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菅首相の「自宅療養方針」は絵に描いた餅、事実上の敗北宣言だ ラサール石井 東憤西笑
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/292900
2021/08/05 日刊ゲンダイ
「コロナ中等症も自宅療養で…」(菅首相)/(C)共同通信社
菅総理が思わず耳を疑うようなことを言いだした。
いわく「重症患者や重症化リスクの高い方が確実に入院できるよう、必要病床を確保する」。ここまではいい。当然のことだ。驚くのはその次だ。
「それ以外の方は自宅での療養を基本とし」なんだと。つまり今まで入院して治療してきた中等症患者は、自宅にいろということか。
そのあと「症状が悪くなればすぐに入院できる体制を準備する」と続けたが、医師や看護師がいなくて誰がどうやって症状が悪くなったと判断するのか。一人暮らしならば一人で判断し、連絡するのか。地獄のような状況ではないか。
「パルスオキシメーターを配布し、身近な診療所が、往診やオンラインなどによって丁寧に状況を把握できるようにする」
そんな体制を誰がどのようにつくるのか、かかりつけの医者には往診などできる余裕はないだろう。
オンラインとはなんだ。家のパルスオキシメーターを誰がパソコンやスマホに入力し、誰が24時間管理してくれるのか。絶対に無理だ。オンラインと言えば、誰かが魔法のようにやってくれると思っているのか。無知も甚だしい。
多くの人がこれは「事実上の敗北宣言」だと言っている。
医療崩壊で病床が足りない現実を、中等症以下の患者を自宅に放置することによって、なかったことにする。ベッドが足りないのを「そもそもベッドは重症者だけのものだ」と王様が宣言して、いかにも国は間違っていないと言い張る。しかも世界からメディアが集まっているこの時期に、傲岸不遜、厚顔無恥も甚だしい。
中等症というのは、呼吸器こそつけないが肺炎が進行していて、医者の言葉を借りれば「人生で最も苦しい時期」ともいわれている。
ある主婦はツイートで「夫は中等症だったけど、24時間の酸素吸入、ステロイドとレムデシビルの投与、ステロイドの副作用による血糖値上昇を防ぐインシュリン注射。こんな事が自宅でできるはずが無い。自宅療養なら恐らく助からなかった」と書いている。
これはもう事実上の「医療崩壊」を国が認めたようなものだ。それなら、総理がやるべきはまず謝罪だろう。「我々が間違っていました」と国民に謝り、すぐに国会を開け。
連日オリンピックでアスリートたちが、その競技する姿で国民を感動させているではないか。だったら、国会議員の働く姿を見せて国民を感動させろ。正しいことをしていると胸を張っていられるなら、その姿だけで国民に選挙用のアピールができるはずだ。
最後に俵万智さんのツイートを。
「ちぐはぐな パッチワークを見るように 五輪のニュース、コロナのニュース」
言い得て妙。“三十一文字”に今の不穏な何か気分のすぐれない空気を見事に表現している。私もその空気のせいで最近具合がよろしくない。
ラサール石井 タレント
1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属
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