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補助金を受けながらコロナ患者受け入れ拒否の病院が…尾身会長のお膝元も“元凶”の一つだった
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/293645
2021/08/21 日刊ゲンダイ
新型コロナウイルスの重症患者の治療に当たる医療従事者(C)共同通信社
新型コロナウイルスに感染しながら入院できない自宅待機者が増える中、医療現場から不満の声が出ているのが、「コロナ患者の病床確保に向けた補助金を受けながら、受け入れに消極的な病院があるのではないか」という問題だ。
田村厚労相は20日の記者会見で、「都道府県からそういう声があれば対応を協議する」と話したが、果たして実際はどうなのか。日刊ゲンダイに「受け入れ拒否が起きている」と切実な状況を訴えた関東圏の民間病院長はこう明かす。
「この地域の基幹病院は、複数の市町村が共同で設置、運営している公設病院で、周辺に私たちのような小さな民間病院が点在しています。どの民間病院もコロナ病床は3〜5床がせいぜい。そのため公設病院にコロナ患者の受け入れをお願いするのですが、理由がよく分からないまま断られるケースが相次いでいるのです。すでにこの地域の保健所管内で100人近い自宅待機者が出ているにもかかわらずですよ。もちろん、私の病院にも、この公設病院に診てもらえなかったコロナ患者が入院しています。税金で運営している公設病院が受け入れ拒否なんて許されないでしょう。それでいて、コロナ関連の補助金を受け取っているなんて話を聞くから怒りたくなりますよ」
この地域を管轄する保健所に自宅療養中のコロナ患者数や公設病院の受け入れ拒否の事実関係を問うと、「コロナ関連の情報は県のホームページで開示している。待機者数も含めて他の情報は一切公開していない」とのこと。そのため、受け入れ拒否をしている、と名指しされた公設病院に取材すると、対応した職員がこう答えた。
――そちらの入院ベッド数は200床ほど。コロナ病床はあるのですか。
「コロナ病床は現在10床ほどあります」
――満床なのですか。
「いいえ。空きはあります」
――そちらの病院がコロナ患者の受け入れを拒否していると、住民から不満の声が出ています。なぜ、空きがあるのに受け入れないのですか。
「軽症者は受け入れています」
――入院待機者が増え続ける中で、軽症者以外の患者は受け入れない理由は何でしょうか。
「こちらは呼吸器系の専門医も少なく、看護師の数も足りない。これでは受け入れたくてもできないというのが実態です。ただ、県からは今の緊急事態を踏まえ、受け入れ要請がきており、病院内でも検討している最中です」
感染者を受け入れるべき専門病院の病床稼働率は数%
どうやら、この地域では「受け入れ拒否」というよりも、「受け入れたくてもできない」ということらしい。確かに容体が急変しかねないコロナ患者を受け入れるためには設備もマンパワーも不可欠だろう。とはいえ、このままでは自宅で亡くなるコロナ患者が増える一方だ。どうしてこんなことになるのか。
医療ガバナンス研究所の上昌広理事長がこう言う。
「日本国内には、新型コロナのような感染症患者を受け入れる専門病院があります。感染症指定医療機関と国立病院機構(NHO)、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)です。本来はこれらの専門病院がコロナ感染者を受け入れるべきなのに病床の稼働率は数パーセント。これでは自治体や民間病院が大変な状況に陥るわけです」
JCHOといえば、政府の感染症対策分科会の尾身茂会長が理事長を務める独立行政法人だ。前身は解体された旧社会保険庁所管の病院で、厚労省との関係が深い。昨年5月に成立した2次補正予算でも、JCHOとNHOには、コロナ対策の「医療提供体制の整備」という名目で計65億円の予算が付いていた。また今月12日には、東京・港区にある同法人本部施設1階入口のドアにスコップを突き刺されガラス3枚を割られる被害に遭っていたと報じられたばかり。
「コロナ患者の病床確保に向けた補助金を受けながら、受け入れに消極的な病院がある」との指摘は、新型コロナ感染急拡大で国民に連日メッセージを発信する尾身会長のお膝元も“元凶”の一つだったわけだ。
田村大臣は、これらの病院に対して早急に受け入れを求めるべきではないのか。
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