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※2021年8月11日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年8月11日 日刊ゲンダイ2面
【パンとサーカスにいとも簡単に騙される】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) August 11, 2021
「開催よかった」が過半数の危ない国
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/n1AaeNlCHD
※文字起こし
東京五輪の閉幕前後に実施された全国世論調査の結果にはア然だ。NHKの調査(7〜9日実施)では開催について「よかった」「まあよかった」を合わせて62%を占め、「あまりよくなかった」と「よくなかった」の34%を上回った。朝日新聞の調査(7、8日実施)でも「よかった」56%で、「よくなかった」32%。開催前は世論の大半が今夏の強行に反対だったのに、17日間の祭典で評価は様変わりである。確かに、スポーツには見るものに夢や感動を届け、熱狂や一体感を生み出す力がある。開催国の地の利が見事に奏功した日本勢のメダルラッシュも後押ししたのだろう。
もっとも、新型コロナウイルスの爆発的感染拡大への不安もクッキリだ。菅内閣の支持率はNHKが前月比4ポイント減の29%、朝日は3ポイント減の28%。他の調査同様、「危険水域」とされる20%台に落ち込んだ。朝日では菅首相が繰り返す「安全安心の大会」には「できなかった」が54%。政府の新型コロナ対策を66%が評価せず、9月末に自民党総裁の任期を迎える菅に首相を「続けてほしくない」が60%である。言い換えれば、「菅は早く辞めろ」「国民の暮らしと生命を守る政治を」の大合唱である。
「大会中に医療負荷軽減」
とはいえ、為政者に与えられた「パンとサーカス」にいとも簡単に騙され、「開催してよかった」が過半数に膨らむ危ない国だという事実も浮き彫りになった。
これまでの菅の言動をシカと思い出してほしい。コロナ禍が収束する見通しが立たず、五輪開催への逆風が吹きすさぶ中、菅は6月7日の参院決算委員会で「世界から選手が安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく。これが開催の前提条件だ」と答弁し、7月1日にも報道陣に「国民の安全・安心を最優先にする中で対応していく」と明言していた。しかし、実際は国民の暮らしも生命もないがしろにし、政治的思惑を最優先に五輪開催へ突き進んだ。その結果が、過去にないほど大きな第5波の襲来。全国規模に広がった爆発的感染拡大である。ナントカのひとつ覚えなのか、異常なまでのワクチン頼みの菅は3回目の緊急事態宣言の9都道府県解除を発表した6月17日の会見で、こんな楽観的な見通しを口にしていた。
「大会中は高齢者を中心とした重症者が減少し、医療の負荷も大幅に軽減される」
「職域(接種)が始まると集団免疫にどんどん近づいていく」
菅の願望が実っていれば、失策を重ねる新型コロナ対策はおろか、安倍政権から続く悪事までもがお祭りムードですべて吹き飛びかねなかった。菅の浅はかな思惑通り、衆院選で勝ち、自民党総裁無投票再選で長期政権への足掛かりを得ていた可能性もあった。しかし、現実はむしろ専門家らが危惧した最悪シナリオを超える惨状で、政治不信は高まる一方である。
政治評論家の森田実氏は言う。
「開幕した途端、報道は五輪一色。8〜9割を占めたと言っていいんじゃないか。開幕前までは報じられていた新型コロナの感染状況や医療提供体制の逼迫に関する情報は脇に追いやられてしまい、五輪に対する世論の受け止めは手のひらを返したように変化してしまった。風にそよぐ葦にも例えられますが、情報に左右され、マスコミの影響を受ける世論のもろさが浮かび上がりました」
過去最長放送、「時論公論」では大本営 |
原爆被災者の記録で知られ、今年生誕100年を迎えた報道写真家の福島菊次郎(1921〜2015年)を取り上げた記事が朝日(9日付朝刊)に掲載されていた。
軍国青年として終戦を迎え、「生き残ったやましさ」を抱えて公害問題や三里塚闘争などにレンズを向け続けた。四半世紀の間ともに活動したフォトジャーナリストの那須圭子さんによると、かつて「僕が変われば、この国も変わる」と話していた福島は、亡くなる数年前から「もう、この国は変わらないよ」と言うようになったという。そして、世論の反対を無視して突き進んだ五輪。那須さんはこう痛感したという。
「五輪すら止められない国が、戦争を止められるわけがない」
至言ではないか。再び堕ちるところまで堕ちたこの国の危うさ。日本軍の敗北を研究した名著「失敗の本質」は「作戦司令部には兵站無視、情報力軽視、科学的思考方法軽視の風潮があった」と指摘していたが、亡霊はコロナ禍で見事に蘇った。
政治のデタラメは言うに及ばず、お祭り騒ぎに主体的に加担したメディアもその責任の一端を担っている。番組表はどこもかしこも五輪、五輪、五輪。金満体質のIOC(国際オリンピック委員会)がつり上げた巨額の放送権料を賄うため、NHKと民放はジャパンコンソーシアム(JC)として共同購入している事情があるとはいえ、各局横並びで朝から晩まで五輪。とりわけ露骨なのがNHKだ。総合、Eテレ、BS1、BS4K、BS8K、ラジオ第1の6つの放送波で過去最長1000時間超の五輪放送を実施。特にBS1は生中継や録画で24時間エンドレスのパラレルワールドだった。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「9日放送のNHK『時論公論』は大本営発表そのものでした。『東京オリンピック閉会 大会で見えたものは』と題し、冒頭で日本勢は史上最多の金メダル27個、総数58個のメダルを獲得したと紹介。五輪開催による感染拡大の影響については、大会組織委員会の発表を垂れ流し。先月1日以降、450人以上の陽性が確認されたものの、その多くが国内在住者で、海外から来日した関係者は約150人に過ぎないと総括していました。警備のために全国の警察から集められた特別派遣部隊内での感染も頻発していたことから考えれば、大会に関係する感染者数はかなりの数に上るはずなのに、そうした数字は拾わない。問題点を隠蔽し、大会成功を喧伝したい政権の意向に沿った内容でした」
かつて経験したことがない感染拡大と医療崩壊という人災をキチンと報じず、その責任追及もウヤムヤのまま、メダルの数で「総括」の恐ろしさである。
3週間で3倍、過去最多重症者
都内の感染状況は深刻さを極めている。
10日の新規感染者数は2612人で、直近1週間平均の新規感染者数は前週比119・2%の約3978人だった。都基準の重症者数は176人に増え、過去最多を更新。第3波に見舞われていた今年1月20日の160人を上回った。宣言の対象拡大などを発表した先月30日の会見で菅は、ワクチン効果を挙げて「重症者の数の増加にも一定の抑制が見られて、東京では人工呼吸器が必要な重症者の数は1月と比較しても半分程度にとどまり、病床の利用率も2割程度に抑えられている」「ワクチン接種の効果が顕著に表れている」などと胸を張っていたが、これでも五輪と感染拡大は関係ないと強弁し続けるのか。確かに、先月下旬の都内の重症者数は60人台だったが、この3週間で3倍近くに急増である。入院・療養等調整中が1万1805人に上り、入院制限によって増える自宅療養は1万7683人と高水準だ。
「医療提供体制は社会の力を表し、社会を維持するパワーの源です。にもかかわらず、医療を軽視する政府は爆発的感染拡大を招いて逼迫させ、入院制限をかけて一般患者も軽症のコロナ患者も受け入れない。この国はすでに医療崩壊しています。危険な方向に突進する政府を止められるのは、国民しかいない」(森田実氏=前出)
西村コロナ担当相が感染リスクについて「あすはわが身だ」と言っていたが、その通りだ。このままでは政治に命を奪われる。
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