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安倍前政権の反知性主義が「国産ワクチン開発遅れ」の元凶
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/287972
2021/04/16 日刊ゲンダイ
各国が科学の総力戦を展開するなか、今さら「支援」も夢物語…(田村憲久厚労相)/(C)日刊ゲンダイ
諸外国に比べてワクチン接種が大幅に遅れている日本。その理由のひとつが、国産ワクチンを開発できていないことだ。
開発遅れの原因を国会で問われると、田村厚労相は、「日本はいろんな問題があってなかなか取り組みづらかった」と言葉を濁す。実際、1992年のワクチン副反応の集団訴訟で国が敗訴してから、日本では新たなワクチンがほとんど承認されていない。研究から実用化までカネも時間がかかるワクチン開発は、この20年ですっかり下火になっていた。
田村厚労相は国産化を「国としても支援しないといけない」とも言っていたが、何を今さら。研究開発費を削ってきたのが安倍前政権だ。
欧米では、病原体に合わせて素早く設計できる「RNAワクチン」の接種が進んでいる。実は日本でもRNAワクチンの開発が治験直前まで進んでいたが、「2018年に国の予算打ち切りで頓挫した」と、東大医科学研究所の石井健教授が5日の東京新聞で打ち明けていた。
「安倍前政権は、ノーベル賞学者の山中伸弥教授のiPS細胞ストック事業に予算カットを迫ったほど基礎研究を軽視していた。科学技術や専門家の知見を尊重しない“反知性主義”がコロナ対策の迷走にも表れている。学術を軽視する姿勢は菅政権にもしっかり引き継がれています」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
科学を軽視
厚労省のHPを見ると、塩野義製薬、第一三共など4社が国産ワクチンを開発中。それぞれ日本医療研究開発機構(AMED)の予算がついているが、まだ臨床試験の第1相、第2相段階で、第3相の大規模治験が年内に実施できる見通しはない。
「国産ワクチンなんて夢物語です。日本メーカーにはファイザーと渡り合うような開発力も展開力もない。今からワクチン開発に予算をつけても無駄になるだけです。5月末には米国内での接種が完了し、ファイザー製ワクチンが大量に入ってきますから、滞りなく接種できるような予算の使い方をした方がよほどいい。各国が科学の総力戦を展開しているのに、ゲノム医学を取り入れることもせず、いまだにムラ社会で予算を分け合っている日本の厚労行政は絶望的です」(医療ガバナンス研究所の上昌広理事長)
政治が科学を軽視してきたツケが、ワクチンの遅れにも表れている。
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