日本の水産物の輸入停止で、たとえばホタテは前の年から213億円、43%減。
日本政府は「科学的根拠に基づかない」と規制の撤廃を求めるが、見通しは立っていない。
こうした影響を抑えるには、まずは作業が計画通りであることが求められるが、現場では汚染水処理でトラブルが相次ぐ。
去年10月に浄化装置で作業員が放射性の廃液を浴びる事故が起きたのに続いて、先月、別の浄化装置で放射性物質を含む水1.5tが、建物の外に漏洩。
周辺への住民帰還が進みつつある地元自治体関係者からは「お願いですから、私たちに心配をかけないでください」と不信や懸念の声が。
またトラブルは中国に輸入規制の口実を与えることにも。
東電によると直接の原因は、協力会社の作業員のミスだという。
右側のように弁が配管に対して90度であれば閉まっているが、当時は配管と同じ方向で開いた状態だったが、作業員は以前の作業では閉まっていたため、弁を操作する必要はないという認識のまま水を流したという。
福島第一はほかの原発と違って廃炉用に後付けの設備が多く、作業員が慣れていないこともトラブルが多い原因と思われる。
ただ人は思い込みでミスをするもの。それを前提にした安全管理体制ができていなかったことこそ問題。
東電の手順書には、「弁を閉める操作をする」ことが明記されていなかった。
手順書は10月のトラブルでもあいまいさが指摘されたが、今回また同じことが問題となった点を東電は重く受け止めなければ。
トラブルが続くと住民の帰還に影響を与えたり、風評被害につながりかねない。
東電はほかのすべての汚染水関連施設の手順書が作業員にわかりやすいものになっているか総点検し改善していく必要。
またこの際、重要な弁については例えばAI機能付きのカメラで監視し、開いている場合は作業員に伝わるシステムが可能かも検討し、安全管理体制の強化を急がなければ。
ここまで処理水を見てきたが、廃炉の本丸、燃料デブリの取り出しも一進一退。
東電は今年度中に行うとしていた、2号機でのロボットアームによる燃料デブリの試験取り出しを断念。当初より3年遅れとなる今年10月までに別の方法で行うことを明らかに。
一体何が起きているのか、2号機と同じ型の5号機の格納容器を取材。
「2号機ではこの直径55センチの貫通孔からロボットアームを入れてデブリを試験取り出しする計画でした。しかし貫通孔はこうした電気ケーブルの被覆が溶けてかたまり、取り切れていません。」
取り出しに使うロボットアームは全長22m。
先ほどの貫通孔を抜けて格納容器の中へ、アームを18m伸ばす。
次に残りの4mを下に向かって伸ばし底にあるデブリに到達させる。
開発開始から6年がかり、格納容器を模した施設で訓練を繰り返し、試験取り出しに向けて去年10月、2号機の貫通孔のフタを開けたところ、堆積物で埋め尽くされていた。
これではアームは入らない。加えてロボットアームの精度にも問題が。
「ロボットアームはですね、この狭い入り口を通って、この足場にですね、だいたいこのくらいの穴が開いていまして、そこを通さなければなりません」
障害物との間に最低でも7p以上の距離をとる必要があるが、長く伸ばしたアームはたわんで接触する可能性があり調整が必要だとして、今月中の取り出しを断念。
東電はかわりに以前調査に使った釣り竿のような器具で、今年10月までに試験取り出しすることを余儀なくされる。
確かにアームが引っかかると蓋が開いたままとなり放射性物質が舞い上がれば作業員の被ばくにつながるおそれもあり、安全のため延期は致し方ない面も。
ただ釣り竿方式は動きが限定的で、内部を詳細に撮影しデブリの様子を確認することができない。
この先デブリにどう対応するか判断するには、デブリがどこにどんな状態であるのか内部状況を詳しく把握することが不可欠。
その点広範囲に動かせるロボットアームであれば内部を詳細に調査可能。
またこの先どんな取り出し方法になるにせよ、ロボットアームは必要不可欠な基本的な機器。
東電は堆積物の除去とアームの調整を急ぎ、この先のデブリ取り出しの技術的な基礎を確実なものにしていかなければ。
事故発生から13年、廃炉はいまだ入り口段階。ただこの先、廃炉を前に進めるには、安全の確保が大前提。東電は現場の安全の最終責任は協力会社ではなく自分たちにあることを自覚し、安全管理体制の強化を急がなければ。
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