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高須院長のリコール署名偽造関与がさらに濃厚に…女性秘書が書類送検、高須HDで偽造作業、指示を語る供述調書も
https://lite-ra.com/2021/11/post-6079.html
2021.11.19 高須院長の署名偽造関与が濃厚に…女性秘書が書類送検、関与示す供述調書 リテラ
高須克弥Twitterより
愛知県の大村秀章知事に対するリコール運動をめぐる不正署名事件。本サイトでも繰り返し報じている通り、すでに運動団体の田中孝博事務局長が逮捕・送検されているが、今月15日、あらたに運動団体の代表である高須克弥・高須クリニック院長の女性秘書が署名偽造容疑で書類送検されていたことがわかった。
高須氏の女性秘書をめぐっては、昨年10〜11月、署名に押印のない署名簿に指印したことが今年5月20日に中日新聞の報道で明らかになっていたが、今回の報道で指印だけでなく、署名簿の書き写し作業にも関与していたことがわかったのだ。しかも女性秘書が役員を務める高須クリニックグループの事務や経理を担う関連会社「高須ホールディングス」が組織ぐるみで、偽造作業に関わっていた可能性が浮上している。
中日新聞の報道によると、昨年10月上旬から下旬にかけて、女性秘書を含む高須ホールディングスの役員や社員数人が、同社が入居するビルの貸し会議室で、愛知県民の氏名や住所が載った名簿を署名用紙に書き写す作業をしたというのだ。また、作業が行われたのは勤務時間中。つまり、送検された秘書個人がたまたまよくわからず協力したという話ではなく、秘書は署名偽造作業においてコアな立場にあり、偽造作業も高須グループぐるみで行われていたということになる。
当然、高須氏自身の関与も強く疑われるが、複数のメディアが高須氏も知っていたという証言を報じている。
朝日新聞は〈田中被告のもとで事務局を切り盛りした女性に、高須氏の秘書は、指印を押すようなしぐさをしながら「これに行ってくると(高須氏に)言ってある」「(高須氏も)『それは行ってやらないと』と言った」と話したとされる〉と報じており、さらにこの女性の供述調書は証拠提出されているという。
地元・東海テレビも、作業の際に女性秘書が「高須先生の許可がなければ、私ここにいられないから」と周囲に話していたという情報を報じている。
ところが、当の高須氏は、自身の長年の右腕である秘書が送検されたことを受け、複数のメディアに対し「知るわけがない」「関与はない」「指示したわけではない」などとコメント。ツイッターでも〈僕は悪いことはしません。指示もしません。信頼した人がどのような状況になっても見捨てません。僕は逃げません。正々堂々と筋を通して責任をとります〉(11月18日)と自身の関与を否定している。
しかし、高須氏のこうした「潔白だ」「知らない」発言はそのあと、ことごとく新事実が飛び出して、嘘だったり辻褄が合わないことが次々明らかになっている。
■女性秘書の書類送検は当然、不正発覚前は高須院長自ら「リコール代表請求者のNo.4」と
実際、今年5月下旬に高須氏の秘書が押印のない署名簿に指印したことが報じられた際、高須氏は「数百人のなかの一人」とまるで何も知らず動員されただけのアルバイトか何かくらいのように話していた。
しかし、本サイトはこの時点で高須氏の秘書がもっとコアな立場にあったはずだと指摘していた。というのも、高須氏は、高須ホールディングスの役員も務めるS氏という秘書について、昨年12月19日に、こんなツイートをしていたからだ。
〈僕の秘書です。代表請求者です。自由に動けない僕に代わって情報収集をさせています〉
〈彼女は僕のスケジュール管理と情報収集が主たる業務です。愛知県医師会公認のメディカルセクレタリーでもあります。僕の必要とする情報を集めてくれています。大村秀章愛知県知事リコール代表請求者のNo.4です。有能です。〉(原文ママ)
高須氏はまさに自分の秘書を「情報収集担当」「請求代表者」として署名運動に送り込んでいたのである。これが今回送検された秘書だと考えられているが、そんな人物が単なる「数百人のなかの一人」なんてありえない。そう指摘していたら、今回の報道で指印だけでなく、署名簿の書き写し作業にも関与していたことがわかったのだ。しかも問題は、前述したように、女性秘書が役員を務める高須クリニックグループの関連会社が組織ぐるみで偽造作業に関わっていた可能性が浮上していることだ。
高須氏が知らなかったとしても高須氏に大きな責任があることは言うまでもないが、高須氏に一切報告せず単独行動で会社組織をあげて署名作業を行うなんてことがあり得るのだろうか。
また、高須氏は5月下旬に秘書の関与が報じられたとき、4月に指印を押したことだけ報告を受けたと言っていたが、高須氏の主張どおりなら、昨年11月に不正が発覚してから約半年も関与を上司に隠し、さらに関与が発覚しても虚偽の説明をし、そこからさらに半年以上のあいだ上司を騙したままだったことになる。そんな不法行為をはたらいたうえ上司である高須氏を騙しつづけた秘書を、しかし、高須氏は〈信頼した人がどのような状況になっても見捨てません〉と言っているのだ。
この不自然さは、秘書が罪をかぶっているからではないのかとさえ思えてくるほどだ。
しかも、高須氏の不審な言動は秘書をめぐるものだけではない。不正の疑いが指摘されるようになって以降、高須氏自身が、疑惑を払拭するどころか、まるで不正の解明を阻むような不可解な言動を取ってきたのだ。
■リコール不正署名発覚後の高須院長の不自然な言動を総まくり
今回の不正署名の可能性がはじめて指摘されたのは、愛知県内の大部分の地域で署名の提出期限であった昨年11月5日の前日、11月4日のことだった。
リコールの会は、11月4日に署名簿を選管に提出するのだが、署名簿にナンバリングをしていないという事務的ミスがあり受け取ってもらえず、急遽ボランティアを集めナンバリング作業をすることになる。その作業のなかで、明らかに無効や不正の可能性のある署名を発見した一部ボランティアが、提出されないように抜き取り、その事実をネットで公表した。
すると、高須氏は11月7日、突如として、自身の健康問題を理由にリコール運動の終結を宣言したのである。仮に、高須氏の健康状態が悪化したとしても、他の人たちが署名活動を続けることは可能だったはずだ。にもかかわらず、高須氏は慌てて、署名活動を閉じてしまったのである。
それだけではない。高須氏はさらに信じがたい行動に出る。不正を指摘したボランティアを、署名簿を勝手に抜き取ったとして、窃盗で告訴したのである。
その後、複数のボランティアから不正署名を見たという告発や、調査のために総会の開催を求める声が上がっても、高須氏の対応は同様だった。
12月4日、ボランティア数人が愛知県庁で会見し、「筆跡が全部同じである。誰かが住民データを側に置いて、それをずっと丸写ししていったんだろうな」「同じ人が複数の署名を書き、偽造した疑いがある」と告発したのだが、高須氏はそれでも調査しようという姿勢を見せず、ボランティアの会見に対して、ツイッターで〈こいつか 泥棒!〉などと罵倒していた。
高須氏のこうした攻撃は、不正を報じたマスコミに対しても繰り広げられた。東海テレビが署名簿に書かれた住所を訪れ、「書いていない」という証言やその住所には住んでいないという証言を報じると、高須氏は〈盗んだ署名簿に記載されている署名を勝手に筆跡鑑定したりの本人の住所に押し掛けて署名したか否か確認をメディアが勝手にやるのは罪ではないのか?〉などと非難。そして、〈素人でもわかる見え見えの無効署名を沢山作って公開する意図は?僕は43万人の署名に驚き、再リコール運動の芽を摘む行動だと推察します〉と、リコール潰しの策謀であるかのような陰謀論をまくし立てた。
その後、現職の愛知県議や市議、市長らが、無断で署名に名前を書かれていたと実名で証言(中日新聞2020年12月22日付)。ほかにも同種の情報提供が相次ぎ、12月21日には愛知県選挙管理委員会も提出された署名に不正な署名が多数含まれている疑いがあるとして、全署名を調査することを決めた。しかし、高須氏はそれでも、疑惑解明に抵抗。選管に対しては、署名簿の返還を繰り返し要求し、あげく〈僕が全責任を負って返還された署名簿を溶解します〉などと証拠隠滅にもなりかねないことを主張していた。
■女性秘書書類送検、高須HDで作業発覚も報道しないテレビ、検察も不可解な動き
この間のこうした言動を見ているだけでも、高須氏には、ほんとうに不正署名が行われたことを知らなかったのか、という疑問がわいてくる。
しかも、ここにきて浮上した高須ホールディングスの組織ぐるみの署名偽造関与と、高須氏の秘書が署名偽造について高須氏の指示や許可のもとに動いていると語っていたとする、事務局関係者の供述調書──。知っていたどころか、それ以上の積極的な関与も疑われる。
もっとも、こうした事実を報じているのは一部のメディアだけで、多くの新聞・テレビはあいかわらず、高須氏を追及することに消極的だ。しかも、いまの警察や検察の動きを見ていると、捜査でも高須氏の関与が有無や金の流れがあきらかになるかどうかは微妙だ。
というのも、高須氏に対する聴取が行われていないようだからだ。朝日新聞によると、先行して審理が始まっている署名偽造バイトを集めた広告関連会社の元社長の初公判で、検察側は先月、関係者の供述調書など180件を超える証拠の要旨を説明したのだが、そこに高須氏の調書はなかったという。高須氏本人も聴取は受けていないとしている。
リコール運動で高須氏の果たした役割を考えるとこれは非常に不可解だ。たとえば、団体の収支報告によると、高須氏は1200万円を運動団体に貸し付け、さらに150万円を寄付。これは団体の全収入の5分の1に当たるもので、高須マネーが署名偽造の原資となった可能性も指摘されている。
また前述したように、高須氏の秘書が「これ(指印)に行ってくると(高須氏に)言ってある」「(高須氏も)『それは行ってやらないと』と言った」と話したという事務局女性スタッフの供述調書は証拠提出されているという。
にもかかわらず、なぜ高須氏に対して聴取すらなされていないのか。不可解としか言いようがない。このままでは「民主主義の破壊行為」「戦後政治史上最大の汚点」ともいわれるリコール不正事件の全容が解明されない恐れがある。刑事責任の有無にかかわらず、このリコール不正をめぐる高須氏の責任は非常に重い。安倍元首相のように「責任をとる」とお題目のように唱えるだけでなく、一刻も早く説明責任を果たしてもらいたい。
(編集部)
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