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※2021年3月3日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2021年3月3日 日刊ゲンダイ2面
【本来なら予算通過どころか総辞職】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) March 4, 2021
コロナと五輪を人質≠フ狡猾 国民の悲劇
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/NlbkPaiWre
※文字起こし
「来週は誰が辞めるんだ」――。2日の毎日新聞が報じた自民党ベテラン議員の自嘲気味に語った言葉だ。
「遅い。首相は『なんとか耐えよう』と思っていたんだろう」
「この問題を軽く考えすぎた」
「役人だけ切っても納得されない」
「選挙ができる状態じゃない」
おとといの山田真貴子内閣広報官の辞職を受け、毎日以外が報じた自民党議員のコメントからも、ポンコツ首相へのイラ立ちが伝わってくる。「断らない女」が辞職に追い込まれたのも、菅首相の自滅によるものだ。
当初、菅は同じく接待を受けた、デジタル政策を担う総務省幹部への「辞職ドミノ」を防ぐためか、山田氏続投にこだわった。ケチのつき始めは、緊急事態宣言の先行解除を決めた際の正式会見見送り。司会を務めるはずだった「山田氏隠し」だ。菅は代わりに応じた“ぶら下がり”取材で、会見の必要性や山田氏の問題を問われると、みるみる不機嫌な表情となり、最後は捨てゼリフを吐いて、立ち去った。
逆ギレが新型コロナ対応より身内尊重の悪印象を与え、さらに傷口を広げるバカさ加減。自身の任命責任を避けるため、「健康上の理由」をタテに体よく山田氏を“お払い箱”にしたのではないか。いくら菅が「後手に回ったとは思わない」と強がっても、単なる悪あがきに過ぎない。
問題の深刻さを再び読み誤り、またもや露呈した政権の「後手」対応。見過ごせないのは、国民の命に関わるコロナ対応でも、菅の見通しが甘いことである。
誰もが「ババ」を引きたがらない
昨年は「感染対策」と「経済復活」の二兎を深追いし、肝いり事業の「GoToトラベル」に固執。結局「第3波」が猛拡大し、全国一斉停止を表明したのは「まだそこ(=一時停止)は考えていない」と語ってから、わずか3日後だった。
緊急事態宣言の発令を巡っても当初は慎重姿勢を崩さなかったが、昨年の大晦日に都内の新規感染者数が初めて1000人を突破すると、大慌てで方針転換。それでもビジネス入国の往来に執着するあまり、水際対策の判断が遅れ、変異株の流入を招いたのだ。
菅の楽観的な予測と、遅きに失した後手対応の連続はもはや万死に値する。それなのに、2021年度予算案は2日、衆院を通過。これで憲法の衆院優越規定に基づき参院送付から30日で自然成立するため、年度内成立が確定した。
総務省の違法接待問題に農水省の鶏卵問題、度重なるコロナ失政と、本来なら、とうに内閣総辞職が当然なのに、すんなり予算案は成立とは……。自民党内からも聞こえる落胆と諦めが、一向に倒閣運動と結びつかないのは、いかなる摩訶不思議な政治力学が働いているのか。
その理由は単純だ。国の一大プロジェクトと位置付けるワクチン供給と、東京五輪の開催可否という面倒事を菅に押しつけたいため。誰もが「ババ」を引きたくないだけである。
「泥をかぶるのは叩き上げ」を逆手に権力維持 |
新型コロナのワクチンについて、菅は昨秋の所信表明演説で「2021年前半までに全ての国民に提供できる数量を確保」すると表明。大見えを切ったのもつかの間、製造元のファイザー社との契約内容は「21年内に7200万人分」のみで、毎月の供給量は約束されない大マヌケだ。
その上、同社の主力工場はベルギーにあり、EUは世界規模のワクチン争奪戦を受け、域内製造分の輸出管理を強化。今や「今年前半までに全国民分」という菅の公約は、「6月末までに65歳以上の高齢者約3600万人分を自治体に配送」と大きく後退した。
ワクチンの到着がモタモタする中、政府は4月12日から高齢者への優先接種を始めるというが、確保は不十分。その上、誰から接種を始めるかの調整は、各自治体に丸投げの無責任ぶりだ。
高齢者向けのワクチン供給について、河野担当相は「5、6月で2回接種できるだけの量の供給が受けられる見通し」と国民の期待をあおっているが、まさに「捕らぬ狸の皮算用」である。
第3便までに届いた量はまだ約68万人分。これから毎週、第3便(26万人分)と同じ量の供給を受けても、接種が最優先される医療従事者470万人分も含めると、確保にはあと3年かかる計算だ。毎日届いても6月末までに1日あたり30万人分を必要とするが、今月内の供給見通しは残り47万人分に過ぎない。
たとえ1回接種に減らしても、6月末までに高齢者分を確保できる可能性は低い。自民党内は公約違反の尻ぬぐいは御免とばかりに、その責任を菅に押し付けようとしているに違いない。
東京五輪・パラリンピックの開催可否も厄介な問題だ。きょう、海外からの観客受け入れなどを話し合う「5者協議」を行うが、今夏の開催には8割の国民が反対。聖火リレーの辞退者も相次いでいる。
コロナ禍での開催強行は現実離れした選択とはいえ、残念ながら五輪開催国に「中止」できる権限はないのである。
実体経済の犠牲の上に成り立つバブルの代償
中止の決定権を握るのは国際オリンピック委員会(IOC)のみ。五輪の「開催都市契約」には〈本大会参会者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合〉と、IOCが判断した際に中止する権利を有すると明記してある。しかも、中止の場合、開催国は補償や損害賠償の請求権を放棄しなくてはいけないのだ。
「完全な不平等条約で、IOCが『やる』と言い続ける限り、政府も都も開催に突き進むしかないのです」と言うのは、高千穂大教授・五野井郁夫氏(国際政治学)だ。こう続ける。
「自民党にすれば、五輪の余勢を駆って総選挙になだれ込めば勝てるとの下心もあるのでしょう。8割が五輪に反対しても、2割の支持があれば選挙に勝てるのが、小選挙区制と低投票率のマジックです。ただ、仮に海外選手団の入国条件を緩め、開催を強行すれば、いずれ悲劇的な感染爆発という大きな代償が待っています。誰もその責任を取るのは嫌だから、菅首相に背負いこませたい。泥をかぶるのは“叩き上げ”という発想で、それを逆手に取って総理の器ではない人物が居座っていられるのです。その分をわきまえているから、菅首相は公邸に住まないのかも知れません」
菅はある意味、コロナと五輪を“人質”に取る狡猾さで、権力にしがみついているのだ。マヒした感覚の錯乱政権は、この国を破滅に導きかねない。経済評論家の斎藤満氏はこう言った。
「コロナ対策で正当化された日米欧の大規模な金融緩和による“カネ余り”で、株式市場はコロナバブル。逆にワクチンが普及し、コロナ収束への期待が高まれば長期金利がジワリと上昇し、株価が急落する異常なマーケットです。その影響を最も受けるのは日銀です。当初2年の目標だった異次元緩和のバラマキ策は間もなく9年目を迎え、資産は昨年末時点で702兆円まで膨張。GDP比130%の巨大さで、うち国債は500兆円を優に超え、ETFも時価50兆円ほど。長期金利が跳ね上がり、株価が暴落すれば、たちまち日銀は債務超過に陥ってしまう。その財政負担は国民に回ってきます。その事態を避けるには、コロナがだらだらと続いた方がいい。実体経済の犠牲の上に成り立つ倒錯のジレンマです。リバウンド覚悟で緊急事態宣言の全面解除に傾く菅首相は、そのジレンマに陥っているとしか思えません」
クラッシュ寸前の国を、ただ傍観するしかないのなら、国民にとって、これほどの悲劇はない。
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