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「プーチンは生ぬるい!」強硬派突き上げでロシア内乱激化、KGB出身の“後任最右翼”はより危険
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/306131
2022/06/03 日刊ゲンダイ
「プーチン大統領より危険」といわれるニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記(C)ロイター
ウクライナ侵攻は、東部ドンバス地方でなお激しい戦闘が続くが、ロシア国内でも争いが激化だ。プーチン大統領が始めた「特別軍事作戦」が思うように進んでいないことに、国内の強硬派や過激派が批判を強め、勢いづいているためだ。この「内乱」が政権崩壊を招く可能性もある。
◇ ◇ ◇
米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」の5月30日付のリポートによると、ロシア軍内部や戦争推進派の間では「クレムリンが戦争勝利のために十分なことをしていない」と、批判的な意見が増え続けているという。
中でも過激なのが、元ロシア連邦保安局(FSB)幹部で、かつてウクライナ東部の親ロ派武装勢力を率いたとされるイゴール・ガーキン氏だ。軍事侵攻の目標が、当初の「ウクライナ全域」から「ドンバス地方」へと“下方修正”されたことを受け、「クレムリンは戦争の大義を放棄した」と非難。ウクライナの「非ナチ化」や「非武装化」という目的も忘れ去られ、「敗北の脅威が増大し続けている」と懸念を示したという。
要するに、プーチン大統領に向かって「キサマは軟弱だ」「このままじゃ負けるゾ」と噛みついたわけだ。
こうした強硬論を展開するのはガーキンだけではないようだ。5月31日付の米ニューズウィーク(電子版)は、ISWのリポートを基に〈プーチン氏とその側近たちは今や生ぬるい『宥和主義者』として、これまで強力な支持基盤になってきた強硬派、軍事愛好家、元軍人、民族主義者から突き上げられている〉と分析。勢いづく強硬派が続々とプーチン大統領に批判を浴びせているわけだ。
クビ取りに動く可能性
過激な強硬派がプーチン大統領を突き上げる(C)ロイター
強硬派には何か狙いがあるのか。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)がこう言う。
「軍内部の強硬派は従来、プーチン大統領を支え続けてきましたから、批判の声を上げるのは非常に異例なことです。戦況の悪化を受け、プーチン大統領を見限ったのでしょう。恐らく、クビを取ることまで狙っていると思います。今は表立って非難することで、プーチン大統領の『弱腰』を浮き彫りにし、批判的な世論を形成する。そして、世論が『反プーチン』に傾いたところで、クーデターを起こすのではないか。もちろん、後任まで用意しているでしょう。後任として考えられるのは、旧KGB所属でプーチン大統領の上司だったパトルシェフ安全保障会議書記です。何よりも『安全保障』を優先する人物で、プーチン大統領よりも危険な思想の持ち主と言えます」
最近は、ロシアの国内メディアで大虐殺を肯定する発言まで飛び出している。ロシア連邦議会の下院議員、アレクセイ・ジュラブリョフ氏が、国営放送の番組で「(ロシアがナチとみなす)200万人のウクライナ人を虐殺すべきだ」と訴えたのだ。
過激な強硬派が、プーチン大統領より危険なトップを据えたら、独裁者が去ってもロシアはもっと恐ろしい国になるだけだ。
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