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東京都が「積極的疫学調査」縮小!「隠れ陽性」と「死後コロナ判明」の激増を専門家が強く危惧
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/293435
2021/08/17 日刊ゲンダイ
川崎市は濃厚接触者を追い切れず(=右、同市飲食店街)、とうとう東京都の自宅療養者は2万人を超え…(C)日刊ゲンダイ
東京都は濃厚接触者や感染経路を詳しく調べる「積極的疫学調査」を縮小する方針を各保健所に通知した(10日付)。重症化リスクの高い高齢者施設や医療機関の調査を優先させる。保健所の負担が軽減される半面、陽性者の発見はおろそかになる。この先、「隠れ陽性」と「死後のコロナ判明」が激増する恐れがある。
◇ ◇ ◇
新型コロナウイルスの感染拡大を止めるには、陽性者の行動歴をさかのぼり、濃厚接触者を特定するのが必須だ。積極的疫学調査を縮小すれば、隠れ陽性者が野放しになり、際限なく感染が広がるリスクが高まる。
一方、表向きの数値は改善する。追わなければ、新規感染者数は積み上がらないからだ。例えば、感染拡大が深刻な川崎市では保健所業務が逼迫し、濃厚接触者を追い切れていない。
「保健所業務が追い付かず、区によっては同居家族の濃厚接触者もPCR検査をできない場合があります。しっかり検査をできていれば、感染者数は増え、陽性率も上がるでしょう」(川崎市感染症対策課)
同居家族は典型的な濃厚接触者だ。感染力の強いデルタ株(インド株)の登場以降、同居家族が「陽性」になる確率は大幅に高まっている。ところが、川崎のようにPCR検査が実施されなければ、同居家族は陽性者にはなり得ず、市が発表する新規感染者数にはカウントされないのである。療養者数も増えず、自宅療養者数の増加や入院率の悪化にも“歯止め”がかかったように見えるのだ。
自宅療養の新型コロナ感染患者を往診する医師。「搬送もできず容体悪化で亡くなるケースも出てくるかもしれない」と…(C)共同通信社
新規感染者数などの数値改善は“見せかけの減少”に |
都の調査縮小も見た目の“数値改善”の効果がありそうだ。西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「積極的疫学調査の縮小により、一見、新規感染者数などの数値が改善されたように見えても、水面下で感染拡大は進行します。検査を受けられなかった潜在陽性者に対する治療もできなくなり、死後、コロナの陽性が判明するケースが増えてもおかしくありません」
都は今年1月の第3波で保健所業務が逼迫し、1月22日から「調査縮小」に踏み切った。この時は新規感染者数のピークは過ぎ、減少傾向に転じていた。第5波はいつピークアウトするのか分からない。調査縮小により、数値と実態がかけ離れれば、第5波の全貌も把握できなくなる。
「検査余力はあるはずです。小池知事は調査縮小ではなく、検査拡充を行い、実態を直視すべきです。調査縮小では、後々、大きなツケが都民に回ってくるだけです」(中原英臣氏)
都は1日あたりのPCR等の検査能力を通常時7万件、最大稼働時9万7000件確保しているが、足元の検査数は1万〜1万5000人程度にとどまっている。
小池知事は16日、「縮小ではない。効率を上げるという意味だ」と言い繕った。トリックに引っかかってはならない。
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