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自民党が4・25選挙で4連敗 決定的になった「菅おろし」
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2021.4.25 22:30 AERA dot.
当選確実になり、笑顔の野党候補・宮口治子氏(C)朝日新聞社
当選が確実となり、受け取った花束を掲げる羽田次郎氏(C)朝日新聞社
衆院選北海道2区補選で当選した松木謙公氏(C)朝日新聞社
「とんでもないことになってきた」
こう頭を抱えるのは菅義偉首相の側近議員だ。
4月25日に北海道、長野、広島で3つの国政選挙の投開票が行われた。菅政権発足後、初の国政選挙となったが、自民党は3連敗となった。
新型コロナウイルス感染拡大で3度目の緊急事態宣言、東京五輪・パラリンピック問題を控え、菅政権の失速が顕著になってきた。
とりわけ、注目されたのが、接戦となった参院広島選挙区の再選挙だ。
2019年の参院選で、元法相の河井克行被告と妻、案里氏が2900万円の現金をバラまいて、公職選挙法違反で逮捕。案里氏は議員辞職に追い込まれた。案里氏に代わる候補として、自民党は元官僚の西田英範氏を擁立し、必勝を期した。
選挙直前に野党統一候補として出馬表明した元アナウンサーの宮口治子氏と実質的な一騎打ち。広島は総理総裁候補とされる宏池会会長、岸田文雄衆院議員の地元だ。
「広島だけは何とか勝てるだろうと、菅首相も『1勝2敗か』と口にするほどでした」(前出・側近議員)
しかし、結果は宮口氏の勝利で全敗となった。
争点は河井夫妻の現金バラまきを受けての再選挙だけに「政治とカネ」。選挙戦の前半は出馬表明が早く、自民党、公明党の組織票で勝る西田氏が優位かと思われた。
だが、宮口氏が猛追。西田氏は中盤から河井夫妻の問題に触れ、「河井夫妻は逮捕されても歳費をもらっていた。もらえない仕組みが必要。コロナで多くのお店の方々、多くの生活者、みなさんの生活が厳しい。なぜ国会議員だけ特別なのか?」と訴え始めた。
河井夫妻への風当たりが強く、票が伸びないと西田陣営で判断したという。岸田氏も連日、西田氏と街頭演説。広島市内の繁華街でマイクを持つと、「広島ではおかしなことたくさんあった。おかしな人がいたから、再選挙になった」と話し始めた。
地元市民の反応は厳しく、「おかしな人を応援していたのは、自民党でしょう。無責任や」とその場を離れた。
応援演説に駆けつけていた元自民党幹事長、石原伸晃衆院議員は「ひどいことをやった人がいました。まず謝らなきゃいけない。広島を歩かせていただき、そう思った」とフォローせざるを得ない様子だった。
また、自民党は河井夫妻から買収として、カネをもらった地方議員が
まったく動けず、集票につながらなかったことも敗因の一つだ。カネをもらった地方議員は今後、「被買収」として起訴される可能性が大きいためだ。そして、自民党は河井夫妻に1億5千万円という巨額な選挙資金を投じ、まだ収支報告書すら提出できていない。「政治とカネ」の問題が最後まで重くのしかかった。
「西田陣営にテコ入れといっても、カネはダメでしょう。コロナ禍で大臣や知名度ある議員の応援も限られる。地元で頑張ってもらうしかなかった」(自民党の幹部)
西田陣営は自民党と公明党の連立与党が軸だ。宮口氏のスキャンダルが雑誌で報じられ、選挙戦終盤の情勢が宮口氏に有利との情報が流れた。
「公明党の地方議員たちは『だいたい河井夫妻のせいで、自民党の再選挙になった』と文句を言い、自民党の支援者と口論。陣営は険悪になり内部分裂でしたよ」と自民党の広島市議は打ち明ける。自民党幹部はこう語った。
「負けるべくして、負けたのだ」
衆院北海道2区の補欠選挙は、元農相の吉川貴盛被告が鶏卵汚職で議員辞職に追い込まれてのものだった。野党統一候補、前職の松木謙公氏が保守系無所属の候補らに圧勝、5回目の当選を果たした。
世論調査でもダブルスコア以上の数字で、優位に立っていた松木氏。
「10月までに解散があるから、もう一度、選挙をやらなきゃいけない」(松木氏)
保守系無所属として立候補した元アナウンサーの鶴羽佳子氏や弁護士の長友隆典氏に自民党の国会議員が応援に入った。
「補欠選挙で勝つというより、そこそこの得票をあげて、次の解散総選挙で、自民党候補になりたい。そんな選挙戦でしたね」と自民党の北海道議は苦笑する。だが、今回の松木氏の圧勝で、解散総選挙で2人が自民党候補となれるかは微妙だという。
「吉川被告が、自分の息子を次期衆院選では出馬させたい意向があるそうだ。吉川被告が菅首相と近い関係だったのは間違いない。しかし、大臣室で現金もらった息子が、候補だなんて、さすがに菅首相もそんなことは認めないでしょう」(前出の道議)
そして新型コロナウイルスに感染した立憲民主党の羽田雄一郎元国土交通相の死去に伴う参院長野選挙区補欠選挙では25日午後8時過ぎ、羽田氏の弟で立民新人の羽田次郎氏=共産、国民、社民推薦=が、自民党新人の小松裕氏=公明推薦=ら2人を破り、初当選を確実にした。
野党共闘で「弔い合戦」を制し、自民は「羽田王国」の壁を破ることはできなかった。
さらに同じ行われた名古屋市長選挙でも、現職の河村たかし市長が、自民党を離党して「反河村」の統一候補となった横井利明氏に競い勝った。
「現実として、国政選挙3連敗に、政令指定都市の名古屋市長選挙でも敗北。4連敗となった。やはり、どの選挙を見ても、東京五輪開催にこだわり、後手に回るコロナ対応が響いているようだ。そこに3回目の緊急事態宣言で党内でも菅おろしの声が高まっている」(前出の自民党幹部)
(今西憲之)
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