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文春「口利き100万円」報道の裁判で片山さつきが敗訴!「係争中」を盾に説明逃れをしてきた片山議員は判決が出ても「連絡つかず」
https://lite-ra.com/2021/12/post-6117.html
2021.12.28 口利き報道を訴えて文春に敗訴、片山議員は判決が出ても「連絡つかず」 リテラ
片山さつきTwitterより
安倍政権下での政治腐敗にあらためて注目が集まっている。2018年に安倍晋三首相が地方創生担当相に任命した片山さつき氏について「週刊文春」がスクープした「口利き100万円」疑惑に対し、片山氏が名誉を傷つけられたとして発行元の文藝春秋に1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、昨日27日、東京地裁は「口利きしたことを真実と信じる相当の理由がある」として片山氏の訴えを退けたからだ。
無論、これは当然の判決だ。というのも、当時から本サイトでは指摘してきたように、「週刊文春」は口利きがあったことを実証する証拠を掴んでおり、片山氏の提訴はあまりにも無理があったからだ。
まずは当時の報道や片山氏の抗弁を振り返ろう。はじまりは、2018年10月25日号の「週刊文春」による、「あっせん利得処罰法違反の疑い 片山さつき大臣 国税口利きで百万円 証拠文書入手!」と題したスクープ記事。安倍首相が「全員野球内閣」と名付け、女性としては唯一入閣を果たした片山地方創生担当相に持ち上がった疑惑だった。
そして、この記事は証拠が揃ったものだった。そもそも当該記事は片山氏に口利きを依頼したというX氏の証言をもとにしたもので、2015年7月、製造業を営むX氏は会社に税務調査が入ったことで青色申告の承認が取り消されそうになっている状況をなんとかしようと、片山事務所に相談。X氏は片山氏の私設秘書である南村博二氏を紹介され、南村氏から指定された口座に100万円を振り込んだと証言したのだ。
しかも、この振り込み時の“物証”を「週刊文春」は入手。それは〈書類送付状〉と書かれた文書で、そこには差出人として〈議員名 参議院議員 片山さつき〉〈秘書名 秘書・税理士 南村博二〉と記されている上、〈着手金100万円を、至急下記にお願い申し上げます。ご確認後、国税に手配させて頂きます〉と記されていたのだ。
さらに、100万円を振り込んだものの南村氏から報告もなく不安になったX氏は、同年9月、参議院会館にある片山氏の事務所を訪問。通された執務室で100万円を振り込んだことをX氏が片山氏に伝えると、「南村にすぐ連絡して!(こっちに)振り込みさせなさい!」などと別の秘書に激昂。最終的に片山氏はX氏にこう話したというのだ。
「じゃあやっておきますよ。任せてもらえれば、大した問題じゃないから」
「うまくいったら、百万円なんて決して高いものじゃないわよね」
ようするに、片山氏は秘書が口利きの見返りに100万円を振り込ませたことを把握した上で、片山氏本人も「任せてもらえれば」と引き受けていたというのである。その上、結局X氏の会社は青色申告を取り消されてしまい、その際、南村氏は「百万円は片山にとられた」とX氏に語ったのだという。
■文春は音声データまで公開したのに片山議員は「自分の声か判断できない」と強弁
じつは「週刊文春」は2016年からこの問題の情報を掴んで取材をしていたというのだが、100万円が支払われたという裏付けがとれず断念。だが、再取材によって物証となる文書と、当事者であるX氏の証言を得た上で記事にした。つまり、満を持してのスクープであり、相当確度が高いものだったのだ。
ところが、「週刊文春」のスクープに対し、片山氏は告発内容を完全否定したうえ、名誉を傷つけられたとして発行元の文藝春秋を提訴。さらに係争中を理由に、メディア取材や国会で口利き疑惑に関するきちんとして説明をしようとさえしていなかった。
しかも、「週刊文春」が今度は2016年にX氏との電話で片山氏が「(南村氏は)私にそんなものは実費だって言ってましたけどね。私はちょっと金額としてお高いんじゃないですかということだけは(南村氏に)言いましたから、当時、はい」と語っている音声データを公開。これは100万円という金額設定について自身の関与を明言する内容だが、ところが片山氏は「自分の声か判断できない」と国会で答弁したのである。
無論、「週刊文春」が黙っているはずもなく、すぐさま民間の研究所に声紋鑑定を依頼。国会で答弁する片山氏の声と同一人物であるかを鑑定し、片山氏と“一致”するとの分析結果を公表した。
さらに、同年11月29日号では、X氏から片山氏への口利き依頼を仲介し、“依頼の現場”を直接目撃したという片山氏の元後援会役員Y氏が、その面会の様子を赤裸々に告発。その上、最初のスクープから約5カ月後には、問題当時に片山氏の公設秘書を務めていた磯脇賢二氏までもが「X氏やY氏が議員会館に来た日のことは、私もその場にいたので覚えています。事情を聞いた片山氏が『南村に直ぐ連絡して!(こっちに100万円を)振り込ませなさい』と怒り始めたため、私が南村氏に連絡したのですが、あいにく繋がりませんでした。私は彼女の口から100万円という数字を聞いて『随分高いな』と思ったことを覚えています」などと証言したのだ。
口利きを依頼したX氏の告発のみならず、第三者である元後援会役員Y氏、当時の公設秘書による裏付け証言、着手金の入金を求める文書、さらに片山氏の音声データ──。ようするに、片山氏の「口利き疑惑」の真実相当性は非常に説得力があるもので、東京地裁が今回「口利きしたことを真実と信じる相当の理由がある」としたのも当然だった。逆にいえば片山氏が「事実無根」などといって文藝春秋を名誉毀損で訴えたこと自体が無理筋だったと言ってもいい。
にもかかわらず、片山氏は「係争中」であることを盾にして説明責任から逃れ続けてきたのである。
■安倍政権で政治家が「捜査中、係争中だからコメントしない」と説明責任逃れできる状態に
もちろん、これは片山氏にかぎった話ではない。というよりも、片山氏を任命した安倍首相こそが、森友・加計問題をはじめとするさまざまな疑惑に対してなんら責任も説明も果たそうとはしなかった。そして、自分が任命した大臣がどんな不祥事を起こそうが、どんな失言を口にしようが、自分の任命責任が問題になるような責任のとらせ方はせず、内閣改造でこっそり交代させるというごまかしを繰り返してきたからだ。
そして、森友問題をはじめ、安倍首相の「桜を見る会」前夜祭問題、河井案里・克行夫妻の巨額選挙買収、菅原一秀・前経産相の公選法違反、吉川貴盛・元農相の鶏卵汚職事件、秋元司・元内閣府副大臣のカジノ汚職事件などなど、挙げだせばキリがないほどのあらゆる疑惑において、安倍政権・菅政権は捜査中であることや公判中であることを理由にして説明を拒絶。さらに、安倍首相は「任命責任は私にある」と口にしながら、その責任をとったことはただの1度もなかった。
言っておくが、国民に説明することは捜査中でも裁判中でもできることであり、説明責任から逃れる理由にはまったくならない。だが、安倍政権下ではこれが常套手段となり、あたかも正当な理由であるかのようになってしまった。そして、疑惑そのものの追及が深まらず、問われるべき「任命責任」が空疎なフレーズになり、政権の不祥事やスキャンダルははぐらかされるのが常態化してしまった。これこそが安倍政権のやり方であり、岸田政権も踏襲しているやり口なのだ。
しかも、国会は主権者である国民を欺く行為をしていないかを調査・監視する場でもあり、こうした大臣の違法性・事件性が問われる重大疑惑を野党が追及することは当然の責務だというのに、御用メディアや安倍応援団、維新のような“ゆ党”は「野党は疑惑追及や批判ばかり」などという筋違いの言いがかりをつけてきた。その結果、世論までもがそれに流されるという危機的状況にまで陥っている。
だが、今回の片山氏の敗訴をひとつとってもわかるように、疑惑追及は絶対に必要なものなのだ。もし、これが安倍政権の横暴を許さない政治状況で、捜査中や裁判中だから説明しないなどという言い訳が通用しない真っ当な国会運営がなされていれば、片山氏の答弁は厳しい批判を受け、片山氏の大臣辞職、ひいては安倍首相の「任命責任」が問われていたはずだ。
今回の敗訴を受け、片山氏の東京事務所は「本人と連絡が取れず、事務所としての正式な回答も難しい」などと絶句するようなコメントをしている。国民は、片山氏に説明を求めるのは当然のこと、捜査中・裁判中を理由にした説明責任の放棄が常習化している自民党政権の体質を徹底的に批判していく必要がある。
(編集部)
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