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※2021年6月7日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年6月7日 日刊ゲンダイ2面
【ついに五輪という本土決戦】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) June 7, 2021
2度目の敗戦の歴史を目の当たりにしている国民
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/hf9cqKxESV
※文字起こし
「アスリートの皆さんが海を渡って、東京に向かう足音が次々と聞こえてくるような気がいたします」
東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長のこの表現に、ゾワッとしたのは1人や2人ではないんじゃないか。開催まで50日を切った五輪関連イベントでの発言なのだが、「軍靴の音が聞こえる」を彷彿とさせる。
この国はついに五輪という本土決戦に突入し、国民は2度目の敗戦の歴史を目の当たりにさせられているようだ。
スポンサーに名を連ねたり、視聴率稼ぎに目がくらんだ国内マスコミは相変わらず不甲斐ないが、海外メディアは監視の目を強めている。
英BBCは4日(現地時間)、五輪強行が「スーパースプレッダー・イベントになりかねない」「五輪は多くの日本人を望まないリスクにさらしている」などの警告とともに、橋本のインタビュー映像をオンエア。その中で橋本は「大会の開催の確率は100%です」と言い切り、「完全なバブルをつくりながら、安心安全の空間を海外のみなさんに提供し、そして国内の受け入れ態勢も万全にしていくということで、いま行っています」と大会成功に自信を見せた。「100%」とか「完全」とか、よくも軽々に口にできるものだ。10都道府県が対象の緊急事態宣言は一部で再延長され、全面解除の見通しは立たない。半年以上にもわたって国民の暮らしは制約され、経済活動もままならないのに、危険極まりない政治イベントに精神論で突き進む。誰がどう見ても、正常じゃない。
手のひら返しのあしざま
政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は1日の国会審議で、「分科会は我が国の感染をどう下火にするか助言する立場にある」と答弁したのを皮切りに連日、五輪強行に強い懸念を訴えている。
「今の状況で(五輪を)やるのは普通ではない」「感染のリスクや医療逼迫への影響について評価するのは、プロフェッショナルとしての責任」「なるべく早い時期に、われわれの考えを正式に、しかるべきところと、場所に表明するのがわれわれの責任」――。言葉を選びつつ、「五輪NO」を突きつけているわけだが、菅政権は聞く耳を持たないどころか、切り捨てだ。
田村厚労相は「自主的な研究の成果の発表ということだと思う」と突き放し、加藤官房長官は尾身会長が独立行政法人地域医療機能推進機構理事長の立場で国会に呼ばれたことを理由に、「分科会の会長の立場と、そうでない立場でお話しになることがあり、その発信には違いがある」とゴマカシ。
厚顔無恥の鉄面皮ぶりで菅から高評価を得ている丸川五輪担当相にいたっては、「スポーツの持つ力ということを信じて今までやってきた。全く別の地平から見えてきた言葉をそのまま言っても、なかなか通じづらい」と意味不明のディスり。「同じ地平」って一体何なんだ。事務方が用意した原稿なしでは何ひとつ質問に答えられない菅のサポート要員として、毎度毎度欠かさず首相会見に引っ張り出しておきながら、使い勝手が悪くなったらあしざま。専門家をバカにするにもほどがある。
赤川次郎氏も「中止を決断するしか道はない」 |
この不毛な論争について、放送大教授の原武史氏(日本政治思想史)はこうツイートしていた。
〈尾身会長の警告に対する閣僚の反応を見ていると、1945年2月に「戦局の見通しにつき考ふるに、最悪なる事態は遺憾ながら最早必至なりと存ぜらる」と上奏した近衛文麿に対して、「もう一度戦果を挙げてからでないと中々話は難しいと思ふ」と答えて戦争の継続にこだわった昭和天皇を思い出す〉
太平洋戦争の終結を上奏されても戦果を挙げられると信じ込み、米軍に一矢報い、できるだけ有利な条件で講和に持ちこむ「一撃講和論」を支持していた――。無知無能のポンコツ首相を同列に扱うのは気が引けるものの、構図は酷似している。お祭り騒ぎに乗じて政権浮揚を図り、秋までに必ず実施される衆院選で勝ち、9月末に任期切れとなる自民党総裁選を無投票再選で乗り切り、長期政権の足掛かりをつくる。菅は愚にもつかない妄想に取りつかれている。
五輪・パラを通して都内の小中高生81万人の観戦計画も見直しナシ。組織委は都外の児童・生徒分を合わせて計約128万人分の観戦チケットを用意し、“学徒動員”で祭典を盛り上げようと必死である。独裁者を前に、完璧な笑顔をたたえた子どもたちが一糸乱れぬ歌と踊りを披露する海の向こうのならず者国家と何が違うのか。
政治評論家の森田実氏は言う。
「尾身会長の発言は極めて正しい常識論です。宣言下でもやる、アルマゲドンでもない限りやる、とか言っているIOC(国際オリンピック委員会)幹部は非常識を通り越し、狂気性を帯びている。菅首相は突進するのみで、進むを知りて退くを知らず。愚かな政治家の典型です。国民の暮らしや生命を軽んじ、道義に対して甘い指導者をいただく国は崩壊します」
作家の赤川次郎氏も五輪中止を求め、朝日新聞(6日付)にこう文章を寄せていた。
〈国の指導者の第一の任務は「人々の命を守ること」。いまだウイルスの正体が分からないのに、9万人もの人間が出入国するとしたら、どうやって感染拡大を防ぐことができるのだろうか。むしろ、ここを起点にさらに新たなパンデミックが世界を襲うかもしれない。一日も早く、五輪中止を決断するしか道はない。賠償金を払わねばならないのなら払えばいい。経済は取り戻せても、人の命は取り戻せないのだ〉
世論調査では6割が中止を求め、延期を含めれば8割超が今夏の五輪開催に反対している。反対派は日を追うごとに膨れ上がっているにもかかわらず、菅はナントカのひとつ覚えで「安全安心な大会」を繰り返すだけ。御用学者の反旗、知識人の警鐘、歴史家の懸念、国民の反対。そして何よりも、そうした声を叩き潰そうとする野蛮政権の強権を前に、われわれ一人一人の健康も生命も何の価値もないのか。
現状の接種ペースでは宣言あと3回
「感染収束の切り札」から「五輪開催の切り札」にすり替わったワクチン接種をめぐり、開催から逆算して「高齢者接種の7月末完了」「1日100万回」をブチ上げた菅の号令一下、東京と大阪の大規模接種センター設置に続き、21日から企業などで職域接種がスタートする。「打って打って打ちまくれ」と吠えている菅の姿が目に浮かぶようだが、手続きに関する情報は官邸ホームページに7日をメドにアップするというドタバタ。会場や打ち手確保は自社手配、最低2000回が条件だ。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)は言う。
「国家的危機に直面した際、誰が最も被害を受けるのか。それは貧困層であることがワクチン接種でもありありです。1000人もの対象者を抱えるのは一部の大企業だけで、コロナ禍で塗炭の苦しみを味わっている多くが非正規労働者。菅首相が唱える『自助、共助、公助』にそって強者は優先され、弱者は後回し。菅首相の行動は徹頭徹尾、政治的目的のためです」
群星沖縄臨床研修センターの徳田安春センター長(臨床疫学)らの試算によると、接種ペースが現状に近い1日44万回で推移した場合、宣言発令が来年4月までにあと3回必要になるという。今年4月20日までのおよそ17カ月間の感染報告者数などを基に、新規感染者数が全国で5000人を超えたら発令、1000人以下になったら解除すると仮定。その結果、今年7月と10月、来年1月に発令を迫られるという。五輪開催で感染爆発を引き起こし、新たな変異ウイルスをばらまく事態になれば、この範囲には収まらないだろう。
ワクチン接種ひとつとっても、泥縄政権に統治能力がないことは歴然なのだが、追い詰められた政権と国の転落の典型とはこういうものなのだ。
「9日に2年ぶりの党首討論が実施されます。野党には菅首相から〈何が起ころうと五輪はやる〉という言葉を引き出し、世論を味方につけて内閣不信任案を提出してもらいたい。衆院解散の脅しに足踏みではだらしがなさすぎます。この感染状況で解散を打ったら、菅政権はおろか自民党も潰れてしまうんですから」(森田実氏=前出)
今ならまだ間に合う。菅を追い込み、五輪を止めなければこの国は再び荒廃してしまう。
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