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消費税減税を総選挙公約に掲げる
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2021年5月19日 植草一秀の『知られざる真実』
5月19日の夕刻、民主党有志議員による「日本の未来を創る勉強会」で講演をさせていただいた。 テーマは「消費税の減税について」。 日本の実質GDPは2019年7−9月期をピークに減少に転じた。 生産活動を見ると生産ピークは2018年10月である。 2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられた。 第2次安倍内閣発足後、2度目の消費税増税である。 安倍内閣は消費税率を5%から10%に引き上げたのだ。 この消費税増税が景気後退の主因になった。 鉱工業生産指数は2018年10月をピークに低下に転じた。 2019年10月に消費税率が10%に引き上げられたことを背景に2019年10−12月期の実質GDPが大幅に減少。 今回も消費税増税不況が生じた。 その後、2020年に入ってコロナ感染拡大が発生し、GDPは激減した。 このため、「コロナ不況」と勘違いされやすいが、景気悪化の端緒は消費税増税である。 そこにコロナ禍が加わって景気の落ち込みが深刻化した。 2019年7−9月期の実質GDPは558兆円(季節調整済、年率)。 これが2020年4−6月期に500兆円に減少した。 2009年10−12月期の497兆円以来の低水準になった。 2009年10−12月期は鳩山内閣が発足した時期。 日本の実質GDP水準が鳩山内閣発足時の水準にまで減少してしまった。 その後、生産活動は急激に回復して2020年10−12月期には541兆円にまで回復したが、5月18日発表の2021年1−3月期GDPは534兆円に減少した。 消費税増税は間違った政策である。 大きな問題が三つある。 第一は景気を悪くすること。 消費税は消費をすると懲罰を課す税制である。 「消費懲罰税」と表現するのが適正だ。 消費税を増税すれば消費を抑制するインセンティブが付与される。 消費が減退するのは当然のこと。 第二は消費税が分配の不公平を拡大させること。 所得税は「能力に応じた課税」の考え方をベースに置く。 担税能力が高い人に高い税率で税金を負担してもらう。 担税能力が低い人には課税を免除したり、低い税率を適用する。 所得税の場合、子の年齢にもよるが夫婦子二人で片働きの世帯主の場合、年収が354万円までは納税金額がゼロになる。 しかし、消費税の場合は、年収が10億円の人も、年収がゼロの人も税率は10%だ。 据え置き税率が設定されたが税率は8%である。 欧州では生活必需品非課税や2分の1税率などが設定されている。 所得の少ない人にとって消費税は生存権を脅かす税になっている。 第三は消費税増税が零細中小企業を破綻に追い込む可能性が高いこと。 消費税が増税されても、零細中小企業は増税分を価格に転嫁できない。 消費税の納税責任は小売業者に課せられる 販売価格を引き上げていないのに、高い税率での納税が強制される。 結局、零細企業経営者が、消費者が負担するとされている消費税額を自己資金で納税することになる。 このために零細企業の倒産や廃業が拡大する。 消費税増税の税収は社会保障支出に充てられるとされているが、実態上はウソである。 社会保障支出の国費負担は35.2兆円ある。 消費税の税収が35.2兆円を超えるまでは、「消費税の税収のすべてを社会保障支出に充てる」と表現することが可能である。 言葉のトリックに騙されてはならない。 実際に、消費税が導入された1989年度から2019年度の31年間の税収推移を見ると、この期間に消費税で397兆円の税収増加があったが、同じ期間に所得税収が275兆円、法人税収が298兆円減少している。 消費税は財政再建にも社会保障拡充にも貢献しなかったことが分かる。 コロナ景気対策として消費税減税を検討するべきである。 |
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