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ハンス・エーリヒ・プフィッツナー 小交響曲 作品44
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投稿者 中川隆 日時 2021 年 10 月 07 日 04:54:57: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: ハンス・エーリヒ・プフィッツナー(Hans Erich Pfitzner 1869年5月5日 – 1949年5月22日) 投稿者 中川隆 日時 2021 年 10 月 06 日 23:54:59)

Hans PFITZNER "Kleine Sinfonie" Hermann Abendroth



1. Moderato
2. Allegro
3. Adagio [attacca]
4. Allegretto


Gewandhausorchester Leipzig
Hermann Abendroth, Conductor
Leipzig, 26. II.1945



プフィッツナーの秘曲、いや名曲です!!
政治と音楽の相克。


特にナチスと音楽(家)のせめぎ合いについては、音楽の裏面史として不幸な出来事になっています。


ナチに翻弄されたフルトヴェングラーやナチに追われたワルターの話などは言わずもがなですし、また、ヒトラーに利用されたワーグナーの楽曲はイスラエルでは現在も演奏はタブー視されているなど、挙げれば枚挙にいとまがありません。


ゲッペルスからヴァイオリンを贈与され、その責任を今になっても追及されていた諏訪根自子の不幸については、先日記したばかりでした。


そんな中での、麻生副総理のナチスを引き合いに出しての、またしてもの妄言には信じられぬ思いがあります。



私が多大な関心を抱く作曲家の一人に、ハンス・プフィッツナー(1969モスクワ〜1949ザルツブルク)がいます。保守的な作風で知られていますが、指揮者としても個性的な録音を残しています。


そのプフィッツナーもナチスへの加担を批判される作曲家です。近年の2007年にも、ベルリンで指揮者のインゴ・メッツマッハーはカンタータ『ドイツ魂について』をプログラムに載せ、ユダヤ人中央協議会から批判をうけています。


私が初めてプフィッツナーを知り、その音楽に親しんだのはもう40年近く前に購入したレコードがきっかけです。


◇プフィッツナー 小交響曲作品44
ペーター・シュヴァルツ指揮札幌交響楽団
TOSHIBA TA-9332


ベートーヴェンの『エロイカ』がメインのレコードですが、私が魅せられたのはB面後半に収録された、プフィッツナーの方でした。プフィッツナーの曲はやや地味で晦渋な面もあるのですが、この曲は叙情的で美しい旋律に富んでいます。


曲は1939年の作。全曲は弦を中心として、各2本の木管と1本のトランペットにしぼり、そしてハープとシンバルが加わるだけのシンプルな編成で、4楽章の交響曲ながら20分程度の小規模の曲です。4楽章はモデラート、スケルツォ、アダージョ、アレグレットの流れになっていますが、単楽章ふうに続けて演奏されます。


すでに70歳になってからの晩年の作ということもあって、全体に死を予感しているようなもの悲しい感がしきりですが、生のはかなさ澄み切った諦観の境地の美しさは格別で、私にとっては絶品の名曲になっています。


CD時代になって、cpoレーベルがプフィッツナーの作品をまとめて出していて、この曲を聴くことができるのですが、後に続く録音や演奏会の情報もなく、このまま忘れさられていくものと思っていました。


ところが先日、いやもう3月のことになりますが、この曲が児玉宏指揮大阪交響楽団によってNHK-FMで放送されるという、思いも寄らぬ出来事がありました。(実際の演奏日は、2012年11月29日 大阪、ザ・シンフォニーホールにて)


この指揮者とオケのコンビは最近、名曲秘曲を次々と発掘録音して注目を浴びていますが、この小交響曲の演奏は私にとって貴重な収穫になりました。


指揮者はプフィッツナーの楽譜に秘められた哀感の感情を深く読みとり、オケもロマン的な感情を美しく推移させていく、すばらしい好演を聴かせています。


cpo盤と比して、メリハリの効いた表現が活力を生み、個々の楽器もスッキリと浮き出てくるので、終始生気に溢れていて、曲のもつ魅力を最大限に発揮しているように思いました。特にアダージョのしっとりとした夢見るような美しさは、しみじみと聴き手の胸を打ちます。ちなみに、cpo盤の6分5秒のタイムに対して、7分3秒というテンポ設定からもそれが裏付けられているといえるでしょう。


是非とも、CD化されて多くの人にこの曲の魅力を味わってもらいたいと切望します。


ところで、この曲の初演は作曲同年にフルトヴェングラー指揮ベルリンフイルにより演奏されています。もし、録音が残されていたならば、聴いてみたい演奏の筆頭に挙げられるでしょう。


ただ、曲は違いますがフルトヴェングラーによる、歌劇『パレストリーナ』第一幕、第二幕、第三幕前奏曲の録音は容易に入手できます。(ヴィスバーデンコンサートとして有名です)フルトヴェングラーのこの作品に寄せる眼差しは尋常ではなく、凄絶で感動的な演奏を聴かせてくれます。


プフィッツナー、もっと聴かれてよい作曲家と思います。


http://hidechan521.blog.fc2.com/blog-entry-27.html
 

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