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※2021年10月16日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
【この政権は一体、何をやりたいのか】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) October 16, 2021
「党内御用聞き」内閣に風吹かず
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/Occq3YKg2N
※文字起こし
この政権は一体、何をやりたいのか。岸田首相に「自分」はあるのか――。内閣発足から、たった10日。新閣僚の顔と名前も一致しないうちのスピード解散で、投開票まで17日間。いずれも戦後最短記録となり、判断材料に乏しい有権者は戸惑うばかりだが、岸田政権は日本の民主主義を深く傷つけた安倍・菅両政権から何も変わらない、変わろうとしない。党・閣僚人事、臨時国会での所信表明演説と代表質問の答弁を見れば、そう判断して選挙に臨めばいい。
何しろ、岸田が総裁選で訴えた政策が、自民党の衆院選公約からすっかり消えている。富の分配を目指す「新しい資本主義」。その実現のための有識者会議を15日設置したとはいえ、唯一の具体策だった「金融所得課税の強化」は就任早々に封印し、分配政策の柱に据えた「子育て世帯の住居費・教育費支援」や「令和版所得倍増」も公約から抜け落ちた。これじゃあ、会議を立ち上げても選挙を意識した「やってる感」以外の何モノでもない。安倍・菅両政権の「目くらまし」の手法を踏襲しただけである。
公約には、岸田が総裁選で訴えた「健康危機管理庁」の創設や「こども庁」の検討なども盛り込まれなかった。菅前首相を“辞任”に追い込み、総裁選を制するきっかけとなった幹事長以下の党役員任期を「1期1年、連続3期まで」にする党改革案すら見当たらない。
すっかり色あせた「岸田カラー」に代わって、際立つのは公約作成の実務を担った高市早苗政調会長の主張だ。その背後には総裁選で高市を全面支援した安倍元首相のニヤケ顔がチラつく。
知恵も信念もないハトが軍拡路線丸のみ
公約の冒頭には高市が総裁選で訴えた「危機管理投資・成長投資」を掲げ、安倍の持論でもある「核融合開発の推進」を明記。敵基地攻撃能力の保有を含めた「抑止力向上」も記し、防衛費も「GDP比2%以上も念頭に増額を目指す」と踏み込んだ。憲法改正も「時代の要請に応えられる憲法を制定するために力を尽くす」ときた。
岸田自身、総裁選の頃から9条への自衛隊明記を含む「改憲4項目」について「総裁任期中にメドはつけたい」と明言。敵基地攻撃能力の保有の検討にも積極姿勢を見せていた。党内最古の「ハト派」派閥・宏池会のプリンスとして「9条を守る」という平和主義の志をかなぐり捨て、タカ派にひれ伏す変節ぶり。
安倍、麻生副総裁、甘利幹事長の「3A」のおかげで総理総裁になれた政権誕生の経緯から「傀儡」と言われてきたが、数少ない岸田カラーも消滅。選挙公約で骨抜きにされて「3A」にお手上げとは、恐ろしいまでの自我の喪失である。
肝心の経済政策も公約で前面に打ち出すのは金融緩和、機動的な財政出動、大胆な危機管理投資・成長投資という新「3本の矢」。国家の危機管理や科学技術立国への投資を加速するという高市の持論を盛り込んだ、いわばアベノミクスの焼き直しである。経済評論家の斎藤満氏が言う。
「結局、岸田首相には自分のやりたいことがないのでしょうね。宏池会を創設した池田勇人元首相の『レガシー』である所得倍増を掲げてみたものの、高度経済成長期の当時と今とでは日本経済の環境は天と地の差がある。成長のパイが縮む中、分配を進めても貧しさを分け合うだけ。そこで所得倍増を引っ込めたところで、岸田首相には所得減少の状況を止め、ゼロ成長を打開する知恵もなければ信念もない。安倍陣営に逆らうことすらできず、アベノミクスの三番煎じを押しつけられた格好です」
民主主義の破壊者にひれ伏す暗愚の首相 |
アベノミクスで円安・株高が進み、企業の内部留保も株主への配当も増え、一部の大企業や富裕層に富は集中したが、労働分配率は低下し、貯蓄ゼロ世帯も急増した。いくら株価が上昇しても、投資をする余裕のない世帯は置き去りだ。
「分配を重視すると言った政権が完全な格差拡大政策を継承するとは大いなる自己矛盾。『新しい資本主義』はそれを覆い隠すための言葉遊びに過ぎません。そもそも経済成長や資本主義そのものの限界すら叫ばれる今、『高度成長の夢よ、もう一度』とばかりに成長を前提にした分配政策を掲げても、『古い資本主義』へのノスタルジーしか感じられません」(斎藤満氏=前出)
菅や二階前幹事長の肝いりだった「GoToトラベル」も、岸田はワクチン接種証明などを活用して制度を見直し、再開準備を図ると表明。まさに政権公約の中身は長老たちの思惑のグロテスクな寄せ集めだ。
そもそも、岸田は総裁選出馬の動機として「民主主義の危機」を訴えていた。いざ総理総裁になると、安倍・菅両政権が説明する気すらなかった森友・加計・桜を見る会の疑惑を清算する気概はゼロ。所信表明や代表質問で目立ったのは、安倍の怒りを買うまいとする消極姿勢だ。
時の権力者に近い“お友だち”のみ破格の優遇を受けたとされる一連の疑惑は隠す、ゴマカすの繰り返し。揚げ句に公文書改ざんを強いられた近畿財務局職員が自殺し、時の首相が国会で118回も虚偽答弁を繰り返す異様な事態こそ、岸田の言った「民主主義の危機」ではないのか。早くも民主主義の破壊者たちの下僕に成り下がってどうする。
日本学術会議が推薦した会員候補を、菅が任命拒否した問題も進展なし。政権に批判的な学者の任命を拒否した理由について、岸田は「人事に関するので差し控える」と、菅と同じ言い回しを繰り返すのみ。安倍・菅両政権の「説明しない政治」の独善性までキッチリ受け継ぐつもりだ。
アベスガ路線に未来を拘束されていいのか
首相に就任した途端、「民主主義の危機」に言及しなくなり、民主主義を叩きのめした「アベスガ政治」に右へならえ。総裁選の勝利直後には「特技は人の話をしっかり聞くこと」とドヤ顔で語った岸田だが、一問一答形式で議論を交わす予算委員会の開会を求める野党の声には聞く耳を持たない。
国民の代表である国会軽視の政治も安倍・菅両政権から一歩も変わらず、投開票日を想定より1週間前倒しして、サッサと解散。ボロが出ないうちに大急ぎで衆院選になだれ込む党利党略と政権の延命重視。耳を傾けるのは、自分を総理にしてくれた党内でも一握りの重鎮だけ。「聞く力」どころか、もはや「党内御用聞き内閣」である。
岸田が本気で「国民の声を聞く」というのなら、5年8カ月余りも金銭授受疑惑の説明責任を果たさない甘利の幹事長起用はあり得ない。強烈な「甘利ファクター」の破壊力によって、新政権発足のご祝儀ムードは一掃。内閣支持率は過去20年の政権の発足時と比べ最低水準でスタートを切ったのも、自業自得だ。
各選挙区を取材しても、自民候補の陣営は「ちっとも地元は盛り上がっていない」と悲鳴を上げている。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「持論は後退、封印の連続でメッキがはげるのもスピード解散と同じ戦後最短ペース。早くも3A支配の地金が鮮明になっては、この政権に今後も上がり目はないでしょう。岸田首相は『未来選択選挙』とブチ上げましたが、2〜3週間程度で有権者に『未来』を選ばせるなんて、ムチャな話。首相就任以降の言動を見る限り、衆院選公約も選挙に勝ちさえすれば、あとは野となれの粉飾公約に違いない。既に仕組まれた安倍カラーの軍拡路線を吟味せず、新しい資本主義なんて言葉に惑わされると、カーキ色の未来が待ち受けるだけです」
この先、最長4年間も民主主義をぶっ壊すアベスガ路線に未来を拘束されるのはごめんだ。自公政権に未来は託せない。
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