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五輪批判で孤軍奮闘『バイキング』坂上忍に圧力! 出演の春日良一が「プロデューサーから中庸に」の指示に坂上が抵抗したこと明かす
https://lite-ra.com/2021/08/post-5978.html
2021.08.06 五輪批判『バイキング』坂上忍に圧力!春日良一が「中庸に」の指示明かす リテラ
番組HPより
コロナ感染拡大と医療崩壊が深刻化するなか、テレビは相変わらず東京五輪一色で大はしゃぎを繰り広げている。
そんななか、『バイキングMORE』(フジテレビ)にMCの坂上忍が帰ってきた。
既報のとおり、坂上は『バイキング』で開催直前まで五輪開催を批判し再延期を訴え、「五輪選手の活躍を伝えて、次のコーナーでコロナの死者を伝えるなんてできない」と繰り返していた。
ただし、開会式が行われた7月23日の放送を最後に、坂上は先週は夏休みで番組に不在、今週も2日と3日は五輪中継で番組じたいが休止。この間、開会式までは五輪について批判的に報じていた『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)までもが、開催と同時に五輪一色に染まってしまったようなメディア状況だ。久々に『バイキング』に登場した坂上は、コロナと五輪をどう報じるのか。
そう思って注目していたのだが、結論から言うと、その姿勢はまったくブレていなかった。
坂上が復帰した4日の『バイキング』は、番組冒頭から1時間以上にわたってコロナを特集し政府のコロナ対応を批判、五輪情報は4分ほどのダイジェストVTRが流されただけでスタジオトークもなし。コロナを申し訳程度にしか報じない、ほかのワイドショーとは真逆の番組構成だった。
とりわけ坂上は、政府や都のコロナ対応を厳しく批判した。
「菅総理がずっと繰り返していた安全・安心なオリパラ開催っていうのは、僕は、ある意味、医療従事者の方々がお仕事をする合間にテレビを付けるなりして、応援する物理的な時間と、あとは応援する気持ちになるっていうその状態がある意味、安全・安心なオリパラ開催。もはや、この状況でどうしてくれるんだ?っていう気持ちしか僕にはない」
「僕がすごく許せないことは、菅総理も小池都知事もオリパラに直接的な原因がないからといって、でも、間接的な要因であることは間違いないはずなんです。なんだけれど、いまの感染爆発状況とオリパラをまったく結びつけようとしない。あの誠意のない答え方をいつまで続けるんだって。一番腹立たしい」
感染拡大を報じても五輪の影響については触れない番組がほとんどのなか、坂上は、五輪開催が感染を拡大させているとして、厳しく批判したのだ。
5日も同じく、コロナ問題を1時間以上特集し、五輪の競技情報は5分足らずのVTRだけでスタジオトークなし。五輪選手に対する誹謗中傷問題についても議論したが、坂上はコロナ下での開催強行がこうした誹謗中傷に拍車をかけているとも指摘していた。
先週、五輪の開催とともに夏休みに入ったため、一部では「逃げた」などとも揶揄されていた坂上だが、五輪反対の意思は固かったようだ。
■『バイキング』坂上忍に五輪批判封じの圧力があったと元JOC春日良一が暴露
しかし、実はこの間、『バイキング』MCの坂上忍に圧力がかけられていたことがわかった。元JOC参事の春日良一氏が、ラジオ番組で暴露したものだ。
春日氏といえば、五輪開催をめぐる議論で『バイキング』に度々ゲスト出演し、臆面もなく五輪至上主義を主張してきた人物。7月上旬に野外音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の中止が伝えられ五輪開催への批判世論が高まるなか、「五輪は特別」と言ってのけ、坂上をキレさせたことも記憶に新しい。
春日氏は、8月2日放送の『辛坊治郎ズームそこまで言うか!』(ニッポン放送)にゲスト出演したのだが、ヨット太平洋横断挑戦で不在の辛坊の代理でパーソナリティを務める立川志らくと、五輪反対だったメディアの開催後の五輪報道について議論。そのなかで『バイキング』の舞台裏について、こんなことを語った。
「僕は『バイキングMORE』とか結構出てて、いつもみんなに反対されてるじゃないですか。だけど、このまま(反対で)行っても、絶対スポンサーになっているテレビ局がオリンピックを放送しないわけないので、そのときどうするのかなって、逆にすごい心配していたんですよ。
そうしたら、(オリンピックが)始まる一週間くらい前から、ちょっとプロデューサーサイドから、そういうこう、何て言うんだろう、『中庸にしていこう』となったんだけど、僕のライバルである坂上忍さんは、絶対それ諦めなかったんで(笑)。最後まで戦っていて。実際、始まったらどうなるのかなと思ってテレビ見ていたら、坂上さん、夏休みとってて(笑)。さすがこの手があったかと。なかなかいい手がありましたね」
「このまま反対で行ってどうするのかなって心配していた」とか、感染爆発が起きているにもかかわらずメディアが五輪一色になっていることを勝ち誇っているような、春日氏の五輪至上主義目線はひどいが、それ以上に問題なのは『バイキング』プロデューサーの方針だろう。
『バイキング』のプロデューサーが、坂上に対して、オリンピック開始1週間前くらいに、「五輪開催反対でなく、中庸でいくように」という方針を示していたというのである。
『バイキング』では結局、坂上が抵抗してこの方針をはねつけたようだが、テレビ各局ではこうやって、五輪開催に疑問を投げかけたり異論を唱えていた番組の内容を、五輪礼賛報道に変えていったということだろう。
■6月以降急速にしぼんでいった「五輪中止論」 メディアも「有観客か無観客か」議論にすり替え
そもそも6月はじめ頃までは「中止」を主張するメディアやコメントは珍しくなかったが、6月なかば、G7サミットの共同声明に五輪開催支持が組み込まれ、6月21日、5者協議で「上限1万人の有観客開催」が決まると、議論は「開催か中止か」ではなく「有観客か無観客か」「どう安全に開催するか」にすり替えられ、国内マスコミでは「五輪中止論」は急速にしぼんでいき、ほとんどの新聞やテレビは五輪中止に言及することをやめてしまった。そんななかコロナ下での五輪開催に異論を唱え続けたのは、テレビでは『バイキング』、新聞では東京新聞くらいだった。
時期の違いはあれど、おそらくは他番組でも、「もう開催されることは決まったんだし」「うちの局も五輪中継するから」「反対するのではなく、どう安全に開催するかを建設的に議論すべき」などという意見がまかり通り、反対論が封じられていったのだろう。
そう考えると、「最後まで絶対諦めず戦った」という坂上の姿勢は大したものだろう。坂上は以前も、『バイキング』での政権批判がフジテレビ上層部から問題視され、批判潰しのためパワハラ告発され降ろされそうになったことがあったが、そのときも徹底抗戦していた。
春日氏の証言どおり、実際、『バイキング』は開催1週間前も五輪に対する批判姿勢は変わらず、開会式を夜に控えた7月23日放送でも、他番組が試合の始まったサッカーやソフトボールの試合やブルーインパルスに大はしゃぎするなか、小林賢太郎解任問題や五輪関係者の感染、五輪の感染対策の杜撰さなどを批判していた。
春日氏は「始まったらどうなるのかと思っていたら、坂上さん夏休み。その手があったか」と、坂上を小バカにしていたが、復帰した4日、5日の放送を見れば、その今夏開催反対の姿勢はまったく変わっていないどころか、感染拡大を受けさらに厳しく批判している。
しかし、『バイキング』や坂上のような姿勢はあくまで例外にすぎない。
■千原ジュニアがコロナ下の五輪報道に疑問、『ゴゴスマ』石塚元彰は宮根の開き直り発言を批判
5日放送の『ゴゴスマ』(CBCテレビ)で、千原ジュニアが「オープニングで『メダルおめでとう』ってやって、後半コロナで。つなぎのニュースで選手村でクラスターが発生したとか、不思議な時代を生きているという感じがします」と五輪報道をめぐるメディアの矛盾に疑問を呈すると、CBCの石塚元章・特別解説委員が「どこかの放送局のMCさん、裏でやってますけど」「『テレビっていうのはこういうとき、手のひら返すんですよ』と言ったと聞いてますけど、そういうことをメディアの側の人間が冗談でも言うな」と暗に裏番組の『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)の宮根誠司を批判。ジュニアが「この世にはいいセイジと悪いセイジがいる」とオチをつける一幕があったが、まさにほとんどのワイドショーでは、手のひら返しの開き直りが当たり前になっている。
しかも感染状況が過去最大級に悪化している現在も、「選手のがんばりは別」などとエクスキューズをつけながら、コロナは申し訳程度に報じるだけで、その報道姿勢をあらためようとしない。
現在の感染状況は、東京では1万人以上の人間が自宅で救助を求めているような状況で、災害レベルにある。テレビでも、常時、感染状況や注意喚起を呼びかけ続けてもおかしくない。それが、テレビはほとんどが五輪報道に割かれ、注意喚起がまったくと言っていいほど行われていないどころか、逆に国民に危機的状況を見えなくさせている。
まだ感染のピークも見えずこれからどれくらい被害が大きくなっていくかまだわからない状況だが、五輪開催強行が感染爆発を引き起こしたことは間違いない。感染の危機を伝えず五輪報道にかまけているメディアの責任は大きい。
(本田コッペ)
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