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重症者1400人超…見通しの甘さが招いた緊急宣言無限ループ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/289723
2021/05/28 日刊ゲンダイ
3週間余りの延長幅に根拠はない。会見も無限か(菅首相と分科会の尾身会長)/(C)JMPA
26日、新型コロナの重症者数が初めて1400人を突破。過去最多を更新した。政府は9都道府県の緊急事態宣言の期限を延長し、沖縄と同じ6月20日までとする方向で調整しているが、また「甘い見通し」と言わざるを得ない。第3波の緊急宣言の解除プロセスを改めて検証すると、わずか20日間の延長で解除できる可能性はゼロに等しいのだ。
◇ ◇ ◇
第3波の感染爆発を受けて、2度目の緊急事態宣言が4都府県に発令されたのは今年1月7日。13日には11都府県に拡大された。
新規感染者数は1月8日の7957人をピークに減少し、6府県で先行解除した2月28日には999人になった。重症者数のピークは1月27日の1043人で、全面解除の3月21日には324人まで減った。つまり、やっと全面解除に至ったのは、重症者数のピークから7週間後のこと。今がピークともいえない中、3週間余りの延長幅に根拠はない。
しかも英国株が蔓延している第4波はもっと深刻だ。3度目の緊急宣言は4月25日に4都府県に発令され、現在は10都道府県に拡大。足元の感染者数は最多の7263人(5月8日)から減少に転じているが、26日の重症者数は1413人に膨れ上がった。第3波の最多に比べ、1.4倍である。
空前の猛威を振るうインド変異株(インド・ニューデリーの病院)/(C)ロイター
英国株の次はインド株
国立感染症研究所によると、英国株の重症化リスクは従来株に比べ、1.4倍の可能性があるというが、納得だ。また、大阪府では、発症から重症化までの平均日数が第3波の「8日」に対し、変異株感染者は「6.5日」と短い。これが感染者が減少しても、みるみる重症者が増えていくカラクリである。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が言う。
「重症者数が減らないと医療逼迫は解消されません。劇的に感染者数が減ったり、病床が増えれば別ですが、6月20日までの延長で、感染状況や医療体制が解除できる状態になっているとは到底思えません」
さらに、気がかりなのがインド株だ。インド株は従来株の2倍超、英国株の1.5倍の感染力があるとされる。しかも、日本人の6割が持つ白血球の攻撃を逃れる変異を持ち、再感染やワクチンが効きにくくなる恐れがある。
「英国株は、関西ではピークアウトが見られ、全国的にも来月中には減少に転じると思われます。しかし、続けざまに、英国株より感染力が強いインド株へと置き換わっていき、7〜8月ごろに流行の主流になる可能性があります」(上昌広氏)
どうやら、6月20日の期限も延長が濃厚で、五輪開催の時期へと近づいていく。緊急宣言の“無限ループ”を横目に、それでも五輪開催を強行する気なのか。
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