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※2021年9月24日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年9月24日 日刊ゲンダイ2面
【結局、総選挙で下野させる以外なし】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) September 24, 2021
河野もスッカラカンだが岸田・高市連合の2・3位連合ってのもひでえ話だ
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/6770KH5xm5
※文字起こし
自民党総裁選当日まで、こんな茶番劇の実況が続くのかと思うとウンザリしてくる。河野ワクチン担当相、岸田前政調会長、高市前総務相、野田幹事長代行――。総裁選の4候補者が連日テレビ出演してPRにいそしんでいるが、お祭り気分で盛り上がったのも最初だけ。すでに多くの視聴者は飽き始めているのではないか。
長丁場の選挙戦は、ボロが出やすい。候補者にとっても自民党にとっても、今後はメディアジャックがマイナスに作用する可能性がある。中でもテレビ出演のたびに評価を下げているのが、国民的人気とか言われていた河野だ。何を聞かれても具体策や道筋を答えられず、国民とのコミュニケーションを図るどころか、質問に真正面から答えず、記者をバカにするような態度が度々みられる。
22日夜に4人そろって出演したTBSの番組で、飲食店での酒提供が可能になる時期を「11月ごろ」「年末年始」「来年春」の3択で問われた際も、「こういう質問はよくない」と司会者に噛みついた上、答えない理由をグダグダ繰り返し、周囲を呆れさせていた。
「前提のデータも何もなくて、こうしたい、ああしたいと言うのは責任のある政治だとは思いません」
「責任のあるメディアがこういう報道の仕方をするのはおかしいのではないか」
「みんなで科学的データをきちんとそろえて、それをどういうふうに解釈するのか議論して、こういう政策をやるから協力して欲しいと言うのが筋」
「科学的な根拠となるデータもなしに『さぁどうしますか』というようなことを日本のマスメディアがコロナ禍でやっているのは、メディアにも反省していただかなければいかん」――。
河野の言い分は分からんでもないが、数秒で簡潔に答えられる内容だ。長々と時間をかけて理屈をこねまわすところに相手を見下す傲慢さと説明能力の低さが表れる。それに、「科学的データ、科学的な根拠」と繰り返していたが、担当大臣としてワクチン100万回の成果をアピールするわりに、科学的な根拠となるデータを何ひとつ持ち合わせていないということか。それではワクチン担当を任せるのも心配になる。
「モラハラ太郎」「ブロック太郎」の地金
もちろん、未知のウイルスが今後どう変異するかも分からない中、酒提供の解禁について確実なことなど誰にも言えないだろう。
それでも「感染がこういう状況になったら解禁できるようにワクチン接種に協力して欲しい」「春までには解禁したい」など、希望と熱意を国民は聞きたいのだ。
「メディア攻撃で留飲を下げる支持者もいるかもしれないが、総裁選の最中にメディアを敵に回すのは得策ではない。イメージ戦略も大切なので、きつい口調にならないよう周囲はアドバイスしているのですが、河野に厳しい質問が集中することが多いため、本人も過敏になっているのかもしれない。私の地元の有権者からも『河野さんはいつも怒っているみたいで怖い』と言われてしまいました」(河野陣営関係者)
河野は自分に批判的な人をツイッターで片っ端からブロックして回ることで知られ、「ブロック太郎」や「パワハラ太郎」の異名を取るが、気に入らない質問にキレる余裕のなさに地金が出ている。
河野に対して「メディアが悪いというのは政治家としてどうか」とたしなめていた野田幹事長代行が大人の風格を感じさせたのは皮肉だ。どう頑張っても野田が勝てる見込みはゼロだからである。
目下の情勢は、スッカラカンの河野が党員・党友票で他候補を引き離し、国会議員票も約3割を固めてトップ。論戦で埋没気味の地味な岸田と、安倍前首相の全面支援で支持を急速に拡大させている高市が2位争いを繰り広げている。
政策度外視の党内力学で勝者が決まるのか |
「今回のバカバカしい総裁選でハッキリしたのは、自民党は安倍前首相の支配から脱却できないという現実です。脱原発や女系天皇容認論などをブチ上げて自民党の異端児だった河野氏は、安倍氏への配慮から総裁選では持論を封印。政策論争もはぐらかしてばかりでキレがない。岸田氏も憲法改正や敵基地攻撃能力など、まるで安倍氏が乗り移ったような発言を続けていて、本当にハト派の宏池会の候補なのかと耳を疑ってしまう。高市氏にいたっては安倍氏と一心同体と言っていいほど主義主張が同じで、ウルトラ右翼の高市氏が急速に支持を拡大していること自体、自民党がもはや国民政党ではなく、安倍政権下で極右政党に変質したことを物語っている。この総裁選は本来、長く続いた安倍菅政治の功罪を検証し、歪みを正す機会になるはずだったのに、みんな安倍氏の顔色をうかがって“モリカケ桜”などの疑惑にも切り込まない。安倍支配の歪みの中で行われている選挙なのです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
米紙ワシントン・ポストも「総裁選の勝者は安倍晋三だ」と書いていた。総裁選でどの候補が勝利しても、安倍の存在感が高まるというわけだ。
そうやって、こぞって安倍に色目を使った結果、争点がボヤけて、1回目の投票では誰も過半数を得られずに決選投票にもつれ込むとみられている。そうなれば、2位・3位連合で岸田陣営と高市陣営が手を結び、岸田が勝利するというのが大方の予測だ。自力では1位になれない岸田が、総理総裁の椅子に最も近いとみられているのも変な話だ。
地元で議席喪失の岸田が選挙の顔という笑止
「この総裁選の出発点は、菅首相がお膝元の横浜市長選で負けたことが決定打でした。秋の衆院選に向けて、不人気の菅首相から“選挙の顔”を替えることが目的だった。それなら、1回目の投票で1位の人が自民党の“選挙の顔”にふさわしいと選ばれたはずです。2・3位連合でひっくり返すなら、何のための総裁選で公開討論なのかという話になる。政策重視でも選挙の顔でもなく、結局は党内力学で決まってしまうのでしょうか。1回目の投票で1位の候補者が党員・党友の50%を超えるような圧倒的な得票だったら、衆院選を控えて、決選投票であまりにも民意を無視した結果は出せないと思いますが……」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
選挙の顔にならないと言って菅を引きずり降ろした自民党が、2・3位連合で岸田を新総裁に選ぶとしたら噴飯モノだ。政権禅譲狙いがアダで地元の広島に安倍の介入を許し、派閥重鎮の溝手前参院議員を落選させ、その選挙で買収事件を起こした河井克行・案里夫妻は議員辞職。それを受けた4月の参院広島再選挙でも負けて議席を失った岸田が選挙の顔とは笑わせる。
若い河野総裁で世代交代が進むことを嫌がるお歴々や、河野支援に回った石破元幹事長を嫌う安倍への忖度、誰が総裁なら自分が当選できるかと考えをめぐらす選挙に弱い議員たち……。自分たちの延命しか頭にないのが今の自民党議員であり、要するに権力亡者の寄せ集めだ。
「大メディアの協力もあって、総裁選で候補者が政策議論を戦わせているように見えますが、誰が新総裁になっても自民党政治では何も変わりません。自民党は河井夫妻の買収事件に関して、総裁選のドサクサに紛れて党本部から提供した1億5000万円は買収事件に使われていないと発表しましたが、カネに色はついていないし、窃盗犯が無罪を訴える報告書に共犯者がお墨付きを与えるような調査結果に国民が納得すると思っているのでしょうか。モリカケ桜や河井夫妻の事件など、安倍長期政権で澱のようにたまった不正の真相は、政権交代しなければ検証できません。アベノミクスと対米追従で日本がどれだけ国力を失ったかも考えなくてはいけない。有権者は総裁選のバカ騒ぎに惑わされることなく、冷静な目で見定める必要があります」(五十嵐仁氏=前出)
国民にとっては、本当の勝負はこの秋の衆院選だ。私利私欲の政治を終わらせるには、総選挙で自民党を下野させる以外にない。
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