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※2021年12月15日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年12月15日 日刊ゲンダイ2面
【この国に対中戦略があるのか】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) December 15, 2021
形だけの外交ボイコットならばやらない方がマシ
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/sDsONGBKQW
※文字起こし
岸田政権が経済対策の目玉に掲げる「18歳以下への10万円給付」があまりにもお粗末で、臨時国会の主題のようになっているが、国際的な関心事は開催まで2カ月を切った北京五輪への対応だ。米国が旗を振る外交ボイコットに日本も連なるのか、否か。与野党から政府代表を送らないよう求める声が相次ぐ中、岸田首相は判断を先送りしている。
中国・新疆ウイグル自治区での人権侵害や、香港での民主派弾圧を理由にした外交ボイコットを早くからチラつかせてきた米バイデン政権が正式表明したのは6日(現地時間)。それから1週間も経たぬ間に英国、カナダ、豪州、ニュージーランドが追随を表明した。ニュージーランドはコロナ対策を理由に挙げているものの、この5カ国は機密情報を共有し、対中牽制を強める「ファイブアイズ」のメンバー。さらに米英豪は中国をにらんだ安全保障協力の枠組み「オーカス」を立ち上げ、関係を強化している。米国を中心とする民主主義国家と権威主義国家の対立構図が固まったかのようだが、対応はわかれている。2024年パリ五輪が迫るフランスは「ほんの小さな象徴的措置」(マクロン大統領)と反対し、26年ミラノ五輪を控えるイタリアも同調しない見通し。朝鮮戦争の終戦宣言を悲願とする韓国の文在寅大統領は、その実現に中国の協力が欠かせないことから「検討していない」と表明した。国益はそれぞれ。超大国に右へならえとはいかない。
「そもそも、五輪憲章で禁じる政治利用を持ち込む方が筋違いなのです。コロナ禍で社会の病理があぶり出された側面もあり、どの国も少なからず人権問題を抱えている。中国憎しで批判を強めれば、五輪のたびに対立を深刻化させることになる。中国の人権侵害は非常に大きな問題ですが、G7などで対応すべきです」(立正大名誉教授の金子勝氏=憲法)
東京五輪開会式との整合性
ところが、「乗り遅れまい」と岸田政権を異様なほど焚きつけているのが、“外交のアベ”をいまだ気取る安倍元首相とその取り巻きたちである。政権を2度もブン投げた無責任を棚上げし、テレビに出ては「チベットやウイグル、香港を見てきた国際社会が人権弾圧を憂慮している。今まで同様の対応でよいのか、各国が判断を迫られる」「中国への政治的メッセージは日本がリーダーシップを取るべきだ」などとシタリ顔。国家私物化に怒りの声を上げたまっとうな市民を指さし、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」とイキり立ち、分断をあおった男が人権を言うとはちゃんちゃらおかしい。子飼いの自民党の高市政調会長も予算委で岸田に迫っただけでは飽き足らず、14日は官邸まで押しかけ、「南モンゴルを支援する議員連盟」の会長として外交ボイコットを求める要望書を突きつけた。
中国の肩を持つ気は毛頭ないが、これまで彼の国の人権問題に無関心を決め込んできたくせに、自国開催の五輪が終わった途端に国際世論に便乗する欺瞞が浮き彫りである。喉元過ぎれば熱さを忘れる国民性のせいか、記憶から消えつつある東京五輪開催直前のドタバタを思い出した方がいい。近現代史研究家の辻田真佐憲氏は本紙インタビュー(10日付)でこう指摘していた。
〈開催前は極めて不人気だったのに、終わってみれば「やってよかった」と分かりやすく空気が一変した。批判的な空気が強かった頃は開会式に関わった人々の炎上案件が続き、次々と辞任。あれだけ大騒ぎしたのに、今となっては誰も思い出すこともない。このまま、流してしまっていいのか。検証する必要があります〉
〈例えば演出を務めてきた小林賢太郎氏の「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」なる芸人時代のコントのフレーズです。確かに不適切な発言ですが、一部を切り取り、あれだけの処分をすると、来年2月の北京冬季五輪との整合性が問われる。中国のウイグルやチベット、香港での人権侵害は「ごっこ」では済まない。それこそ選手団の派遣問題と結びつきかねません。その場の空気でワッと盛り上がっただけの判断は後々、ブーメランのように跳ね返ってくるのです〉
首相補佐官新設も自国の問題は頬かむり
本番直前に開閉会式の楽曲制作を担当したミュージシャンの小山田圭吾氏がいじめ問題で辞任、小林氏は解任され、人権意識の低さを世界に知らしめた。
五輪を機に是正されたのであれば、米国の顔色をうかがい、中国に気を使い、右往左往することはない。対応は一貫するはずだろう。
「この国の政治家は人権意識が低い。入管施設でスリランカ人女性が死亡した問題への対応が象徴的で、外国人技能実習生の失踪問題や新型コロナ対応の外国人入国禁止をとってもそうです。人を人として扱わない姿勢は戦前から続いている。外見は近代化しても、精神面は前時代的なのです」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
名古屋出入国在留管理局で収容中に病死したスリランカ人女性の遺族は、岸田に宛てた手紙で監視カメラ映像の全面開示や真相解明を求めている。代表質問で対応を問われた岸田は「ご遺族の気持ちはしっかりと受け止めた」と力を込めたものの、「法務省で法令にのっとり対応しており、ビデオ映像の一部はご覧いただいたものと承知している」「法務省で調査を行い、人事上の処分も行った上で改善策を着実に進めている。このような事案が二度と起こらないよう取り組んでもらいたい。私としてもしっかり報告を受けていきたい」と事務方が用意したペーパーを読み上げるだけ。人権問題担当の首相補佐官を新設したといっても、自国の問題には頬かむりなのだ。
「安倍拉致三原則」で孤立
この国に人権を語る資格があるのか怪しいし、それでなくても過去10年のアジア外交はデタラメの極み。東大名誉教授の和田春樹氏が月刊誌「世界」(1月号)に寄せた「日本外交の危機か、われわれの危機か」と題した論考は必読だ。〈日本では首相が誰に代わろうと、安倍晋三元首相が打ち出した朝鮮半島政策が踏襲される。新首相は、かならず自分の内閣で拉致問題を解決すると約束するが、安倍拉致三原則を疑うことは許されず、胸にブルーリボン・バッジをつけることしかできない〉との書き出しで、安倍政権以降の外交の本質をズバリ指摘している。
「安倍拉致三原則」とは、「拉致問題は我が国の最重要課題」「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」「拉致被害者は全員生存している。全員の生還をかちとることが問題の解決」とする対北朝鮮政策だ。これによってストックホルム合意に基づく拉致問題再調査は空中分解。ニッチもサッチも行かなくなった安倍は拳を振り上げて圧力を強め、米朝首脳会談から始まる対北融和の流れからパージされた。一方、日韓慰安婦合意の見直しを求めた文在寅政権にイラ立ち、徴用工訴訟判決などを契機に輸出規制に出る。北朝鮮敵視と韓国無視を継承した菅政権は米国の対中強硬策に乗っかり、東北アジアで孤立。日米安保条約を妄信し、平和と安全を危機にさらしている。
和田氏はこう結んでいる。
〈東北アジアの六か国、韓国、北朝鮮、ロシア、中国、米国、日本が平和の家、共同の家に住む状態をつくらなければ、日朝の平和、米朝の平和、日中の平和、米中の平和、中台の平和が実現できるはずはない〉
この国に対中戦略があるのか。形だけの外交ボイコットならば、やらない方がマシだ。
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