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“感染症ムラのドン”組織委専門家会議・岡部信彦座長の「パラ中止を」発言は菅官邸の世論形成か
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/292821
2021/08/03 日刊ゲンダイ
菅首相(左)は官房長官時代に川崎市健康安全研究所を視察(2020年7月、右が岡部信彦氏)/(C)共同通信社
どうもキナ臭い。
東京五輪・パラリンピック組織委員会で、コロナ対策の専門家会議座長を務める岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長が「パラリンピック中止」に言及した。
7月30日のテレビ朝日系のニュースで「一般医療にしわ寄せがいくような状況になれば大会の中止も検討すべき」と、既に始まっている五輪の途中中止に踏み込み、パラについても、「今はまだその段階ではない」としながらも「感染拡大が続けば中止を検討するべき」と発言。同日の川崎市議会に出席後も、記者団からパラ中止の可能性を問われると、「結論を出すまでには幸い時間がある。会場も選手も大会規模はパラの方が小さくなるが、選手の世話や移動にかかる関係者は多くなる。五輪とは別の視点で運営を考えないといけない」と自身の見解を述べたのだ。
「岡部氏は五輪の途中中止を言う流れでパラ中止に触れていますが、現実には五輪日程はもう半分以上終了した。中止の検討が本格化する前に五輪は閉幕、強行突破で終わるのでしょう。岡部氏の発言はむしろ、パラ中止に重きを置いているように思える。パラ中止のための世論形成を担っているのではないのか」(永田町関係者)
岡部氏は組織委の専門家座長という肩書以外に、政府の感染症分科会のメンバー、厚労省のアドバイザリーボードのメンバーでもあり、内閣官房参与の職にも就いている。菅首相の地元、神奈川県つながりで、安倍政権下でのコロナ対策の初期の頃から菅首相のアドバイザーのような存在。昨年9月に菅政権が発足するとすぐに参与に任命された。首相動静には1、2カ月に1度は登場し、昼食を取りながら1時間以上懇談することも。岡部氏は「分科会の尾身会長以上に、『感染症ムラのドン』」(霞が関関係者)なのだという。
政権のダメージ緩和
パラに関しては、「有観客」を求めていた公明党の山口代表も「慎重に見極めていかなければならない」と言い出した。東京で1日の新規感染者が4000人を突破する感染爆発局面に入り、重症化リスクの高い選手がいるパラへの不安はいやが上にも高まる。
参与の岡部氏が早々にパラ中止を口にして懸念を表明することで、世論が「パラ中止も仕方ない」という空気になるのを待って、菅首相が中止の英断を下す。そうすれば政権のダメージを緩和できる――。菅官邸のそんなズルい計算もありそうだ。
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