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新型コロナ騒動で国家を否定する「自助社会」が完全な形で到来した それでもバカとは戦え
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/293619
2021/08/21 日刊ゲンダイ
東京五輪開会式日には確認されていた「ラムダ株」、メディアが追及するまで隠匿されていた(成田空港=写真)/(C)ロイター
「ラムダ株」が東京五輪の開会式が行われた7月23日に国内で初めて解析され、国際機関に報告されていたにもかかわらず隠蔽されていた件。
厚労省や国立感染症研究所(感染研)によると、国内で初めて確認されたのが7月20日、羽田空港に到着した30代女性からだった。女性はペルーに滞在歴があり、空港の検疫で新型コロナウイルス陽性が判明した。
ラムダ株は2020年8月に南米のペルーで初めて報告され、中南米を中心に拡大、感染力が強く、ワクチンによる保護効果を回避する可能性があることも指摘されていた。
にもかかわらず、メディアが追及するまで公表しなかった理由はその女性が東京五輪の大会関係者だったからだろう。要するに、浮かれ立つ連中の熱気に水を差さないよう忖度したわけだ。
厚労省は、ラムダ株が日本の「VOC」(懸念される変異株)に分類されていないことを理由に挙げていたが、米ニュースサイト「デーリービースト」は「東京五輪後に発表する計画があった」とする感染研の研究者の証言を報道している。
菅義偉は感染者が拡大する中で東京五輪を開催することについて、一貫して楽観論と無責任な発言を垂れ流してきたが、危惧されていた医療崩壊がいよいよ始まると、新型コロナの「中等症」であっても「症状が軽い」あるいは「重症化リスクの少ない」患者には「自宅療養」させる方針に切り替えた(8月2日)。
その後、反発を受け、表現を修正したが、要するに、国民の見殺しである。権力の中枢に食い込んだ新自由主義勢力が30年かけて目指してきた国家の否定と「自分の身は自分で守れ」という社会が完全な形で到来したわけだ。
今回の新型コロナ騒動は国家の機能不全と危機に立ち向かうための思想の脆弱性を明らかにしてしまった。
私事で恐縮だが、この問題について評論家の中野剛志氏と詳しく論じ、先日「思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか」を上梓した。
新型コロナは変異を繰り返し拡大する。小手先の対応は通用しない。われわれ人類は、新型コロナと同時に無責任な楽観論者やデマゴーグの類いを封じ込める必要がある。社会を防衛するのは最終的には一人一人の精神なのだから。
適菜収 作家
近著に「日本人は豚になる」「ナショナリズムを理解できないバカ」など。著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。
多額の税金、年金、保険料を払い続けて、いざコロナにかかったら自宅放置で死亡って、成仏できないよね。
— 適菜収bot(新刊『思想の免疫力』中野剛志さんとの対談。https://amzn.to/2VBOP7 (@tekina_osamu) August 21, 2021
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