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ネオコン・バイデン政権の凋落
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2022年6月16日 植草一秀の『知られざる真実』
ウクライナ戦乱について「国際社会」は認識を改めるべきだ。
これまで用いられてきた「国際社会」の表現は米国が支配する情報メディアの主張を示す主語。
正義と公正に基づくものではない。
ウクライナ戦乱の本質を正確に洞察した上での主張が展開されてきたのではない。
ロシアが何の理由もなく、ウクライナに何らの責任がないところに、領土拡大のために「軍事侵攻」を始めたものではない。
ウクライナ国内では2014年から8年にわたる内戦が繰り広げられてきた。
これも、ロシアが一方的に介入して発生した内戦ではない。
2014年に暴力革命によって樹立された非合法ウクライナ政府が東部のロシア系住民支配地域に対して大弾圧、人権蹂躙行動を実行した結果として発生した内戦である。
この内戦を収束するための協議が行われた。
その結果として2014年にミンスク合意が成立。
しかし、この合意は遵守されなかった。
2015年にミンスク2が成立。
ミンスク2は国連安保理で決議され,国際法の地位を獲得した。
ミンスク2が誠実に履行されていたなら今回の戦乱は発生していない。
ミンスク2を一方的に破棄したのはウクライナ政府。
その最高責任者がゼレンスキー大統領だ。
ゼレンスキーは2019年5月に大統領に就任した。
ゼレンスキーはミンスク合意の履行による東部和平の確立を公約に掲げた。
しかし、ウクライナの民族主義者はミンスク2の履行に反対した。
ネオナチと呼ばれる極右勢力はミンスク2の履行に強く反対した。
このネオナチ勢力がウクライナ東部におけるロシア系住民地域に対する弾圧と人権侵害を実行した主力部隊。
日本の公安調査庁はウクライナのアゾフ大隊を国際テロリスト集団であるとの警告をホームページに掲載してきた。
ネオナチ勢力の反対に直面してゼレンスキーが変節した。
その変節を助長したのが米国におけるバイデン政権の発足だった。
ウクライナ東部におけるウクライナ政府軍による人権侵害行為については乗松聡子氏が国際機関による詳細な事実報告をレビューした上での論考を公開されている。
国際機関による報告内容の一部を紹介すると、ヒューマン・ライツ・ウォッチはアムネスティー・インターナショナルと協力して2016年2月から5月にかけてドンバスの政府、分離主義者それぞれの支配地域を調査した結果として同年7月21日に
「『お前は存在しない』−ウクライナ東部における恣意的抑留、強制的失踪、拷問について」
という報告書を出している。
欧州安全保障協力機構(OSCE)サイトに表記されている
「OSCE補完的ヒューマン・ディメンション会議2016年4月
ウクライナの武装勢力と治安部隊の戦争犯罪
:拷問と非人道的な扱い 第2報」
にはウクライナ側の戦争犯罪が明記されている。
国連は2014年に「国連ウクライナ人権監視団」(HRMMU)を設置。
8年戦争の大半の期間をカバーする「東ウクライナの武力紛争の文脈における恣意的拘束、拷問、虐待2014−21」報告書が国連人権高等弁務官事務所のページで公開されている。
米国が支配するメディアはロシア軍の戦争犯罪しか報道しないが、ウクライナ内戦ではネオナチ私兵集団を正規軍に移行させたウクライナ政府軍が、東部のロシア系住民に対して重大な人権侵害行為を繰り返してきた事実がある。
米国はNATO東方拡大を行わないことを旧ソ連最高幹部に確約した。
しかし、NATOは東方拡大を実行し、ロシアと西欧の最後の緩衝地帯=バッファーゾーンにまでNATOを拡大する姿勢を強めた。
これに対し、ロシアは米国にウクライナ問題についての現実的な提案を示した。
この提案を一蹴したのが米国である。
戦乱で犠牲になっているのはウクライナとロシアの最前線兵士、そして、ウクライナ市民である。
ゼレンスキー大統領は野党を殲滅し、テレビ放送を一本化するなど言論弾圧を実行。
国家総動員法を発令し、男子の国外避難を禁止。
絶対主義独裁体制を敷いている。
ウクライナは反民主主義=独裁国家に転じている。
戦争継続と拡大を求めているのはゼレンスキーと米国。
「国際社会」は戦争推進の米国とゼレンスキー大統領に対して、結束して異を唱えるべきだ。
最優先されるべきことは停戦の実現。
停戦を実現した上で一致できる妥協点を見出すべきである。
戦争発生を希求したのは米国。
米国は戦乱発生によって巨大利益を獲得している。
しかし、その行動は正義からかけ離れている。
ロシアと悪とするなら米国は最悪。
この点を銘記する必要がある。
『日本経済の黒い霧
ウクライナ戦乱と資源価格インフレ
修羅場を迎える国際金融市場』
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