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北京五輪外交ボイコットの主張強まるも…内政不干渉は第2次大戦後の基本 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/299588
2022/01/07 日刊ゲンダイ
中国新疆ウイグル自治区カシュガル市。設置された監視カメラのなか、生活をする人たち(C)共同通信社
北京冬季五輪の開会が迫る中、新疆ウイグル問題は国際社会の中心議題になっていく。日本では、自民党内に新疆ウイグル問題を理由に挙げ、「北京五輪を外交的にボイコットすべきだ」「日本は中国に対しもっと強硬路線を取るべきだ」との主張が強まっている。
新疆ウイグル地域で、イスラム教徒への弾圧があるのは事実だろう。世界を人権抑圧のないものにしたいという願いを抱くことに何ら問題はない。だが、世界のさまざまな地域にある人権蹂躙をなくすことができる段階には達していない中、我々は何をすべきかが問題である。
戦後の秩序の基本的理念は国連憲章に体現されている。国連憲章第2条にはこうある。
<この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。この憲章のいかなる規定も、本質上国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではない>
特定の国で人権蹂躙が行われているのであれば、国際連合は「正義の味方」の旗をかざし、内政に介入すべきではないだろうか。しかし、なぜ、そうしないのか。
近世の国際政治を見れば、内政干渉はその問題の解決にならず、逆に新たな対立を生み世界を不安定にしてきたからだ。さらに、特定の国の多くの政治的現象は歴史、社会的環境に深く根差しており、国際社会の干渉程度では改善できないのである。
米国は中東の民主化を進めるため、イラク、シリア、リビアに軍事介入したが、これらの国内は一段と混乱している。
アフガニスタンに関しては、米国は20年も戦い、西側諸国も民主化への資金協力をしたが、米軍撤退の後、アフガニスタンは再び20年前のイスラム社会に戻った。
日本と中国との基本構造を振り返ると、1972年、田中首相が訪中し、日中共同声明が出された。そして、78年に日中平和友好条約が締結された。前者では<内政に対する相互不干渉等基礎の上に平和友好関係を確立する>とされ、後者においても<内政に対する相互不干渉の原則に従い>としている。
安倍元首相は、「韓国は国際法を守らない」と糾弾してきたが、国際法を守るという意味は@国連憲章などの多国間合意を尊重するA2国間合意を順守する、ことにある。残念ながら自民党の一部はこの考えに反しているのである。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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