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菅首相を待つのは地獄のみ。支持率30%切りで始まる自民“菅おろし”
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2021.08.11 高野孟『高野孟のTHE JOURNAL』 まぐまぐニュース
菅首相が抱いていた「長期政権の夢」は、もはや風前の灯といった様相を呈しているようです。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、菅政権がごくごく近い将来に終焉を迎えるとし、その要因を列挙し各々について解説。さらに各週刊誌による次期衆院選の当落予想を紹介するとともに、この選挙で野党は何を目標とすべきかについても考察しています。
※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年8月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。
さあどうなる?8月の内閣支持率/それ次第で迫りくる菅政権の天国と地獄の分かれ目
菅義偉首相は五輪開幕直前の7月20日に米紙WSJのインタビューを受け、「日本国民の約3分の2が五輪を楽しめると思っていない(中でそれでも開催するのか)」
と問われ、「競技が始まり、国民がテレビで観戦すれば考えは変わる」と自信のほどを示した。さて、本当に国民の考えは変わったかどうかが、今週にも発表される各社世論調査の内閣支持率の数値に端的に表れる。
すでに朝日は7〜8日に調査を行い9日付で発表したが、内閣支持率は28%で初めて30%を割り、不支持率も53%で、7月の31%、49%からいずれも悪化した。他の調査も軒並みこのような結果となるに違いない。
その数値を起点として、8月から10月に向けての世の中の流れがどうなるか、菅から見て《天国舞い上がり》コース、《地面這いずり》コース、《地獄転がり込み》コースのどれになるかの分岐が生じる。
天国コースはすでに消えた!天国コースはすでに消えた!
菅が事前に抱いていたイメージでは、五輪前にはワクチン接種もかなり進んで世間の空気も少し落ち着いてくる中で、五輪を有観客で開催できればそれなりに盛り上がり、「それで池江璃花子が金メダルでもとれば国民はすっかり夢中になって」(と実際に菅は側近に漏らしたという)雰囲気が変わり、内閣支持率の下血状態も止まる。そこから反転攻勢に出て、9月5日パラ閉会式直後、五輪・パラ熱が冷めないうちに総選挙断行、そこそこの結果を出せば自民党総裁選は「無投票再選」となり、そこまで行けば長期政権……というのが、お得意の「希望的観測」の連鎖による《天国舞い上がり》コースだった。が、これはすでに五輪開幕を待たずして消えていた。
その何よりの前提は、ワクチン接種の広がりで感染拡大を下火に導いて人々に少しでも安心を与えることで、菅は「これ一本に賭ける」とまで言って発破をかけたが、河野太郎ワクチン担当大臣の無能もあって肝心のワクチンが現場に届かない。そうこうするうちに首都圏、大阪、沖縄ではかつてない勢いの感染大爆発が起き、開会式に前後してこれらの都府県への緊急事態宣言の発布もしくは延長、さらに13道府県への蔓延防止措置の適用をせざるを得なくなるというドタバタである。
これだけですでに、「人類がコロナウイルスに打ち勝った証として東京五輪を開催する」「安全安心の大会を開く」という安倍政権以来の世界公約が破綻したことは明らかだが、菅は「人流は減っている。問題ない」「高齢者で少なくとも1回接種を終えた人が8割超で、東京の感染者に占める高齢者の割合が低下した」と頓珍漢なことを言い募った。
「五輪をやっているんだから、少しくらい街に出てもいいのかなと思って」とテレビカメラに向けて言い放つ若者が溢れている中で、一体何を以て「人流が減っている」と言えるのか。確かに一部の統計でそこまでの数日間に人流の増加率が減っているという数字はあったようだが、それと人流そのものが減っているのとは別である。もちろんその後、増加率は増加したが、菅は発言を訂正していない。
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中等症者は自宅でという酷薄
高齢者の少なくとも1回の接種率が8割を超えたというのも、何の意味もない数字で、
1.そもそも2回接種を完了しなければ効果は限られているし、
2.2回接種しても感染する人が増えていて、3回目の接種が必要ではないかということが世界的に問題となりつつある。
3.高齢者に接種が行き渡りつつあったとしても、それと、日本社会全体がコロナと戦って五輪で世界中から人々を迎え入れられる態勢を整えられたかどうかという問題とは何の関係もない。
さらに決定打となったのが、8月2日の「軽度の中等症患者は入院をさせず自宅療養させるべし」とする方針の発表である〔写真〕。
感染大爆発による医療体制逼迫が始まっている中で、菅が信頼する和泉洋人=首相補佐官と大坪寛子=厚労省審議官の“不倫コンビ”が思いついたのがこれで、重症者や酸素吸入を必要とする「中等症II」のための病床・人員・設備を増やすのではなく、それ以下の「中等症I」レベルや軽症者を病院に来させないように「自宅療養」とすることで医療逼迫を緩和するという、丸っきり本末転倒の机上の空論である。
すでに現状でも、例えば神奈川県では、8月6日現在で自宅療養者は9,786人で、その中で「40度の熱が1週間続いても入院できなかった」というケースも報告されている(8月7日付東京新聞)。きちんと診断されないまま「中等症I」とされ自宅療養となった人が、容態が急変したとしても、それを危険と判断できる人が本人を含め身近にいるはずもなく、仮に家族が気付いて相談センター等に電話しても繋がらず、仕方なく救急車を呼んでも入院先を見つけるのに何時間も何十時間も何日も費やし、途上で亡くなる人もいる。
この惨憺たる現状をどう打開できるかということが喫緊の問題であるというのに、政府が打ち出したのは、「病床を増やす」のではなく「自宅療養を増やす」とい
うアホみたいな真逆の方針でしかなかった。
待っているのは地獄コース?
そういう訳で、天国コースはすでに消えていて、これから出てくる世論調査結果はそのダメ押し的な確認にすぎない。
とすると、いろいろなことがハッキリしないままグダラグダラと進む《地面這いずり》コースに進む可能性もあるが、そのいちいちの分岐を検討するのも煩わしいので、ここでは《地獄転がり込み》コースを検討し、それと上述のすでに敗北した《天国舞い上がり》コースとの中間領域で何が起こりうるのかは、皆様の想像力の広がりに委ねることとしよう。
内閣支持率がガックリ下がって、一斉に30%ラインを切ってしまえば、ほぼ自動的に《地獄転がり込み》コース突入である。
まず第1に、コロナ禍がますます燃え盛る。7月の爆発を主導したデルタ株(インド型)、アルファ株(英国型)に加えて、WHOが懸念を表しているベータ株(南アフリカ型)、ガンマ株(ブラジル型)、ラムダ株(ペルー型)など、免疫回避型の強力な新種が五輪を通じて持ち込まれた可能性は大いにあり、さらにそれらが「変異株の見本市」である選手村で混じり合い「新たな日本型変異株が誕生してもおかしくない」(選択8月号)が、それが判明するのは今ではなくこれからである。
第2に、菅政権はそれに対処する能力を持っておらず、「飲酒を伴う外食」を仮想敵とする誤った対策を繰り返すばかりなので、急速に“進化”する変異株の攻撃を食い止めることができない。パラを有観客で行うかどうか検討すると言っているが、それどころでなく、開催できるかどうかである。
第3に、その状況で内閣支持率がますます下落すると、自民党内で「菅下ろし」が本格化し、9月に本来の予定通り総裁選を実施し、看板を掛け替えてから総選挙に臨むしかないという流れとなる。菅の、五輪・パラの熱気に乗って先に総選挙、後に総裁無投票再選という超楽観的《天国》コースは完全に消え、菅政権は終わる。
第4に、唯一の切り抜け策として官邸周辺から漏れ伝わる与太話は、この状況を逆手にとって、8月24日開会のパラ中止を決断、全国に事実上の非常事態宣言を施行し1週間の短期集中作戦でコロナ禍を鎮火に向かわせ、8月31日に一斉に期限を迎える6都府県の緊急事態宣言と13道府県の蔓延防止措置とを延長することなく一斉解除するというもの。しかし、五輪・パラと一連なりのものを途中で断念するくらいなら、最初からやらなければよかったじゃないかという当然の非難の嵐が襲いかかるに決まっているので、菅はこれを採ることはできない。
総選挙はどうなるか
いずれにしても10月には総選挙が行われるので、週刊誌はすでに当落予測を記事にしている。
面白いのは週刊現代7月31日号で(本号FLASH No.422参照)、自民党を見限って野党に投票する離反率が前回得票に比べて5%、10%、12%の3ケースを想定し、12%ケースでは与野党逆転が起きる可能性があることを示した。この3ケースをA、B、Cとする。
週刊朝日8月30日号は、角谷浩一と松田馨の予測を載せているので、これをD、Eとする。また週刊文春8月15日号は久保田正志の予測で、これをFとする。
各党の現有議席は、自民276、公明29、与党計305に対し、野党は(時期と数え方がいろいろだが一応)立憲109、維新10、共産12、国民7、社民1、れいわ0、野党計157。それに対する各予測を、「野党計」が少ない順で並べる。過半数は233なので、EやBだと与野党伯仲、Cでは逆転となる。とはいえ、維新と国民は与党連立に取り込まれる可能性大なので、この選挙での政権交代は難しい。せめて伯仲状態を現出して自民党のやりたい放題を抑え込むことが野党にとっての目標となろう。
A:自民249、公明28、与党計277。
立憲146、維新15、共産12、野党計188。
D:自民235、公明29、与党計264。
立憲129、維新28、共産21、国民11、社民2、野党計191。
F:自民230、公明30、与党計264、与党計無所属4。
立憲125、維新32、共産18、国民15、社民2、れいわ5、野党計197、野党系無所属4。
E:自民213、公明26、与党計239。
立憲158、維新31、共産19、国民7、社民1、れいわ2、野党計218。
B:自民217、公明27、与党計244。
立憲176、維新16、共産12、野党計221。
C:自民198、公明27、与党計225。
立憲193、維新17、共産13、野党計240。
(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年8月9日号より一部抜粋・文中敬称略)
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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。
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