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【政界地獄耳】これでいいのか保守礼賛「枝野ビジョン」
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202105280000105.html
2021年5月28日9時5分 日刊スポーツ
★立憲民主党代表・枝野幸男が7年かけてまとめ上げた「枝野ビジョン 支え合う日本」(文春文庫)が政界で話題だ。枝野の今までの思い、民主党時代についての総括や反省にも枝野の誠実さや正直な思いが伝わる。その経験は必ず次の政権で生かすとの立場も理解できた。また、自民党が戦後に作り上げた分厚い中間層の中流社会や、それを支える健康保険と社会保険の役割の大きさなど、自社さ政権時代に自民党と一緒に仕事をした経験を踏まえ、懐の深さやしたたかさにも言及。冷静な分析がうかがえる。 ★ことにその中間層を安倍政権以降に新自由主義の台頭で破壊して、格差社会を拡大させたことで今の自民党は本来の自民党とは異なるものになっているという指摘は自民党支持者にも刺さるのではないか。ところが枝野のこだわりは「保守」であり、本来の保守はリベラルであって、安倍・菅政権はそれを破壊したのだというロジックから、なかなかついていけなくなる。何しろ本の大半は保守という言葉に覆いつくされているほど「保守」礼賛なのだ。 ★24日、LGBTの4時間の自民党内議論の末、元防衛相・中谷元は「『多様性と寛容』の精神を大事にするのが保守政党の本質。草の根の保守とは大衆の意識、庶民感覚への度量がなければ自民党はダメになる」とネットに書き込んでいる。保守政治家が説く保守と枝野のそれはなかなか重ならないが、この本は保守を自任する人は買わないだろう。そして立憲支持者や枝野ファンは戸惑うのではないか。誰に読んでもらいたいのかよくわからないが、枝野は「革新」を「理性によって理想の社会像を作り上げ、その実現のためにまい進する」「理想の社会を絶対視して社会の欠陥を許容せず、急激な革新や進歩を目指す考え方」と否定的だが、今どき自民党でもこんな評価はしていないのではないか。これでは自民党公認漏れ候補の保守論にしか聞こえない。立憲の議員や支持者は本当にこれでいいのか。(K)※敬称略 |
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