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※2021年3月8日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2021年3月8日 日刊ゲンダイ2面
【偽善と冷血の政治、浮き彫りに】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) March 8, 2021
今なお この惨状なのに「復興五輪」とはしゃぐのか
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/CqbtLjqvjU
※文字起こし
あの東日本大震災から10年。節目の年を迎え、今週は震災関連の特別番組、特集記事を目にする機会が多い。
6日には菅首相が福島県を訪れ、復興に取り組む姿勢をアピールした。南相馬市にあるドローンなどの研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド」や、4月に商業施設がオープンする大熊町の「大川原地区復興拠点」を視察した菅は「復興に勢いがついてきた」「なんとなく明るい未来が見えてきている」などと話していたが、本当にそうか? この10年間で復興は順調に進んでいると、政府は胸を張って言えるのか。
今年1月から2月、共同通信と加盟社で構成する日本世論調査協会が全国3000人を対象に実施した世論調査では、原発事故の被災地域で復興が「順調に進んでいる」と答えたのは、わずか2%だった。「順調に進んでいるとは思わない」は31%、「どちらかと言えば思わない」が45%だ。
NHKが今年、震災と原発事故で被災した岩手・宮城・福島の4000人余りを対象に行ったアンケートでも、震災当時暮らしていた地域の復興状況は「思ったよりも遅れている」が最も多い43・3%だった。「当初、思い描いていた復興と比べて、今の復興の姿をどう考えるか」という質問に対しても、「思い描いていたより悪い」が53・1%と過半数を占めた。
防波堤や交通インフラなどハード面での復興は進んだように見えても、町の活気やコミュニティーは戻ってこない。多くの被災者にとって“ふるさと”は失われたままなのだ。「生活が成り立たない」「若い人は戻ってこない」という被災地の切実な声を聞けば、国の施策と住民のニーズに大きなズレがあることが分かる。
震災10年の特集を組んで被災地に寄り添う姿勢を見せる一方で、福島を視察した菅の言動を垂れ流し、復興が順調に進んでいるかのような印象を与える大メディアの欺瞞には愕然としてしまう。
「イノベーション・コースト」のミスマッチ
いま福島県の沿岸部には、菅が視察したロボットテストフィールドの他にも「福島水素エネルギー研究フィールド」「JAEA大熊分析・研究センター」「JAEA楢葉遠隔技術開発センター」など先端技術の研究拠点施設がズラリと並んでいる。この「福島イノベーション・コースト構想」は、2017年に福島復興再生特措法に盛り込まれてスタートし、すでに3000億円超が投じられてきた国の肝いり事業だ。
だが、住民が本当に求めているのは、研究拠点の拡充より商店街のにぎわいではないのか。ハコものよりも地域密着の生活、そして地元の雇用だろう。
「所得税は2037年まで、住民税は2023年まで復興特別税が徴収され、日本国民は被災地の復興のためならと思って払ってきました。それなのに国費がインフラ整備に使われるだけで、被災者個人の暮らしには行き届いていない。復興と関係のない全国各地の事業に復興税が流用されてきたことも、ゼネコンに裏金として提供されてきたことも明らかになっています。震災10年の節目でハッキリ分かったのは、土建屋だけが潤い、人々の暮らしは置き去りにされてきた復興の現実です。安倍前首相が『アンダーコントロール』と国際社会に大嘘をついて引っ張ってきた東京五輪が、資材高騰などでかえって復興の足を引っ張ってきたことも忘れてはなりません」(政治評論家・本澤二郎氏)
支援も追悼式も打ち切り被災地に「自助」を強いる |
原発事故の放射能汚染水を浄化した処理水をためたタンクの増加で、敷地が逼迫してきている。124万トンに上る処理水をどうするか。菅は「適切な時期に政府が責任を持って処分方針を決定する」と言うが、要するに海洋放出するしか術がないということだ。
当然、地元の漁業者の反対は根強い。国際社会の理解を得られるかも分からない。溶け落ちた核燃料の取り出しも、いつになるのか一向にメドが立たない。事故から10年が経ち、事態はますます深刻化していると言っていい。
ところが、いまも故郷に帰れない人がいる悲痛な原発事故を“なかったこと”にするかのような議論が政府内で進んでいるから驚く。
今年、国のエネルギー政策の方向性を決める「エネルギー基本計画」が改定されるが、これを検討する経産省の審議会や自民党の会合では、原発復権を後押しする声が続出しているのだ。国内の総発電量に占める原発の比率を現在の6%前後から20%以上に高める動きが強まっている。そのテコになっているのが、菅が打ち出した「2050カーボンニュートラル」方針だ。脱炭素を建前に、廃炉どころか、新増設を求める原子力ムラや自民党内の声がどんどん大きくなっている。
「先月の福島県沖地震で水位低下が続くなど、原発事故は現在進行形で続いているのに、政府は五輪開催を最優先し、五輪のスポンサーになっている大新聞もこの問題を積極的に報道しない。嘘と利権にまみれた五輪は、被災地に何の恩恵ももたらしません。『復興五輪』なんて偽善もいいところで、安倍前政権も菅政権も被災地に寄り添う姿勢がまったく見られない。政治的に利用することしか考えていないのです。今も震災と原発事故からの復興に必死な被災地は、五輪のお祭り騒ぎどころではない。そんなところにカネをかける余裕があるのなら、住民生活の復興に回してもらいたいのが本音でしょう。聖火リレーに疑義を呈した島根県知事に続くように、東北地方が反乱を起こしても不思議はありません」(本澤二郎氏=前出)
福島と縁深いTOKIOも聖火リレー辞退
聖火リレーは25日に福島県からスタートする。そこに菅も立ち会う予定だが、福島県は6日、南相馬市を走行予定だった人気グループ「TOKIO」が昨年末にランナーを辞退していたと発表。彼らはテレビ番組の企画で福島県浪江町の里山を開墾し農業に挑戦するなど福島県と縁が深い。原発事故後も風評被害払拭のため、県産品をPRするCMに出演していた。また、NHK連続テレビ小説「エール」で福島県出身の作曲家を演じた俳優の窪田正孝も「スケジュールの都合」で辞退すると発表した。
聖火リレーのコースは整備されても、今なお帰還困難区域は残り、住民は戻れない。「人類がコロナに打ち勝った証し」だか「復興五輪」だか知らないが、被災地ははしゃいでいられる状況ではないのだ。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「菅首相がこのタイミングで福島を視察したのは、今夏の五輪開催を意識して3・11前の最後の週末に復興をアピールし、25日に福島県から始まる聖火リレーにつなげる狙いでしょう。安倍前首相も総選挙の演説を被災地でスタートさせるなど、復興の“やってる感”を演出して政権運営に利用してきましたが、そこは菅首相もしっかり踏襲している。もっとも、政府は今後の復興政策について『柔軟に、個別に対応できるよう弾力的にやっていく』と言い出していて、震災後10年の節目を機に一律の支援を打ち切りたい思惑も透けて見える。菅首相の好きな“自助”が、被災地にも押し付けられることになりかねません」
先端技術の福島イノベーション構想は、その一環だ。ハコとテーマを与えたから、あとは地域で新しい産業を立ち上げ、自立して経済を回せという上から目線。政府主催の東日本大震災の追悼式も今年を最後に打ち切られる。10年で一定の震災復興を果たしたとして、“区切り”をつけるのだという。
こういうところに、政府の偽善と冷血が浮き彫りになる。見捨てられたと感じる被災者もいるだろう。それは菅政権のコロナ対策にも通底している。自助で国民生活が成り立つのなら、政治家はいらない。
利権屋だけが喜ぶ「復興五輪」なんて、多くの国民は求めていないはずだ。
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