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(回答先: NASAが見つけた「ほぼ地球みたいな惑星」 投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 19 日 15:41:52)
冥王星の発見から91年。科学者の想像をかき立てた幻の「第9惑星」が準惑星に転じるまで
2021.10.03
https://www.gizmodo.jp/2021/10/how-pluto-became-a-dwarf-planet.html
author Isaac Schultz - Gizmodo US[原文]( 山田ちとら )
幻の第9惑星に魅せられて。
かつて、太陽系の惑星は6つしかないと考えられていました。土星みたいな巨大ガス惑星は、夜空にひときわ明るく輝くので肉眼でも見られます。でも土星軌道より外側にそんな明るい星は見当たらないどころか、地球からあまりにも遠く離れているので、科学の力に頼るほか発見の手段はありませんでした。
9番目の惑星
人類が望遠鏡で見つけた最初の惑星は天王星でした。1781年、イギリスの天文家・ハーシェルが自作の反射望遠鏡を使って発見し、太陽系の領域をぐっと押し広げました。さらに興味深いことに、天王星の観測された位置が軌道計算から予想される位置とズレていたため、天王星の軌道に影響を及ぼしている未知の惑星の存在が期待されるようになりました。
この期待どおりに海王星が発見されたのは1846年のこと。そして、海王星よりさらに遠くに冥王星が発見されたのは1930年のことでした。
惑星から準惑星へ
若干24歳だったアメリカの天文学者・トンボーが発見した冥王星は、太陽系の9番目の惑星と認定されました。しかし、後に質量が地球のたった0.2%しかないことがわかり、さらには同じぐらいの質量を持った太陽系外縁天体がどんどん見つかるにつれ、惑星としての立ち位置が危ぶまれていきます。そしてついには2006年国際天文学連合で「準惑星(dwarf planet)」に降格され、第9惑星の座を奪われることとなりました。
でも、惑星かどうかなんて知ったこっちゃないってぐらいに、冥王星は人々の好奇心と想像力をかき立ててきました。
ハッブルが捉えたおぼろげな姿
なにしろ地球から冥王星までの距離は最短でもざっと42億キロメートル。そんなに遠くから月より小さな天体の姿を捉えるのは容易ではありません。
こちらは1998年にハッブル宇宙望遠鏡の微光天体カメラが捉えた冥王星の姿(左上)ですが、モザイクがかけられたみたいにボヤけて見えます。中央のつるんとした球体は画像処理を施したイメージ図で、それぞれ冥王星の半球を捉えています。
衛星の存在が明らかに
こちらは同じくハッブル宇宙望遠鏡が2005年に捉えた画像です。右下に輝いているのは衛星の中で一番大きいカロンで、直径は冥王星の半分ほど。冥王星が発見されてから40年も経った1978年に発見されました。
そして、衛星カロンから少し離れて小さく輝いているのが衛星ニクスと衛星ヒドラです。この画像と前後して発見されたばかりだったニクスとヒドラは、 NASAによれば冥王星より5,000倍ほど暗く、冥王星までの距離もカロンに比べて3倍以上。どうりでなかなか見つからなかったわけです。なお、この時点ではまだ衛星スティクスと衛星ケルベロスは発見されていませんでした。
太陽系に残された最後のフロンティア
冥王星は、一体どんな姿をしてるんだろう?
遠すぎておぼろげにしか見えない天体の様子を、人々は科学的データを頼りにあれこれ想像してきました。
こちらの2009年のイメージ画には、隕石が衝突した痕と思われれるクレーターが無数に描かれているほか、大気の様子も表現されています。冥王星に大気の存在が確認されたのは1998年のこと。非常に薄いながらも太陽に近づくにつれて凍っていたガスが昇華し、膨らむことがわかっています。
地平線近くに見えているのは衛星カロン。地球の月と同じように、公転と自転の周期が一致しているのでいつも同じ面を冥王星に向けています。冷たい光を反射しているのは、メタンの氷塊です。冥王星の表面は主に氷と岩石からできていて、温度はマイナス220℃。気圧は地球の1000万分の1しかありません。
荒涼とした世界
こちらは2015年に描かれたもの。空にうっすらと浮かんでいるのが衛星カロンで、そのはるかかなたに太陽が覗いています。
それまでのハッブル宇宙望遠鏡の観測から、冥王星の表面には窒素、一酸化炭素とメタンの氷があることがわかっていました。また、3,000メートル級の山々が連なっているとも考えられていました。
こちらも同じく2015年に描かれたイメージ画。隕石の衝突によって表面に無数の凸凹ができています。左上に見えているのが衛星カロンです。
冥王星の探査
奇しくも、この年にNASAの探査機ニュー・ホライズンズが冥王星に到達し、至近距離からの観測に成功しました。これまでは想像の世界でしか表現できなかった冥王星の地形や色彩が、一気にディテールを帯びて私たちの目に迫ってきたのです。
こちらがリアル冥王星の姿。ニュー・ホライズンズがフライバイ時に撮影した画像です。
霜が降りたように細かく粒だって見えるのは、「ペニテンテ」と呼ばれる巨大な氷の塔。高層ビル並みの高さを誇り、最長で500メートルもあるそうです。数百万年前に冥王星の表面で凍ったメタンが高度が高いところから少しずつ気化していった結果、今のようなかたちに風化したと考えられるのだとか。冥王星の表面は変化に富んでいることから、地質活動があるとも考えられているそうです。
こちらは冥王星の表面からおよそ3万4000キロメートルの高度から北極圏を捉えた画像で、見やすいように着色されています。ところどころに深い谷が刻まれているのは、地質活動の名残りでしょうか。
直径70キロメートル、深さ4キロメートルにも及ぶクレーターが無数に散らばっていますが、これらは隕石の衝突によるものとも、地下の氷が溶けたことによる地表の陥没とも解釈できるとNASAは説明しています。
冥王星のもっとも有名なイメージといえば、これ。ニュー・ホライズンズ探査機がおよそ7万7000キロメートルの距離から撮影したもので、ハート型の模様が特徴的です。
この写真を地球に送ってから、ニュー・ホライズンズは冥王星にさらに接近し、大気の成分や表面の様子などを観測しました。そしてスイングバイ終了後は、さらに太陽から離れたエッジワース・カイパーベルト天体を目指して今も旅を続けています。
ニュー・ホライズンズが接近時に捉えた冥王星の姿が、こちらです。
また、ニュー・ホライズンズは衛星カロンの姿も克明に捉えていました。こちらの画像は2015年7月に撮影されたものです。
地球と月と、冥王星とカロン。大きさは違えど、このふたつのペアの関係性は類似しています。月が地球の盾となっているのと同様に、衛星カロンも冥王星を守っているのでしょうか。ふたつはかつて同じ天体だったのでしょうか。
カロンに刻まれた深い谷やクレーターは、激動の過去を物語っているようにも見えます。
冥王星の過去、そして今
冥王星が発見されて今年で91年。その間、人類の観測技術がこと足りなかったせいで、長らく詳しいことはわからずじまいでした。
NASAの探査機が初めて接近し、観測に成功したことで、冥王星がどんな天体であるのかが詳細に解明されつつあります。そしてトンボーが発見した当時から映像で改めて振り返ってみると、冥王星がただのボヤけた球体だった頃からはずいぶんと理解が進んできていることを実感できます。
発見から91年経った今も、軌道の半分すら周りきれていないぐらい大きな大きな弧を描いて太陽をめぐっている冥王星。惑星であれ、準惑星であれ、太陽系の中で最も手の届きにくい、もっとも謎めいた天体であることは確かです。
https://www.gizmodo.jp/2021/10/how-pluto-became-a-dwarf-planet.html
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