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※2021年5月6日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2021年5月6日 日刊ゲンダイ2面
【火事場ドロボーにもほどがある】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) May 6, 2021
国民の不幸に付け込む 憲法破壊政権の極悪非道
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/p77C8EZz6v
※文字起こし
このコロナ禍に乗じた改憲派の蠢動が、いよいよ露骨になってきた。
3日の憲法記念日、改憲派が開いた「憲法フォーラム」では、自民党の下村政調会長が「緊急事態条項」の創設をまたぞろ主張。「日本は今、国難だ。今回のコロナのピンチをチャンスとして捉えるべきだ」と訴えた。大規模災害など有事の際に内閣の権限を強める緊急事態条項は、安倍前政権下でいきなり提示された自民党の「改憲4項目」のひとつだが、その対象に新型コロナウイルス感染症を含めるべきだというのだ。
コロナで家族を亡くした人、後遺症に苦しんでいる人、仕事を失い途方に暮れている人もいる。多くの国民が苦しみ、感染に怯え、長引く自粛生活に耐えている状況で、政治家から「チャンス」という言葉が出てくること自体が信じられない。国民の不幸に付け込んで、自分たちのいいように利用することしか考えていないのだ。
「下村氏の改憲発言は首相の座を狙う野心の表れと同時に、今の政権与党の考え方そのものでもある。自民党はずっと新型コロナという国難を憲法改正に利用しようとしてきました。感染拡大が懸念され始めた昨年1月末には、早くも伊吹文明元衆院議長が『コロナは緊急事態のひとつ』『憲法改正の大きな実験台』などと言っていた。危機に便乗した“ショック・ドクトリン”の手法で、国民の不安を煽る形で憲法改正をやってしまおうというのです。しかし、コロナのどさくさで改正なんて憲法の趣旨にそぐわないし、そんな改憲が主権者の国民を幸せにすることは決してありません」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
コロナ禍を利用した改憲とは火事場ドロボーにもほどがあるというもので、しかも、自分たちが後手後手で延焼させておきながら、その役立たずを棚に上げて憲法の問題にスリ替えようというのだから悪辣だ。
憲法ではなく政権の無能のせい
「改憲派はこれまで、災害も利用しようと画策してきた。憲法審査会は第1次安倍政権の2007年に設置されたものの、国民の側から憲法改正が必要という要請はないものだから長く休眠状態だった。衆院で実質審議が始まったのが2011年11月で、東日本大震災の直後です。当時も憲法に緊急事態条項がないから危機に対応できないなどと主張していた。そんなのは大嘘で、災害だろうが感染症だろうが、憲法の範囲内で対応可能だし、対応できないのは憲法のせいではなく、政府が無能だからです。コロナ対策で緊急事態宣言を3回も発令して効果が出ないのに、これ以上、内閣に権限を集中してもロクなことになりません」(政治評論家・本澤二郎氏)
憲法記念日の改憲派集会には、菅首相もビデオメッセージを送る形で参加。緊急事態条項の創設について「緊急時の国家、国民の役割を憲法にどう位置づけるかは極めて重く大切な課題」とか言っていた。
憲法にまったく関心がなさそうだった菅が、改憲は「たくさんの先達が挑戦し、到達できなかった道だ。大きく社会が変化する今だからこそしっかり挑戦していきたい」などと言い出し、今国会で審議中の国民投票法改正案について「憲法改正議論の最初の一歩として成立を目指さなければならない」と強調したことは、意外なほどの前のめりだ。
そうしたら、この連休中に事態が一気呵成に動き出した。菅自民党が改憲の「第一歩」と位置づける国民投票法改正案が、6日の衆院憲法審査会で採決され、今国会で成立する見通しになったのだ。
解散・総選挙で廃案になる寸前にドサクサ採決 |
この国民投票法改正案は、2018年から9国会にわたって採決が先延ばしされてきた。投票の公平性を確保する「CM規制」や、一定の投票率に達しなかった場合に不成立とする「最低投票率」に関する規定もなく、生煮えだからだ。今国会で成立しなければ、秋までに必ず行われる解散・総選挙で廃案になるはずだった。
そういうタイミングで急転直下、与野党が採決に合意したのである。CM規制や外国人寄付規制について、改正案の付則に「改正法施行後3年をめどに検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」と明記する立憲民主党の修正案を与党側が丸のみして採決するという。6日の衆院憲法審査会で採決されれば、11日の本会議で衆院を通過、参院に送られる。与党内では、7日に急いで衆院本会議を開く案まで出ているという。いずれにせよ、今国会での成立は確実な情勢だ。
国の在り方、国民生活を根本から変える憲法改正に大きな影響を与える国民投票法が、こんな拙速に進められていいのか。
「付則は法的な拘束力に乏しく、努力義務のような扱いです。平気で約束を反故にするのが現政権だから、まったく信用ならない。一昨年の参院広島選挙区で起きた買収事件で分かるように、カネで票を買って主義主張を押し通そうとする政権なのです。改憲の国民投票の予行演習のような大阪府の“都構想”をめぐる住民投票でも、CMに巨額の資金が投下され、少なからず投票行動に影響を与えた。カネで改憲の世論を動かそうとするのは明白です。廃案を恐れて採決を急ぐ与党に対し、野党があと数週間粘れば成立を阻止できるのだし、『不要不急の改憲よりコロナ対策に集中しろ!』と不信任決議案を出して抵抗してもいいくらいなのに、立憲民主党は何を考えているのか。そもそも、ことごとく法を無視し、国民の権利を蹂躙してきた自公政権に改憲を言い出す資格などありません」(本澤二郎氏=前出)
「ナチスの手口に学ぶ」が現実に
第2次安倍政権の発足直後、麻生財務相は全権委任法でワイマール憲法を無効化した「ナチスの手口に学んだらどうかね」と言っていた。本来なら、この発言だけで更迭ものだが、その後もデカい顔で居座り続けた結果、ついに現実になろうとしている。安倍の改憲ルサンチマンが亡霊のように蘇っていることも不気味だ。4月20日には自民党の憲法改正推進本部の最高顧問に就任し、菅政権に改憲をせっついている。本気でやりたかったのなら、自身が首相の1強時代に進めればよかったのに、なぜ退任した今になってシャシャリ出てくるのか。コロナ禍のどさくさで菅に進めさせ、改憲機運が整ったところで再々登板とでも夢見ているのか。
「安倍前政権から続く憲法無視は著しく、安保法に始まり、憲法違反の集団的自衛権の行使を容認したり、検察官の違法な定年延長もゴリ押ししようとするなど、立法府も司法府も支配下に置いて三権分立の破壊に邁進してきた。憲法が保護する国民の権利をことごとく蹂躙してきたのです。そういう政権が改憲を言い出すのは倒錯している。何より今は憲法改正よりコロナ対策に集中すべき時でしょう。コロナ禍を利用し、法的不備も無視して国民投票法改正案を成立させるような手続きが認められるわけはありません。改憲の中身以前の問題です」(金子勝氏=前出)
憲法学者の水島朝穂早大教授も3日付のネットコラム「直言」でこう書いていた。
<憲法蔑視の安倍・菅政権の8年5カ月は、立憲主義の根本を破壊する「壊憲」の政治だった。安倍・菅政権に対案は不要である。ルールのルールを破壊するこの政権には退場を求める以外に「対案」はない>
野党も国民も、憲法破壊政権が仕掛けてくる罠に乗ってはいけないのだ。国家と国民生活を守るには、コロナより改憲で国民の不幸に付け込む極悪非道政権を退陣させるしかない。それが結局はコロナ収束への近道でもあるはずだ。
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- <自民党草案をさらに改悪か> 立憲民主党が提案した修正案を掲示板にアップしてください 新共産主義クラブ 2021/5/07 05:26:07
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