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露国の殲滅に執着、ウクライナの戦乱を解決する意思のない欧米に露国は見切り
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202206200000/
2022.06.20 櫻井ジャーナル
ウクライナの20%をロシア軍が支配しているとウォロディミル・ゼレンスキー大統領は語っている。キエフ側の親衛隊が行ってきた住民を人質に取る作戦も限界に達し、ドンバス(ドネツクとルガンスク)のほぼ全域を現地軍やロシア軍が制圧、掃討作戦を展開しているようだ。
ドイツのシュピーゲル誌によると、同国の情報機関「BND(連邦情報局)」は7月までにウクライナ側の抵抗が終わると分析している。そして8月にはロシア軍がドンバス全域を制圧すると見通している。
そこで早急にHIMARS(高機動ロケット砲システム)やM270 MLRS(M270多連装ロケットシステム)のような高性能兵器を供給するように求める声が出ている。アメリカはHIMARSを、またイギリスはM270 MLRSを引き渡すとしている。両国はそれぞれの射程距離を約80キロメートルだとしているが、最大射程距離は約300キロメートルだ。
ゼレンスキー政権やポーランド政府のほか、アメリカのジョー・バイデン政権やイギリスのボリス・ジョンソン政権は軍事的な緊張を高めようとしているが、EUの内部にはそうした好戦的な方針を嫌がっている国もある。
本ブログでも繰り返し書いてきたが、現在、ウクライナで行われている戦争は短期的に見ても2013年11月から14年2月にかけてアメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使って実行したキエフにおけるクーデターから始まる。
クーデターの前、ウクライナは経済的に厳しい状況にあった。新自由主義的な政策を続けていたひとつの結果だ。それを打開するため、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領はロシアが提示した良い条件の提案に乗ろうとしたのだが、それをアメリカの支配層は許せなかった。そしてクーデターを仕掛けたわけだ。
ヤヌコビッチの支持基盤だったクリミア、ドンバス、オデッサなど東部や南部の住民はクーデター政権を認めず、住民投票でロシアとの統合(クリミア)、自治(ドネツク)、独立(ルガンスク)を決める。
そのうち重要な軍港があるクリミアの要求をロシアは受け入れたものの、ドンバスの要求をロシアは受け入れない。2014年9月に締結された停戦を定めた「ミンスク合意」で足れりとしたのだが、ネオ・ナチは無視。約束は守らないアメリカは加わっていない。2015年2月には「ミンスク合意2」が締結されたが、それでもキエフ政権側からの攻撃は続き、1万3000人とも1万4000人とも言われるドンバスの住民が殺されている。
そして今年2月19日、ウクライナの政治家であるオレグ・ツァロフは緊急アピール「大虐殺が準備されている」を出し、ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始すると警鐘を鳴らした。
そのアピールによると、キエフ政権の軍や親衛隊はこの地域を制圧、自分たちに従わない住民を「浄化」しようとしているとされていた。ドンバスを制圧し、キエフ体制に従わない住民(ロシア語系住民)を「浄化」、つまり皆殺しにするというのだ。西側から承認を得ているともしていた。この作戦と並行してSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。
3月に攻撃が実行された場合、ドンバスでは大多数の住民が虐殺されて証言することはできなかった可能性がある。ドンバス以外でもロシアを敵視しない住民は殺され、「死人に口なし」を利用して虐殺の責任を西側の政府や有力メディアはロシアに押し付けることになっただろう。こうした「浄化」作戦をキエフ側が実行する直前にロシア軍は動いたことになる。
これまでウラジミル・プーチン政権は話し合いを優先、核戦争を回避しようとしてきた。その背景には「欧米の民主主義」に対する盲目的な信奉があったのかもしれない。それでミハイル・ゴルバチョフは致命的な失敗を犯したのだ。
その結果、旧ソ連圏の庶民は塗炭の苦しみを見ることになり、欧米信奉から抜け出したようだが、ロシアのエリートは欧米信奉から抜けきれていなかったようである。
しかし、プーチンのブレーンとして知られるセルゲイ・グラジエフはウクライナでクーデターがあって間もない2014年6月、アメリカの行動を的確に見通していた。
ナチスの焚きつけられ、反ロシア感情を植え付けられた非常に強力な軍事機構、つまりアメリカ/NATOがロシアを狙っていると指摘、ウクライナ軍をロシアとの戦争へ引きずり込み、ドンバスを制圧した後にはクリミアへ矛先を向けると主張。またアメリカのビクトリア・ヌランドはオデッサでウクライナの手先に対し、クリミアを奪い取るため、50万人を投入してロシアと戦うことを期待していると語ったとしている。
アメリカの思惑通りに事が進むと「第4次世界大戦」が始まり、戦火はユーラシア大陸へ広がると見通す。グラジエフは「冷戦」が「第3次世界大戦」だと考えている。次の戦争でアメリカがターゲットにするのはロシアだけでなくヨーロッパや中国も含まれ、日本や朝鮮半島も戦争に巻き込まれると指摘した。
アメリカやイギリスの支配層は次の世界大戦も第1次や第2次と同じようにユーラシア大陸が主戦場になり、イギリスやアメリカは戦火に巻き込まれないと思っているかもしれない。ユーラシア大陸の人びとが互いに殺し合い、自分たちは無傷で生き残ると信じている可能性がある。
ロシアのエリート層の少なくとも一部は2014年6月の段階でこのように見通していた。実際、アメリア政府の政策はロシアよりEUが受けるダメージが大きい。
それにもかかわらずEUのエリートはアメリカ支配層の命令に従い、破滅へと向かっている。そうした様子を見て、プーチン政権はここにきてEUに見切りをつけたようで、EUの優先順位は高くないと明言、中国重視を明確にしている。ボリス・ジョンソン首相やリズ・トラス外相がロシアを倒し、屈服させると公言しているイギリスと交渉する余地はないともセルゲイ・ラブロフ露外相は語っている。
ジョー・バイデンは大統領に就任して間もない頃にルビコンを渡ったが、このギャンブルは失敗した可能性が高い。日本もアメリカやEUと運命を共にするのだろう。今の状態で次の冬を日米欧が乗り越えることは難しいという見方もあり、夏から秋にかけて何らかの動きがあるかもしれない。
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