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連載 安倍2代を振り返る 〜国民の幸せのためにどのような貢献をしたのか〜(3)
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/21749
2021年9月9日 長周新聞
H加計学園問題
森友学園問題の疑惑追及の過程で浮上したのが、加計学園問題である。過去52年にわたって認められてこなかった獣医学部の新設をめぐり、「首相案件」「総理のご意向」という力が加わることで、安倍首相(当時)と関係の深い学校法人に有利な行政処理がなされたという疑惑である。
当時「第二の森友問題」ともいわれたが、安倍首相の学生時代からの「腹心の友」が経営し、数々の自民党国会議員や有力者を身内に抱き込み、規制改革までおこなわせるほどの学園と政治との癒着の深さは、森友学園とは比較にならない。安倍政権下で花開いた癒着型ビジネスの先行モデルといえるもので、これも矛盾に満ちたまま認可され、多額の税金が投入されたことへの疑惑は晴らされておらず、現在進行中の問題である。
問題の経緯
1、52年ぶりの獣医学部新設
加計学園グループ(岡山市)は、「加計学園」「順正学園」「英数学館」「吉備高原学園」「ゆうき学園」「広島加計学園」の6つの学校法人に加え、社会福祉法人、医療法人を包括する大規模グループである。岡山理科大、倉敷芸術科学大、千葉科学大など6つの大学、6つの専門学校のほかに、小中高、幼稚園・保育園、特別養護老人ホーム、美術館まで幅広い分野で事業を展開している。
2017(平成29年)年3月、加計学園傘下の岡山理科大学の獣医学部新設をめぐり、今治市(愛媛県)が36億7800万円相当の公有地(16・8f)を無償で譲渡し、校舎建設費192億円のうち96億円を公金で助成することを決めたことが物議を醸した。8、9億円の値引きで揉めていた森友学園どころではない破格の待遇である。
建設中の岡山理科大学獣医学部(2017年11月、愛媛県今治市)
獣医学部の新設について、管轄する文科省は、1966(昭和41)年の北里大学への獣医学部設置以来、獣医師数は総体として足りているとする農林水産省の見解を踏まえ、獣医師の質の確保や獣医師養成課程の粗製乱造を防ぐなどの観点から、既存の16大学以外に新たに設置することを規制してきた。今治市の獣医学部設置申請も過去15年にわたって認められていなかった。
ところが、2013(平成25)年、第二次安倍政府のもとで「国家戦略特区」が制度化されてから急速に事態が動き出していった。国家戦略特区は、従来の特区と違い、総理大臣のトップダウンで指定した地域において大胆な規制緩和を進めることを可能とするもので、アベノミクスの「成長戦略」の目玉とされたものだ。
2015(平成27)年12月、安倍首相を議長とする国家戦略特区諮問会議は、広島県と今治市を国家戦略特区に指定。翌年1月には、「四国に獣医師学部がない」ことを理由に獣医学部新設の特例措置を認め、翌年に唯一の応募者であった加計学園を事業者として認定した。これに対し日本獣医師会は、「これまで関係者が実施してきた国際水準達成に向けた努力と教育改革にまったく逆行するもので不適切」「十分な検証も行わず、本会等関係者が意見を述べる機会もないまま、一方的に獣医学部の新設が決定されたことはきわめて遺憾」(藏内勇夫会長)と反発を強めた。
獣医師養成課程がある国内16大学では、どこも長い歴史と実績を持っているものの施設や教員数の規模が小さく、国際基準に適合していないため、再編統合などによって、社会的な要請に応えられる専門家を養成できる環境・規模にすることを「喫緊の課題」としてきたからだ。
一方、京都府と京都産業大学も、国家戦略特区制度のもとでの獣医学部設置構想を提示していたが、その後、内閣府は当初の応募要件にあった「全国的見地」で募集をおこなうという文言を消し、「広域的に獣医師系学部が存在しない地域に限り」という条件を入れたため、事実上断念に追い込まれていた。同じ地域に獣医学部を持つ大阪府立大学があるからである。
内閣府は「今治市の提案の方が京都府と比べて熟度が高かった」としたが、今治市の提案が2枚だったのに対し、京都府と京都産業大の共同提案は20枚に及び、iPS細胞を使った再生医療など新たな生命科学の分野で活躍できる獣医師を育てることなどが記されていた。
京都府と京産大は、計画の優劣を判断する以前に突然の条件変更によって自動的にふるい落とされる形となり、その選考過程の不公平さ、不透明さが問題となり、「当初から加計学園ありきの出来レースではなかったのか?」という疑念が強まった。
疑いを払拭するためには、政府として選考の正当性を証明しなければならないが、政府は「スピード感を持った規制改革」「岩盤規制を突破するため」(菅官房長官)などというのみで、今治市や加計学園を選んだ合理的な説明はなされないまま、文科省による設置認可に進んでいた。
獣医学部の認可にあたって政府は「近年の獣医師の需給動向」「既存の大学では対応できないもの」「ライフサイエンスなどの新分野の具体的需要」「既存の獣医師養成でない構想」の四条件を閣議決定(2015年6月30日)していたが、所管する農水省は文科省に判断を丸投げし、文科省の大学設置審議会の審査では、過大な定員、実習計画や教員配置の不透明さなど7件の是正意見が出たうえに、8項目もの留意事項を付してスピード認可するという異例の事態となった。上記の四条件を満たしたといえる客観的根拠は何一つ提示されていない。
私立、公立にかかわらず大学の新設には1校あたり年間数〜十数億円単位で国の補助金が注がれる一大公共事業である。そのため設置認可には、社会的な需給動向を慎重に見極めたうえで、公正・公平な審査が必要とされる。「岩盤規制を打ち破る」などというものが基準になること自体が大きな間違いであり、公益性に責任を持つ行政がやるべきことではない。
2、加計学園を取り巻く安倍人脈
加計学園への優遇が疑われる理由のひとつには、学園と当時の政権担当者である安倍氏とのただならぬ親密さがあった【相関図参照】。
加計学園グループの加計孝太郎(本名・晃太郎)理事長は、安倍氏が大学卒業後、米カリフォルニア州立大ロングビーチ校への語学留学中に知り合ってから40年来の「腹心の友」であり、現在まで頻繁に別荘に招いたりゴルフや会食を共にする仲だった。安倍氏本人も代議士に初当選した93年以降に加計学園の監事となり、報酬を得ていた関係である。
また、加計学園が運営する「御影インターナショナルこども園」(神戸市)は、森友の件と同じく、安倍昭恵・総理夫人が名誉園長に就いていた。ここでもまた総理夫人の登場である。
※ちなみに安倍首相は国会で「妻が名誉校長を務めているところはあまたの数あるわけだが、それそのものが今まで行政等に影響を及ぼしたことはない」(2018年3月28日)と答弁したが、昭恵夫人の「名誉職」は55件あり、そのうち名誉校長、名誉園長は「モリ」「カケ」の2件だけであった。そして、その度外れた公私混同の振る舞いが「行政に影響を及ぼした」ことを実証したのが、この2件である。
また加計学園系列の千葉科学大学(銚子市)では、安倍政権で内閣官房参与を務めていた木曽功氏(文部官僚出身、加計学園理事)が学長であり、萩生田光一前内閣官房副長官(現・文科大臣)も客員教授として在籍していた。安倍総理秘書官だった井上義行参院議員も、2007(平成19)年の安倍氏の辞任後に客員教授として雇われていた。
下関市長を4期務めた江島潔参院議員も、市長をやめて参院山口選挙区のポストが空くまでの間、加計学園が運営する倉敷芸術科学大学に客員教授として雇われるなど、自民党浪人議員の宿り木のような役割を果たしていた。
加計学園本部には「自由民主党岡山県自治振興支部」が置かれ、夫人が加計学園グループの教育審議委員をしていた東京11区選出の下村博文元文科大臣の政治団体からパーティー券を購入したり、献金をする相互依存関係であることも明らかになった。
このような私的な、あるいは自身の政治派閥としての「借り」を返すためなのか、2016年7月、安倍首相は加計学園監事であった木澤克之弁護士を最高裁判事に任命している。これも日弁連の推薦リストから選出する慣例を度外視した特例的な人選であった。
獣医学部誘致を進めた側を見てみると、愛媛県の加戸守行前知事(元文部官僚)は、日本会議愛媛県支部相談役であり、「美しい日本の憲法をつくる愛媛県民の会」実行委員長。今治市の菅良二市長は、日本会議愛媛県本部の地方議員連盟正会員であった。
加計学園の獣医学部設置に対する破格の優遇の裏には、このような政治的利害や、特定のイデオロギーにもとづく関係性が存在している。
個人の思想信条は自由であるが、公職に身を置く行政担当者が公金や公権力を行使するうえで、公私を明確に区別しなければならないというのは民主主義社会の原則である。このような利益相反、利益誘導は、森友学園問題も含め、安倍政権下で浮上した前代未聞の疑惑の数々に共通する問題であり、「私情で公のプロセスをねじ曲げた」といわれる由縁である。
3、「官邸の最高レベルがいっている」
文科省が作成して保存していた「藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)」(2016年9月26日付)などの内部文書では、国家戦略特区を担当する内閣府から、加計学園の獣医学部設置について「平成30年4月開学を大前提に逆算して、最短のスケジュールを作成し、共有していただきたい。これは官邸の最高レベルがいっていること」「『できない』という選択肢はなく、事務的にやることを早くやらないと責任をとることになる。早く政治のトップの判断に持って行く必要あり」「これは総理のご意向だ」などといわれていたことが記されていた。
これについて各メディアが報道すると、菅官房長官(当時)は「出所不明な怪文書」として存在を否定したが、文科省の前川喜平・元事務次官が「あったことをなかったことにはできない」「在籍中に共有していた文書で確実に存在していた」と記者会見で明らかにした。
前川氏によれば、当時の和泉洋人首相補佐官からも「総理は自分の口からはいえないから、私がかわりにいう」などという発言とともに、獣医学部新設を急ぐように直接要請され、「獣医学部新設の四つの条件に合致しているかどうかを判断すべき責任がある内閣府は、そこの判断を十分根拠のある形でしていない。極めて薄弱な根拠のもとで規制緩和がおこなわれた。そのことによって、公正公平であるべき行政がゆがめられた」という。認可後に責任を問われる可能性がある文科省にとっては、記録を文書で保存することは自衛措置でもあった。
文科省はこれらの文書の存在を公式に認め、萩生田官房副長官(現文科大臣)が2016(平成28)年10月に「農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている」「官邸は絶対にやるといっている」「総理は“平成30(2018)年4月開学”とおしりを切っていた」などとのべた面会記録も公表。いずれも国家戦略特区で加計学園の獣医学部新設を認める以前から、同学園を事業者とすることを前提とした内容だった。
さらに2015(平成27)年4月に官邸で、愛媛県や今治市の職員、加計学園幹部が、官邸の柳瀬唯夫首相秘書官(当時)や内閣府の藤原豊地方創生推進室次長(同)と面会したさいの愛媛県の記録文書が明らかになった。文書によれば、藤原次長は「総理官邸から聞いている」「かなりチャンスがあると思っていただいてよい」と太鼓判を押し、柳瀬秘書官は「本件は首相案件となっている」と発言していた。
柳瀬秘書官は「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」と面会の事実を否定したが、愛媛県の中村知事は「愛媛県の信頼にかかわる。一般論として、真実ではないこと、偽りのこと、極論でいえばウソというものは、それは発言した人にとどまることなく、他人を巻き込んでいく」と反論。「県職員は子どもの使いじゃない」「なぜこんなに単純な話がずるずると引きずられていかなければいけないのか。終止符をうちたい」として、面会時に受けとった柳瀬氏の名刺とともに記録文書を公開した。参考人招致を受けた柳瀬氏は一転して面会を認めたが、2カ月後には経産省審議官を退任し、民間企業の非常勤取締役に天下った。
虚偽答弁を重ねたあげくの論理破綻であり、「総理のご意向」として進んだプロセスに安倍氏自身がどのように関与したのか? が焦点となった。
時系列で見ると、2013(平成25)年に安倍政権のもとで国家戦略特区制度が導入され、2015年4月に加計学園幹部と愛媛県、今治市職員らが官邸で面会して獣医学部新設を「首相案件」として約束し、2016年1月に今治市を国家戦略特区に指定。同時期に内閣府は文科省に「官邸の最高レベル」と加計学園の獣医学部認可の圧力をかけ、2017年1月四日に文科省が獣医学部新設を「一校のみ」として認めた。同月20日に内閣府が事業者として加計学園を認定している。
この2013〜16年までの3年間、安倍首相は加計理事長と13回も会食やゴルフを重ねていた。これには後に「総理のご意向」といった柳瀬秘書官や萩生田官房副長官のほか、安倍昭恵夫人や萩生田夫人らも参加していた。
バーベキューを楽しむ安倍首相、加計孝太郎、萩生田光一 (2013年5月、萩生田氏のブログより)
安倍氏は「私がご馳走することもあるし、先方が支払うこともある。友人なので割り勘もある。何か頼まれてご馳走されたことはない」「獣医学部新設について、加計氏から話をされたこともないし、私から話をしたこともない」と釈明したが、そもそも国家公務員や閣僚には「全体の奉仕者」として職務を遂行するための倫理規程がある。
国家公務員倫理法に基づく「国家公務員倫理規程」では、「国家公務員が、許認可等の相手方、補助金等の交付を受ける者など、国家公務員の職務と利害関係を有する者(利害関係者)から金銭・物品の贈与や接待を受けたりすることなどを禁止」し、「割り勘の場合でも利害関係者と共にゴルフや旅行などを行うことを禁止」している。
また「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」(2001年閣議決定)では、「国務大臣等(内閣総理大臣その他の国務大臣、副大臣)は、国民全体の奉仕者として公共の利益のためにその職務を行い、公私混淆を断ち、職務に関して廉潔性を保持すること」とし、「関係業者との接触に当たっては、供応接待を受けること、職務に関連して贈物や便宜供与を受けること等であって国民の疑惑を招くような行為をしてはならない」としている。
総理大臣が秘書官や官房副長官など官邸スタッフ一同を引き連れて、利害関係者とゴルフや会食に興じることは明らかな規程・規範違反である。
4.首相答弁に始まる虚偽答弁の連鎖
また安倍氏は、加計学園の獣医学部新設については「(加計学園を事業者として認定した)2017年1月20日に初めて知った」と国会でのべた。だが前述のように内閣府が管轄する国家戦略特区諮問会議では、少なくとも2016年から加計学園獣医学部の設置について審議しており、議長の安倍首相が何も知らなかったという説明は成り立たない。
加計学園の獣医学部新設を「総理のご意向」「首相案件」といっていた柳瀬秘書官は2015年2〜6月までに加計学園、愛媛県、今治市職員と3回も面談し、2013年5月に安倍氏の別荘でおこなわれたゴルフやバーベキューを加計理事長とともにするなど公私にわたって関係を深めていた。農水大臣や地方創生大臣も2016年8〜9月に加計理事長と面談しており、首相だけが「知らない」はずはない。
さらに2015年3月の愛媛県の面会記録では、加計学園事務局長が、同年2月に加計理事長が安倍首相と面談して学部新設の目標について説明し、安倍首相が「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と返したと愛媛県側に報告していた。安倍首相は面会の事実を否定し、加計理事長も「実際には(面会は)なかった」「誤った情報を与えた」と謝罪した。
もし仮に虚偽であるならば、加計学園が認可を得るために首相との架空の面会を捏造して地元自治体を騙す悪質な詐欺行為である。安倍氏がそれを咎めもしないのは、「17年1月まで知らなかった」という自身の国会答弁に照らせば、「なかった」ことにさえできれば自分の体裁を保つのには好都合だからであろう。
この「会った」「会っていない」「記録がある」「やっぱり会っていた」……の問答が国会で1年以上にわたって続いたことによる損失だけでも計り知れないものがある。
しかし、安倍氏がいかにはぐらかそうと、かずかずの公文書に記された動かぬ証拠が示すことは、総理秘書官、内閣官房、国家戦略特区諮問会議、文科省まで巻き込んだ加計学園の獣医学部新設は、文字通り「総理のご意向」として進行していた。
「行政がゆがめられた」という認可プロセスや担当官の虚偽答弁、公文書の廃棄、改ざんなど憲政史上前代未聞の不祥事の連続は、このような首相自身の公私混同の規範違反や、それを隠すためのウソに起因しているといわざるを得ない。
少なくとも罪悪感なりとあれば、人は同じことをくり返さない。だが自身の不品行で疑惑を招くと、その後始末や説明責任は他人に丸投げするという行動原理は、現在に至るまで変化がないようである。
2017年7月のNHK世論調査では、内閣不支持が5割を超え、理由として「首相の人柄が信用できない」が最も多数を占めた。信頼を取り戻すには、ひとつひとつの不祥事について事実関係と責任の所在を明確にし、再発防止策を講じなければならない。だが安倍氏は「謙虚に丁寧に、国民の負託に応えるために全力を尽くす」と釈明しながら、実際の行動では、憲法に基づく野党の臨時国会の召集要求を3カ月たなざらしにした挙げ句、一切の審議もせぬまま衆院を解散した。
「私が目指すこの国のかたちは、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた、“美しい国、日本”であります」――2006年9月、安倍氏の総理大臣就任時の所信表明演説である。「美しい国」とは、「自由な社会を基本とし、規律を知る、凛とした国」「世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのある国」だとものべている。
しかし、安倍氏自身の一連の言動は「規律を知る、凜とした」「美しい国」のリーダーがやることだろうか? どう見ても、国民が見せられたのは「美しい国」とは裏腹な汚れた現実である。
「魚は頭から腐る」といわれるが、不祥事を招いたトップが平気でウソをいい、罪悪感もなく、自分に都合のよいウソだけは認め、その責任も果たさないという組織は誤りの原因を突き止めることも、不祥事の再発を防ぐこともできない。
「四国の獣医師養成を目指す」として国家戦略特区の事業者に認定された加計学園の岡山理科大獣医学部(今治市)は2018年4月に開校した。だが、「開学の目玉」とした四国四県の受験生のために設けた特待枠「四国枠」(定員20人)の志願者は、開学後3年間で募集定員の27%程度にとどまる。合格者は2018年度が4人、19年が1人、そして20年度はゼロである。
これまでに180億円以上の多額の税金が投入されているが、「獣医師の需給動向」「既存の大学では対応できない研究」「ライフサイエンスなどの新分野の具体的需要」「既存の獣医師養成でない構想」の4つの認可条件を満たしたといえる内容はみられず、このことからも「総理のご意向」として進んだ国家戦略特区が、誰のため、何のためのものであったのか、検証される必要がある。何一つ解明されないまま膨らみつづける疑惑をぶら下げてズルズルと今に至っている。
(つづく)
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