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世界人口の2人に1人がアフリカ人に!『経済大陸アフリカ』の著者が説く、日本企業がアフリカで勝てない理由/アエラ・msnニュース
2022/07/22 17:00
https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%e4%b8%96%e7%95%8c%e4%ba%ba%e5%8f%a3%e3%81%ae2%e4%ba%ba%e3%81%ab1%e4%ba%ba%e3%81%8c%e3%82%a2%e3%83%95%e3%83%aa%e3%82%ab%e4%ba%ba%e3%81%ab-%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%a4%a7%e9%99%b8%e3%82%a2%e3%83%95%e3%83%aa%e3%82%ab-%e3%81%ae%e8%91%97%e8%80%85%e3%81%8c%e8%aa%ac%e3%81%8f-%e6%97%a5%e6%9c%ac%e4%bc%81%e6%a5%ad%e3%81%8c%e3%82%a2%e3%83%95%e3%83%aa%e3%82%ab%e3%81%a7%e5%8b%9d%e3%81%a6%e3%81%aa%e3%81%84%e7%90%86%e7%94%b1/ar-AAZR0TN
平野克己/1956年北海道小樽市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済学研究科博士課程前期修了、同志社大学より博士号(グローバル社会学)。外務省専門調査員(在ジンバブエ日本国大使館)、笹川平和財団を経て1991年にアジア経済研究所に入所。その後、南アフリカ国際問題研究所客員研究員、ウィットウォータースランド大学客員研究員、ジェトロ・ヨハネスブルグセンター所長、地域研究センター長、JETRO理事を経て2020年より現職。主な著作は『経済大陸アフリカ』(中央公論新社、2013年)、『アフリカ問題:開発と援助の世界史』(日本評論社、2009年)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社、2009年)、『図説アフリカ経済』(日本評論社、2002年、国際開発研究大来賞)(撮影/写真部・高橋奈緒)© AERA dot. 提供 平野克己/1956年北海道小樽市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済学研究科博士課程前期修了、同志社大学より博士号(グローバル社会学)。外務省専門調査員(在ジンバブエ日本国大使館)、笹川平和財団を経て1991年にアジア経済研究所に入所。その後、南アフリカ国際問題研究所客員研究員、ウィットウォータースランド大学客員研究員、ジェトロ・ヨハネスブルグセンター所長、地域研究センター長、JETRO理事を経て2020年より現職。主な著作は『経済大陸アフリカ』(中央公論新社、2013年)、『アフリカ問題:開発と援助の世界史』(日本評論社、2009年)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社、2009年)、『図説アフリカ経済』(日本評論社、2002年、国際開発研究大来賞)(撮影/写真部・高橋奈緒)
「アフリカの人口増加率は1950年代から約70年間、ずっと2%を下回っていません。エイズなどいろんな危機があったにも関わらず、です。これは20世紀の初頭に始まった人口学の常識、方程式からするとあり得ないこと。このトレンドは、やがて世界人口の2人に1人がアフリカ人になるという、驚愕の未来を示しています。いったい、アフリカの家族形態、出生行動、経済社会は、われわれとどこが異なっているのか。今回、人口学と取り組んでみて、これまで以上にアフリカについて理解することができたと思っています。アフリカに限らず人口動向から見えてくるものは大きい」
長年アフリカの開発研究に携わってきた、アジア経済研究所上席主任調査研究員の平野克己さんが、最新刊『人口革命 アフリカ化する人類』を上梓した。改めてアフリカの「ビジネス・チャンス」について解説する。
* * *
■いまだに中国がアフリカで一強の理由
アフリカを「アジアのようにモノが安く作れる地域」と見ている企業は必ず失敗します。アフリカはインフラなどが未整備で、大卒者の給与も高い。つまり、とにかくコストが高くつくわけです。低開発とは高コストのことでもあるのです。
にもかかわらず、「チャイナ・イン・アフリカ」が、世界が注視する大テーマになっているように、中国企業はアフリカ進出に成功しています。それはなぜか。
中国のビジネスプレイヤーは大きく2つに分けられます。国有企業と民間企業。まず注目すべきは国有企業のほうです。中国の国有企業がアフリカで、中国政府のファイナンスで大規模インフラを作っていますが、要するに彼らの真の顧客は中国政府なんですね。すなわち、アフリカ市場からどうやって利益をあげるかを考えなくてもいいわけです。
アフリカで働いている大卒者で最も給与が安いのは中国人です。だから、たとえば通信関連の技術者を自国から安い給与で大勢派遣できる。あるいは開発援助で病院を作った時にも、たくさんの医者と看護婦を一緒に送っている。日本はもちろん、どの国にもそんなことはできません。これが中国の最大の強みになっています。
インフラにしても中国企業は他国の半分の値段で作っています。中国が作るインフラは質が悪いと言われますが、彼らは現地に合わせたものを作っているだけで、その意味では決して悪くない。さらに企業の規模も、もはや日本のゼネコンとは比べものにならないくらい巨大になっています。つまり、世界最大の製造業大国、輸出大国に成長した中国の姿が、2000年代初頭から先行的にアフリカに現れたということです。
しかしながら一方で、中国共産党は民間企業が勝手に動くことを極度に嫌がります。そこはこれから弱みになっていくでしょう。たとえば、アフリカで一番人気のある中国人は習近平ではなくジャック・マーです。その超有名人を中国政府は表舞台から外してしまった。
こう考えると、中国のアフリカ展開の先行きはそんなに明るくない。要するに20世紀東アジア型の開発で、時代遅れなんですね。今の中国のやり方は、かつての日本の、高度成長期やジャパン・アズ・ナンバーワン時代のやり方の大型版ですから、必ず終わりがくる。今のやり方では最終的には勝てないと思います。アフリカ経済の主導権を握っているのは、政府ではなく企業だからです。
■日本企業がアフリカで生き残るためには
だからと言って日本企業が勝てるのか。残念ながら答えはノーです。日本は、対アフリカ貿易も投資も減っていて、中国や先進諸国はおろかインドや南アフリカといった新興国にも抜かれ、もうアフリカ経済におけるメインプレイヤーではなくなっている。
アフリカに浸透しているのは、日本という国名ではなく企業名です。ただし、その数は多くない。たとえば日本の家電製品は、かつてはどの国でも市場にあふれていましたが、今はほとんど見かけなくなっています。日本の輸出の半分は自動車で、「日本製品は壊れない」というイメージを日本車が支えてくれています。
日本企業のアフリカ担当者からはよく、アフリカ各国の経済成長率の見通しを聞かれます。しかし、こういったマクロ経済指標は政府が経済政策を策定するためのもの。企業はミクロ経済のプレイヤーです。ビジネスにとって重要なのはミクロな市場情報のはずです。
ある国の経済がマクロの数字で伸びていなくても、儲かる企業はすごく儲かっている。どんなに貧しい国にも製品やサービスがどんどん入っていて利益をあげています。国境を越えて市場を大網で捉える。それがグローバル企業のビジネスのやり方です。
概して日本企業は、グローバルビジネスのやり方が分かっていないところがあります。日本でやっていることをどこまで拡大できるかと考える。だから、アフリカに限らず海外進出の際、国とそこの政府を偏重しがちで、「政府の政策が不透明だ」とか「政権が不安定だ」という判断になる。しかし政治は読めないものです。ミャンマーやロシアでも失敗している。他方市場は、特にBOP(base of pyramid)市場はもっと安定しているのです。消費者の数は毎年2.5%ずつ着実に増加しているのですから。
じつはアフリカは、マクロ指標がカバーしている国内経済よりも、市場の集積であるミクロ指標のほうが、カバーしているエリアが大きい。アフリカは国が細かく分かれているので、一つの国の経済規模よりも商品市場規模のほうが大きいということです。携帯電話も金融サービスも、最初から国境を跨ぐことで急成長した。それは、国境を出られない政府ではなく、企業が主体となってやったことです。この点がアフリカビジネスの未来性なのです。
だからこそアフリカでは、企業のグローバルなアイデンティティや戦略性が問われ、本当に強い企業だけが勝っています。企業体力がそのままシュアに現れ、寡占化しやすい。アフリカ市場における日本のプレゼンスが低迷し低下しているのは、したがって、アフリカの問題なのではなく日本の問題、日本企業の問題なのです。
日本の市場が絶対的に縮小していくなかでグローバル化を目指す企業は、自社のグローバルな体力を検証するうえでも、アフリカ進出のシミュレーションを行ってみてはどうかと思います。
■人類の半分はアフリカ人になる時代を見据えて
アフリカ、そして世界の市場からどうやって利益を引き出すか。人口が増えていく地域は世界でアフリカしかない、という時代がこれからやってきます。そして、人口が伸びないと増えない市場というのがある。どんなに貧しくても、生きている限り絶対に必要とされる財やサービスがあります。それを効率的に提供することは企業の使命であり、企業に期待されるSDGs貢献です。これがBOPビジネスの本旨であり、携帯電話や銀行業、送金業がアフリカで急成長した秘密です。
たとえば、味の素は1980年代からナイジェリアに進出してBOP市場を耕し、アフリカ農村ではなくてはならない商品になりました。同社には、味の素という商品は本来BOP向けであり、その意味でグローバル商品だという確固とした認識があるからです。だから貧しくて人口の多い地域に、政治情勢にかかわらず進出した。これがグローバル企業のメルクマールです。
『人口革命 アフリカ化する人類』は、世界経済史の大前提でありながら、特にアフリカに関してはこれまで詳しく検討されてこなかった死亡率や出生率などの人口動態について、食糧事情と共に考察したものです。「今世紀中頃には人類の4人に1人がアフリカ人になる」という国連予測はあちこちで引用されますが、誰もその真偽を検討していない。国連予測にはあるバイアスがかかっており、そのバイアスを除くと2080年代には人類の半分がアフリカ人になるというのが、本書の一つのメッセージです。
なにが出生率を動かしているのかは、誰も解けていない謎です。日本社会を悩ましている人類普遍のこの謎に、アフリカ研究の立場から挑みました。グローバルな視点を磨き上げる一つの縁は人口論です。そこから、アフリカとその他世界を分かつ最大の相違が見えてくるのです。
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