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総裁選 菅・岸田の一騎打ちで「安倍・麻生の高笑い」が聞こえる 選挙で脅す史上最悪の泥試合に、国民は離れていく…
https://friday.kodansha.co.jp/article/202291
2021年08月31日 FRIDAYデジタル
総裁選が近づくにつれ、自民党内の権力闘争、足の引っ張り合いに拍車がかかっている。
昨年の総裁選で戦った岸田・菅・石破。このとき圧勝した菅首相の「人気」は、わずか1年足らずで地に堕ちた。「次こそは」ふさわしいリーダーが選ばれることを国中が願っている 写真:代表撮影/ロイター/アフロ
「下村さんは、菅政権のコロナ対策を任された政権与党の政調会長ですよ。党本部の講堂で候補者演説をするとき『コロナ対策に失敗した』なんて政府批判ができる立場ですか。そんな演説ができるわけない、候補者として語る言葉を持たないことくらい、分らなかったのか」(二階派議員)
下村博文政調会長(細田派)が菅首相の一喝によって総裁選から脱落した。
下村博文、一撃で脱落
地元板橋の駅頭演説では、有権者に「総裁選出馬」を語っていたが、その直後、菅義偉首相から官邸に呼び出されたのだ。
「総裁選に出るのなら政調会長を辞任していただかなければならない」
総理の言葉に、下村の心は一撃で「折れた」。じつは所属派閥である清和政策研究会(96人)からも、当初から出馬には苦言が噴出していた。
「東京11区が地盤の下村はこれまでずっとトップ当選ですが、7月の都議選で自民が惨敗、都議が弱体化したことで危機感を持っています。前回衆院選挙は1万9千票の僅差での勝利でした。立憲・共産の選挙協力が脅威で、政調会長といえども当落線上です。だから今、落選覚悟でも総裁選に出馬して、存在感を強めたかったのです」(都議会議員)
「選挙で脅す」菅義偉、続投の可能性は
しかし、下村の出馬を潰した菅首相は、まだ自身の出馬について態度を明確にしていない。コロナ対策最優先であることは言うまでもないだろう。
ここのところ厚労省では、感染状況の分析会議が深夜まで行われ、コロナ感染のピークアウトを見極めようとしている。
「感染拡大が収まったのか、なお状況を注視しているところです。ピークアウトともいわれますが、感染者は高水準のまま秋以降まで推移しそう。変異デルタ株の心配もあります。ともなって、中等患者、重症患者は年末または年明けまで医療逼迫をもたらす可能性があります。寒くなると、風邪やインフルエンザ、ノロウイルス、高齢者の肺炎も増加します。そこに新型コロナが混在し、医療の混乱、逼迫は避けられないでしょう」(厚労省キャリア)
もちろん、政権の課題は新型コロナ対策だけでない。外交の問題、国内の問題なども山積みなのだ。懸案だった東京オリパラをなんとかクリアしたものの、菅首相はかなり疲れている。
「コロナの感染状況によっては、総裁選に不出馬の可能性さえ囁かれている」(自民党重鎮)
という。党内の権力構図でいえば、菅首相、安倍晋三前首相、麻生太郎副総理、二階俊博幹事長がその本流だ。しかし今、「岸田待望論」が湧き上がっている。二階はついに「勇退」を決めざるえなかった。
調子を上げる岸田に対し、もはやなりふり構わない菅。菅首相は、総裁選前の臨時国会召集を拒否し、閣議決定による「衆院選、10月5日公示、同17日投開票」案を流し始めている。新総裁となる岸田には、解散権を渡さない。総裁選で岸田を支持する議員たちには「落選の恐怖を味わえ」といわんばかり。つまり「それが嫌なら、オレにつけ」ということだ。
高市早苗のやけっぱち出馬宣言
メディアへの露出戦略によって総裁選出馬を目指すもう一人は高市早苗元総務相(無所属)だ。
「昨年暮れから、地元奈良で『私が総裁選に出馬する』と公言し、運動資金集めをしていました。メディアでも繰り返し『女性初の総理を目指す』と発言しています。2月に森喜朗元首相の女性蔑視発言があってジェンダー平等がクローズアップされました。それで本人は勢いづいたのですが、推薦人のめどはまったくたっていない。すでに集めてしまった十分な資金を前に、下りるに下りられない状態なのです」(地元政界関係者)
石破茂、心境に変化が?
国民には圧倒的人気の石破茂元地方創生担当相は今回、総裁選不出馬の意向を示していた。が、ここにきて、
「臨時国会を開かないのであれば総裁選出馬」
という可能性をほのめかしている。石破の心境の変化は何があったのか。
「石破が政権批判を控えているのは、厚生労働大臣が自派の田村憲久で、彼の頑張りを評価しているからです。菅政権への批判は封印していました。けれども、岸田の勢いに刺激され、本流への対抗心が芽生えたようです」(閣僚経験者)
抗戦姿勢の岸田文雄が二階俊博を駆逐すれば…
在職5年の幹事長・二階に事実上の退任を迫り「ケンカを売った」岸田。表向きは「菅支持」ながら、二階を外して党内を掌握をしたい安倍、麻生にとって、岸田の動きは渡りに船だった。総裁選は今や「自民党を腐らせた」といわれる2人の元首相にとって「上等」な展開になっている。
出るのか出ないのか石破、引くに引けない高市。ポストと票の交換、恫喝と懐柔…。総裁選は、菅・岸田の一騎打ちが予想されるが、日を追うごとに、自民党の権力闘争はより顕在化するだろう。
権力のための政治。彼らの目に、新型コロナ、経済危機に苦しむ国民の姿はどう映っているのだろう。
取材・文:岩城周太郎写真:代表撮影/ロイター/アフロ
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