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菅首相が「まん防」で“やってる感演出”も完全に手遅れ…宣言解除、変異株野放しの張本人なのに側近に「知事が何かやれよ」とグチ
https://lite-ra.com/2021/04/post-5842.html
2021.04.02 菅首相が「まん防」で宣言解除の“責任ごまかし”図るも、変異株拡大で手遅れ リテラ
首相官邸HPより
これで「先手」を打ったつもりなのだとしたら、とんだ大馬鹿者だろう。菅義偉首相が昨日1日、大阪府と兵庫県、宮城県に「まん延防止等重点措置」を4月5日から5月5日まで実施することを決定した件だ。
菅首相は昨夜のぶら下がり取材で、まん防の適用について「緊急事態宣言にいたらないための措置」などと言い張り、記者から「宣言解除が早かったのでは」と追及されると「当時は感染者数も非常に少なかったですし、専門家の先生方に相談した結果、解除させていただいた」と責任をいつものように専門家に押し付けていたが、デタラメにも程があるだろう。
言っておくが、すでに大阪と兵庫、宮城は、分科会が感染爆発段階と位置づける「ステージ4」に達している項目もあり本来ならば緊急事態宣言を発令すべき状況にある。もはや「緊急事態宣言にいたらないための措置」などと言っているような状態ではないのだ。とくに新規感染者数が急増している大阪の状況は深刻だが、これは緊急事態宣言の解除を前倒しして要請した吉村洋文知事と、全面解除へ弾みをつけるためにその要請を受け入れた菅首相が引き起こした事態と言っていい。
しかも、いまのような感染拡大状況になることは、宣言解除の時点からわかりきっていた。3〜4月という歓送迎会や人の移動が増えるというタイミングで解除したこともさることながら、変異株が増加していくことが指摘されていたからだ。英国由来の変異株は、今年1月初旬の段階から「実効再生産数を最大0.7も押し上げる」という調査結果が報じられていたように、感染力の高さはとうに知られていたこと。変異株のなかでもその英国株の増加が目立っていたのに、そんななかで宣言を解除してしまったのだから、感染者が増加するのは当たり前の話だ。
だが、宣言解除によって案の定、感染者数が拡大傾向に入っても、菅首相は何の対策も打ってこなかった。今週発売の「週刊文春」(文藝春秋)によると、菅首相は周囲にこんな苛立ちをぶつけていたらしい。
「もうちょっと(各知事が)何かやってくれよな」
「緊急事態宣言とかまん延防止の措置の前にまず(各知事が要請する)時短だろ」
「時短をやれよ、時短を」
■変異株の急増でも検査数は少ないまま、子どもへの感染拡大が起きてもまともな対策なし
コロナ対策の陣頭指揮に立つ人間の、この他人事感……。しかも、宣言解除で急拡大を招いたいまは、もはや時短はおろか、「まん防」だのと言っているような状態ではない。まん防は緊急事態宣言を出したくない菅政権が“やってる感”のために新設したにすぎないシロモノだが、まん防にしろ緊急事態宣言にしろ、その中身は飲食店を狙い撃ちしたものでしかない。しかし、宣言発出下でも東京都が1日たりとも新規感染者数を100人以下に抑え込めなかったことを考えれば、こうした対策内容では不十分なのは明白だ。
その上、大きな問題なのは、肝心要の「変異株の確認数」だ。政府の方針では変異株の検査数を今後40%程度に引き上げる方針だというが、40%という数字には科学的根拠は何もなく、たんに100%おこなえる体制が整っていないだけ。しかも、厚労省の資料「変異株スクリーニング検査の実施状況」(3月15日〜21日、速報値)によると、全国の新規感染者8914人に対し、変異株PCR検査の実施件数は2378件。いまだ40%には程遠い状態なのだ。
また、懸念されているのが子どもへの感染拡大だろう。厚労省の資料によると、年代別の変異株確認数がもっとも多いのは40代だが、次いで多いのが10歳未満。子どもから親・祖父母へ、親や祖父母から職場、高齢者施設へと感染が広がることを阻止するためには、飲食店だけを狙い撃ちにした対策とは違う、新たな対策が不可欠になってくるだろう。
つまり、感染拡大を本気で食い止めようというのなら、検査体制の拡充はもちろん、さらなる変異株スクリーニング検査の拡大、学校などの施設における新たな感染対策など、打ち出すべき対策が山ほどある状態なのだ。
だが、菅首相が「まん防」実施とともに新たに打ち出した対策は、「区域内のすべての飲食店を見回り、必要に応じてアクリル板などの対策をチェックする」というもの。この期に及んで、大切な予算や人員を「すべての飲食店の見回り」に割かせようというのである。
■「まん防」やっても感染状況は悪化の一途 それでも「地域観光事業支援」開始
緊張感もへったくれもない、このトホホな対策……。その上、この状況下で政府は「GoToトラベル」の代わりに「地域観光事業支援」を昨日から開始。感染状況が「ステージ2」以下の都道府県を対象として1泊当たり最大7000円を国が補助するものだが、感染が指数関数的で急増する変異株の脅威を見ていながら、またもブレーキとアクセルを同時に踏もうというのである。
とてもじゃないが、「まん防」ごときでこの状況が好転するとは到底思えない。いや、今後さらに状況は悪化していくのは間違いない。
というのも、今回、菅首相は東京都を対象地域に含まなかったが、都のモニタリング会議では「第3波を超える感染拡大が危惧される」「通常の医療が大きく制限されていると思われる」「医療提供体制の逼迫が憂慮される」という指摘がなされている。新規感染者数は大阪府のほうが上回っているが、これは以前にも指摘したように、東京都の検査数が少ないせいであって、すでに同じような状況にある可能性が高い。そして、東京の感染爆発はあっという間に首都圏や地方に広がっていく。そんなことはわかりきっているというのに、菅首相は何の手も打たなかったのだ。
しかも、国民に危機感を伝えるべき状況であることは明らかなのに、「情報発信の強化」を謳っていたはずの菅首相は昨晩も会見をおこなわず、ぶら下がりで済ませてしまった。その一方、同夜には経済情報をメインにした『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)の単独VTRインタビューに応じ、コロナ対策の話もそこそこに「こども庁」の設立だの「4月解散論」の否定だのを語ったのだった。
コロナ対策の先頭に立つ人間がこの調子では、1カ月後、年末年始にこの国を襲った光景が再び繰り返されることになっても不思議はないだろう。
(水井多賀子)
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